血中IAPは腫瘍マーカーとして広範囲の腫瘍で高値となります。

IAP(免疫抑制酸性蛋白)|腫瘍マーカー

IAPはα1酸性糖蛋白のひとつで、主にマクロファージで産生され宿主の免疫能を抑制する作用を持っている。
血中IAPは腫瘍マーカーとして広範囲の腫瘍で高値となるが、炎症性疾患や免疫能の低下でも測定値の上昇を示すため癌との鑑別が必要である。

IAP(免疫抑制酸性蛋白)の基準値

血液検査項目 基準値(参考値)
血液検査名称 略称 数値 単位
  immunosuppressive acidic protein IAP 500以下 µg/ml

IAP(免疫抑制酸性蛋白)検査の目的

IAPはα1酸性糖蛋白のひとつで、主にマクロファージで産生され宿主の免疫能を抑制する作用を持っている。血中IAPは腫瘍マーカーとして広範囲の腫瘍で高値となるが、炎症性疾患や免疫能の低下でも測定値の上昇を示すため癌との鑑別が必要である。

IAP(免疫抑制酸性蛋白)で何を調べている

 血漿中の蛋白質はアルブミン以外は大部分が糖蛋白質であるが,ヒトα1酸性糖蛋白質(α1AG)は糖含量が高いことで糖蛋白質の研究対象として注目されてきた。α1AGは主に肝で産生され,分子量は約40,000と小さいが,尿中にはあまり排泄されないα1AGは,別名オロソムコイドorosomucoidとよばれ,血清ムコ蛋白(セロムコイド)の主成分である。肝硬変やネフローゼ症候群ではα1AGの血中濃度は著しく低下する。肝硬変では肝での合成低下,ネフローゼ症候群では尿中へ大量に排泄される。また,急性相反応蛋白の1つであり,炎症や手術後のα1AGの増加はCRPよりも約1日遅く,約4~7日で最高値を示すことが多い。α1AGの1種である免疫抑制酸性蛋白(IAP)の増減とよく平行するので広義の腫瘍マーカーとしても用いられる。

IAP(免疫抑制酸性蛋白)でわかる病気

IAP(免疫抑制酸性蛋白)腫瘍マーカー血液検査結果が適正範囲より大きく乖離している場合には疾患の可能性がありますので、値が乖離した原因を診療機関で医師の診察を受けるようにしてください。

検査結果 考えられる原因と疾患の名称
基準値より高値 悪性腫瘍、ストレス症候群、血液疾患(急性相反応物質として増加)、急性・慢性炎症性疾患
基準値より低値 ネフローゼ症候群、肝実質性障害、栄養不良、悪液質、肝硬変症
【備考】

性差及び、日内変動は少ないが、加齢に伴い増加傾向がみられるようになります。また、妊娠における週数が進むと低下傾向を示します。

【関連項目】
TPA(組織ポリペプチド抗原)CEA(がん胎児性抗原)