健康診断で行う血液検査とは

健康診断で行う血液検査から分かる病気や体質

健康診断は、社会人なら年1回以上、学生や主婦も学校や自治体で行う検診で行います。健康診断の中でも特に関心があるのが、血液検査の結果でで、自覚症状が無い疾患や体質などを知ることが出来ます。血液は、私たちの体内を縦横無尽に張り巡らされた血管の中を血液が流れ、栄養や老廃物を運搬しています。この血液を調べる事で、栄養状態や自覚症状がまだ無い病気を特定する事ができます。健康診断で行う血液検査は、赤血球白血球血小板などの血液細胞やGOTGPTγーGTPなどの肝機能検査コレステロール中性脂肪などの脂質異常症腎機能検査などを調べます。以上の説明のとおり、健康診断は、体に潜んでいる病気を早期発見するのに役立ちます。しかし、健康診断で行う検査は、決して万能ではなく発見できない病気や、発見するのが難しい病気もあります。そのため、健康診断で「異常なし」といわれても、全く安心というわけではなく、体調の変化や気になる症状が現れたら病院に行くことをお勧めします。また、検査結果が基準値(正常な値)の範囲内であっても絶対に安全と思わない様にしましょう。基準値とは、正常な人の 95% が当てはまるように設定されていますから、基準値の範囲内でも既に病気になったり、反対に基準値の範囲外でも病気でない場合もあります。また、血液検査結果は、体調、体質、ストレス、直前の食事内容やアルコール摂取状況でも変化することがあります。例えば、肝臓にはかなりの余力があるため、肝硬変で肝機能がある程度低下しても、残された肝細胞だけで、肝臓の働きを、一時的に補うことが可能です。その場合、AST や ALT の値は、基準値内におさまっていることが多いのです。

健康診断の血液検査の目的

血液検査

体重に占める血液の割合は、男性は体重の約8%,女性は体重の約7%と言われています。体重80Kgの男性では6400ml、体重40kgの女性では2800mlの血液が体内に存在していると言われています。この体内を循環している血液を調べる事で、まだ発症していない疾患や体調不良の原因を調べる事が出来ます。血液検査で調べられる数値からわかるのは、貧血肝臓機能腎臓機能の異常、脂質異常症糖尿病などです。血液検査からわかることはとても多く、健康を知るためには有効な検査と言えます。しかし、健康診断で行う血液検査で知ることができる情報は極限られた情報です。少しでも異常値や大きな変化が見られた時には、病院での更に詳しい精密検査が受け、その原因を調べる事が重要です。健康診断は、病気を見つけるのではなく、身体の変化を気付くためキッカケと考えましょう。病気により体調が変化し、それから病院いっても既に病気が進行しているケースが多々あります。早期に発見して早期に治療すれば治る病気はたくさんあります。そのために、健康診断の結果を見て異常値や大きな変化が見つかった方は、必ず病院で検査を受けるようにしましょう。

健康診断の血液検査の項目一覧

血液検査項目 血液検査基準値 備 考
血液検査結果からわかること

血液検査 表示項目 項目名 数値 単位
肥満度 BMI
B:Body
M:Mass
I:Index
BMI値 肥満度
17.6以下 やせすぎ
19.8以下 やせ気味
22 理想体重
24.2以上 過体重
26.4以上 肥満
肥満度(BMI)とは、体重と身長の関係から算出される、ヒトの肥満度を表す体格指数です。
血圧 140~100/
90~60
mmHg 脳卒中心筋梗塞などの原因となる高血圧、低血圧などを判定。測定値は、日によって、また時間によって変動するので、何回か測ることが必要。 





T-Cho 総コレステロール 140~219 mg/dl 総コレステロールが高いと動脈硬化の原因となり、心筋梗塞脳梗塞などの病気を誘発する。脂質(油・脂)を多くとりがちな食生活の欧米化の影響で、高い人が増加しています。
HDL-C

HDLコレステロール

男40~86
女40~96
mg/dl 血管内に付着する脂肪分を取り除き、動脈効果を防ぐことから「善玉コレステロール」と言われています。低いと心筋梗塞心筋梗塞などの病気を誘発してしまいます。 
LDL-C LDLコレステロール 70~139  mg/dl 比重の低いリポ蛋白コレステロール。いわゆる悪玉のコレステロールです。
中性脂肪 トリグラセライド、TG 30~149 mg/dl 体内の脂肪の主な成分でエネルギーとして利用され、余った分は皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられます。肥満、食べ過ぎ、飲みすぎで上昇し、動脈硬化脂肪肝の原因になります。 



赤血球数 RBC 男427~570
女376~500
×104/μl 血液中の赤血球数を調べ、低いと貧血が疑われます。生理出血の増加や、鉄分が不足している場合も低くなることがあります。
ヘモグロビン 血色素量Hb 男13.3~17.4
女11.2~14.9
g/dl 赤血球の成分のひとつで、主に血液中の酸素を運搬する役割を果しています。
ヘマトクリット Ht 男37~48
女32~42
血液中の赤血球の容積の割合(%)を表し、低い場合は貧血の疑いがあります。
白血球数 WBC 男3900~9800
女3500~9100
/μl 白血球は、外部から進入した病原体を攻撃する細胞で、高いと感染症や白血病がんなどが疑われます。外傷がある場合や喫煙、ストレス、風邪などでも上昇します。


尿

尿たんぱく (-) 尿中に排泄されるたんぱくを調べ、腎臓病などの判定に用います。激しい運動の後、過労状態のとき、発熱時などに高くなることもあります。
尿潜血 (-) 尿中に血液が出ていないか調べます。陽性の場合、腎臓病や尿路系の炎症が疑われます。
血液 クレアチニン CRTN 0.3~1.1 mg/dl 筋肉内の物質からつくられ、尿から排泄されるクレアチニンの量を測り、腎臓の排泄能力をチェックします。高い場合、腎機能障害や腎不全が疑われます。
痛風
検査
尿酸 UA 男3.7~7.0
女2.5~7.0
mg/dl 尿酸は、細胞の核の成分であるプリン体が分解してできた老廃物です。代謝異常により濃度が高くなると、一部が結晶化し、それが関節にたまると痛風になります。 




ZTT 硫酸亜鉛混濁試験 2.0~12.0 クンケル、U 血清に試薬を加えると混濁する反応を利用して、血液の濁りぐあいを測定します。濁りが強いと数値は高くなり、慢性肝炎肝硬変が疑われます。
血清酵素 GOT ASTともいうトランスアミナーゼ 10~40 IU/l GOTとGPTはともに肝臓に多く含まれるアミノ酸を作る酵素で、肝細胞が破壊されると血液中に漏れ、数値は高くなります。肝炎脂肪肝肝臓がんなど、主に肝臓病を発見する手ががりとなります。 
GPT ALTともいうトランスアミナーゼ 5~40 IU/l
γーGTP γーグルタミール・トランスペプチターゼ 50未満 IU/l アルコールに敏感に反応し、アルコール性肝障害を調べる指標となっています。 
ALP アルカリフォスファターゼ 80~260 IU/l 肝臓、骨、小腸大腸腎臓など多くの臓器に含まれている酵素で、臓器に障害があると血液中に流れ出ます。主に胆道の病気を調べる指標となります。
総たんぱく TP 6.5~8.2 g/dl 血清中のたんぱく質の総量。高い場合は、慢性肝炎肝硬変など、低い場合は、栄養不良や重い肝臓病が疑われます。
総ビリルビン T.Bill 0.3~1.2 mg/dl ヘモグロビンから作られる色素で、胆汁の成分になっています。黄疸になると体が黄色くなるのはビリルビン色素が増加するためです。

尿
尿糖 (-) 尿の中に糖が出ているかを調べ、糖尿病を見つける指標のひとつとされています。陽性の場合は、糖尿病や膵炎甲状腺の機能障害などの疑いがあります。
空腹時血糖 FBSまたはFBG 70~109 mg/dl 空腹時の血液中のブドウ糖の数値(血糖値)を調べ、糖尿病をチェックします。糖尿病の疑いがある場合は、ブドウ糖付加試験を行います。 
HbA1c ヘモグロビンA1c 4.3~5.8 血糖検査では、血液を採取したときの値しかわかりませんが、HbA1cは120日以上血液中にあるため、長時間にわたる血糖の状態を調べることができます。糖尿病の確定診断の指標に用いられたりします。
便潜血反応 免疫学的
ヒトヘモグロビン
検出法
(-) 大腸や肛門からの出血に反応し、陽性の場合、大腸のがんやポリープが疑われます。

血液検査の結果が異常な時に疑われる疾患

血液検査は、私たちの健康状態を知る為には、非常に有効な手段の1つであります。体の中の臓器が疾患などにより障害を受けて、細胞が破壊されると血液中や尿中に特定の物質が流失します。血液検査でその物質を分析し、健常時(基準値or正常値)と比較することで、栄養状態をはじめ肝臓病、腎臓病、糖尿病、高血圧、心臓病、高尿酸血症などの診断や治療効果の確認などに用いられます。 血液検査の項目は多数あり、ひとつの検査項目だけで判断することはせず、各検査項目の特性を理解し、血液検査以外の各種検査を含め総合的に判断します。しかし、必ずしも全ての異常が血液検査に現れるものではなく、定期的な健康診断に参加をしたり、自覚症状がある場合には、医師に相談をし必要な血液検査を実施する事が非常に重要であります。わずかな自覚症状を放置し進行する疾患もありますので、日頃から健康管理に心がける様しましょう。

脂質検査で疑われる病気

血液中の脂質を調べる検査には、中性脂肪(TG)HDL-C(善玉コレステロール)LDL-C(悪玉コレステロール)の検査があります。中性脂肪やLDL-C(悪玉コレステロール)は、増えすぎると脂質異常症(高脂血症)となり、動脈硬化を引き起こし、脳梗塞心筋梗塞の危険性も高まります。脂質異常症の多くは、脂っこい食事を好み、肥満傾向があり、運動不足、喫煙者などです。その為、自覚がなく動脈硬化を進行している可能性があります。中性脂肪やLDL-Cが低い場合には、体内のエネルギー不足が疑われ、極端なダイエットや偏食による栄養不足、甲状腺機能亢進症など体内の代謝が活発となる疾患を発症している可能性もあります。また、血管に付着したコレステロールを取り除く働きのHDL-Cですが、これは少なすぎると動脈硬化が進行し、脳梗塞や心筋梗塞のリスクになります。かつてはHDL-Cは高くても問題はないと考えられてきましたが、アルコールの多飲によって起こることや、近年では先天性の遺伝子異常による高HDL-コレステロール血症の存在が明らかになってます。

肝機能検査で疑われる病気

肝臓の検査にはAST(以前はGOTと呼ばれていた)ALT(以前はGPTと呼ばれていた)γ-GTPがあります。これらは通常は肝臓心臓、骨格筋に存在している酵素ですが、これらの臓器が障害されて細胞が破壊されると、血管内に放出され、結果血中の値が高くなります。これらの数値が高くなる原因として、最も多いものは肝臓の障害です。肝炎の急性期や病気の活動性の高い時期には著しく高くなり、倦怠感や発熱、腹痛などの自覚症状を伴います。脂肪肝など緩徐に経過している場合は数値の上昇も軽度で、自覚症状がない場合もあります。またγ-GTPはアルコールに反応する酵素で、γ-GTPが高い場合はアルコール性肝炎の可能性があります。なお、肝機能検査は数値が高いことが問題となり、低い場合に問題はありません。

血糖能検査で疑われる病気

血糖検査には、血液中のブドウ糖の濃度を見る血糖値(血糖検査)と、ヘモグロビンに結合した状態のHbA1cがあります。血糖値は直近の食事に影響され、その時点での状態しか分かりませんが、HbA1cは約3か月さかのぼった平均の血糖の状態を知ることができる検査です。血糖値やHbA1cの上昇は糖尿病の疑いを示しますが、軽度の上昇の場合は、境界型糖尿病または糖尿病予備軍として、食事や生活習慣の改善で糖尿病への移行を防ぐことができる状態です。また、HbA1cが高値の場合、すい臓がんがみつかることもあります。一方、血糖値が低い低血糖の場合の多くは、絶食時間が長いことや、空腹でアルコールのみを摂取した場合など、一時的な変化です。なかにはインスリノーマ(インスリンを過剰産生する膵臓腫瘍の一種)や平滑筋肉腫などの稀な病気の可能性もあります。

赤血球検査で疑われる病気

貧血の検査には、赤血球血色素(ヘモグロビン)ヘマトクリットがあります。これらの数値が低いと貧血の可能性があります。女性に多い鉄欠乏性貧血は、慢性的に貧血の状態にあることがあり、「疲れやすい」「顔色が優れない」といった症状にも慣れてしまっている場合があります。

上記以外の目的別に行う血液検査

現在、血液検査は、約2000種類を超えており、その目的によって実施する血液検査を実施する項目は異なります。目的にあわせて血液検査を説明しております。下のリンク先から様々な血液検査の種類と基準値および異常値に疑われる疾患を知る事ができます。

 ・ 病院の血液検査項目と基準値
 ・ ガン患者の血液検査項目と基準値

献血を行った場合の血液検査項目と基準値はこちらから

 献血をされる方にお願い。冬場は献血に協力する方が減少し、献血用の血液が足りなくなる事があります。事故や手術など不測の事態に対し献血用の血液は、ある程度確保したいと赤十字社では頑張ってキャンペーンをしています。安定的な確保の為、みなさまのご協力よろしくお願いします。但し、エイズなどの病気に罹っている、疑いがある方による、血液検査目的の献血は禁止されております。エイズ検査を目的としている方は、保健所や病院で相談してください。献血を行った場合の血液検査項目内容と検査結果の基準値はここからクリック!

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