硫酸亜鉛混濁試験(ZTT) 血液検査の目的
硫酸亜鉛混濁試験(ZTT)は、肝機能が正常に働いているかの検査で見る膠質反応検査で一般的なものになります。膠質反応は血漿タンパク(アルブミンおよびγグロブリン)の量的、質的変化に関連して血清のコロイド溶液安定化作用の大小を示すものでクンケル(ZTT)、チモール混濁試験(TTT)などが肝機能検査に有用な方法として使用されています。しかし膠質反応は非特異的で、肝疾患のほか、慢性感染症、膠原病などの多クローン性免疫グロブリン血症で大部分の膠質反応が陽性を示します。またZTTは、免疫グロブリン(IgG)と相関し、慢性肝疾患の経過観察および再燃の程度や急性肝疾患の経過観察に活用されます。
生化学血液検査項目 | 基準値(参考値) | |||
生化学血液検査名称 | 略称 | 数値 | 単位 | |
硫酸亜鉛混濁試験 | ZTT | 2.3~12.0 | U(Kunkel単位) |
硫酸亜鉛混濁試験(ZTT)の検査結果からわかる病気
検査結果 | 考えられる原因と疾患の名称 |
基準値より高値 | 結核、癌、肝細胞癌、肝硬変(特に壊死後性)、感染を伴う肝外胆汁うっ滞、サルコイドージス、無黄疸性肝硬変、遷延性肝炎、慢性炎症、髄腫、カラアザール及び熱帯性疾患、膠原病 |
基準値より低値 | 胆内胆汁うっ滞、胆外胆汁うっ滞、家族性非溶血性黄疸、溶血性黄疸 |
【備考】 γ-グロブリンは肝機能が衰えなくても増加するケースがあります。検査の直前まで脂肪分の多い食事を継続することで、検査値の増加が認められる事があります。 【関連項目】 総ビリルビン、直接型ビリルビン、総たんぱく、アルブミン、コリンエステラーゼ、チモール混濁試験、硫酸亜鉛混濁試験、AST(GOT) ALT(GPT)、γ-GTP、アルカリフォスファターゼ、ロイシンアミノペプチターゼ、乳酸脱水素酵素、インドシアニン・グリーン、アンモニア、総コレステロール、B型肝炎ウイルス表面蛋白抗原、C型肝炎ウイルス核酸定性、C型肝炎ウイルス核酸定量 |
チモール混濁試験(TTT)、硫酸亜鉛混濁試験(ZTT)の臨床的意義
チモール混濁試験(TTT)
チモール混濁試験(TTT) はA型やE型の急性肝炎で初期に顕著に上昇しします。また、肝炎回復期においても持続的に検査が陽性となるケースでは、疾患の遷延化の疑いがあります。その他にチモール混濁試験(TTT)が高値を示す疾患は、活動期の慢性肝炎、肝硬変、肝がん、自己免疫性肝炎、膠原病、多発性骨髄腫等です。膠質反応として一般に行われているのは、TTTとZTTのみで、膠質反応とは血清に種々の蛋白変性試薬を加え、混濁や沈殿の生成を測定するもので、主に血清アルブミンの減少とγ-グロブリンの増加を反映して高値をとる。 TTTは蛋白変性試薬としてチモール(thymol)飽和バルビタール緩衝液を用い、フェノールの誘導体であるチモールの非極性基の部分がβやγ分画に属するグロブリンと結合し混濁を生じさせる。 尚、チモール混濁試験(TTT)のみが高値を示し硫酸亜鉛混濁試験(ZTT)が正常値の場合は脂質異常症が考えられます。
硫酸亜鉛混濁試験(ZTT)
硫酸亜鉛混濁試験(ZTT) はγ-グロブリンとくにIgGを反映するため、慢性肝炎や肝硬変、高γ-グロブリン血症などで高値を示します。硫酸亜鉛混濁試験(ZTT)は別名Kunkel試験とも呼ばれ、Kunkelが1947年に血清に希薄な硫酸亜鉛(zinc sulfate)バルビタール緩衝液を加え生成する混濁を比濁定量したものである。 臨床的意義としては、A型肝炎ではTTTがかなり著明に増加し、ついで低下してくるので、その経過の指標になること、及び、多発性骨髄腫では、ZTTが異常高値、一方TTTは異常低値(しばしば1単位以下)という解離がみられ、ZTT/TTT比が10を超えることがまれではないことである。
その他の健康診断の検査一覧
血液検査項目 | 血液検査結果からわかること | ||
肥満度 | 肥満度(BMI)とは、体重と身長の関係から算出される、ヒトの肥満度を表す体格指数です。 | ||
血圧 | 脳卒中や心筋梗塞などの原因となる高血圧、低血圧などを判定。測定値は、日によって、また時間によって変動するので、何回か測ることが必要。 | ||
血 清 脂 質 検 査 |
総コレステロール | 総コレステロールが高いと動脈硬化の原因となり、心筋梗塞や脳梗塞などの病気を誘発する。脂質(油・脂)を多くとりがちな食生活の欧米化の影響で、高い人が増加しています。 | |
HDLコレステロール | 血管内に付着する脂肪分を取り除き、動脈効果を防ぐことから「善玉コレステロール」と言われています。低いと心筋梗塞や心筋梗塞などの病気を誘発してしまいます。 | ||
LDLコレステロール | 比重の低いリポ蛋白コレステロール。いわゆる悪玉のコレステロール。 | ||
中性脂肪 | 体内の脂肪の主な成分でエネルギーとして利用され、余った分は皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられます。肥満、食べ過ぎ、飲みすぎで上昇し、動脈硬化や脂肪肝の原因になります。 | ||
貧 血 な ど |
赤血球数 | 血液中の赤血球数を調べ、低いと貧血が疑われます。生理出血の増加や、鉄分が不足している場合も低くなることがあります。 | |
ヘモグロビン | 赤血球の成分のひとつで、主に血液中の酸素を運搬する役割を果しています。 | ||
ヘマトクリット | 血液中の赤血球の容積の割合(%)を表し、低い場合は貧血の疑いがあります。 | ||
白血球数 | 白血球は、外部から進入した病原体を攻撃する細胞で、高いと感染症や白血病、がんなどが疑われます。外傷がある場合や喫煙、ストレス、風邪などでも上昇します。 | ||
腎 機 能 |
尿 検 査 |
尿たんぱく | 尿中に排泄されるたんぱくを調べ、腎臓病などの判定に用います。激しい運動の後、過労状態のとき、発熱時などに高くなることもあります。 |
尿潜血 | 尿中に血液が出ていないか調べます。陽性の場合、腎臓病や尿路系の炎症が疑われます。 | ||
血液 | クレアチニン | 筋肉内の物質からつくられ、尿から排泄されるクレアチニンの量を測り、腎臓の排泄能力をチェックします。高い場合、腎機能障害や腎不全が疑われます。 |
|
痛風 検査 |
尿酸 | 尿酸は、細胞の核の成分であるプリン体が分解してできた老廃物です。代謝異常により濃度が高くなると、一部が結晶化し、それが関節にたまると痛風になります。 | |
肝 機 能 検 査 |
ZTT | 血清に試薬を加えると混濁する反応を利用して、血液の濁りぐあいを測定します。濁りが強いと数値は高くなり、慢性肝炎や肝硬変が疑われます。 | |
血清酵素 | GOT | GOTとGPTはともに肝臓に多く含まれるアミノ酸を作る酵素で、肝細胞が破壊されると血液中に漏れ、数値は高くなります。肝炎や脂肪肝、肝臓がんなど、主に肝臓病を発見する手ががりとなります。 | |
GPT | |||
γーGTP | アルコールに敏感に反応し、アルコール性肝障害を調べる指標となっています。 | ||
ALP | 肝臓、骨、小腸・大腸、腎臓など多くの臓器に含まれている酵素で、臓器に障害があると血液中に流れ出ます。主に胆道の病気を調べる指標となります。 | ||
総たんぱく | 清中のたんぱく質の総量。高い場合は、慢性肝炎や肝硬変など、低い場合は、栄養不良や重い肝臓病が疑われます。 | ||
総ビリルビン | ヘモグロビンから作られる色素で、胆汁の成分になっています。黄疸になると体が黄色くなるのはビリルビン色素が増加するためです。 | ||
糖 尿 病 |
尿糖 | 尿の中に糖が出ているかを調べ、糖尿病を見つける指標のひとつとされています。陽性の場合は、糖尿病や膵炎、甲状腺の機能障害などの疑いがあります。 | |
空腹時血糖 | 空腹時の血液中のブドウ糖の数値(血糖値)を調べ、糖尿病をチェックします。糖尿病の疑いがある場合は、ブドウ糖付加試験を行います。 | ||
HbA1c | 血糖検査では、血液を採取したときの値しかわかりませんが、HbA1cは120日以上血液中にあるため、長時間にわたる血糖の状態を調べることができます。糖尿病の確定診断の指標に用いられたりします。 | ||
便潜血反応 | 大腸や肛門からの出血に反応し、陽性の場合、大腸のがんやポリープが疑われます。 |