腫瘍マーカー(がん検査)の結果とがんの発生の可能性
体内で発腫瘍マーカーの検査結果が高い場合、体内にがん細胞が潜んでいる可能性がる事を示し、より詳細の検査を行う事で原因を特定します。しかし、腫瘍マーカーはスクリーニング検査であり腫瘍マーカーの検査結果が高いからといって必ず体内にがん細胞が潜んでいる事にはなりません。体内にがん細胞が発生をしていなくても体調、体質、環境などにより腫瘍マーカーの値は変化しやすいものもあり、逆に腫瘍マーカーの検査結果が陰性だとしても絶対にがん細胞(腫瘍)が潜んでいない事を証明するものでもありません。以上の説明のとおり腫瘍マーカーによる検査結果が高値であった場合、体内にがん細胞(腫瘍)が潜んでいる可能性が高い事を示すものであって、必ずしもがん細胞(腫瘍)が体内に潜んでいるものを診断するものではないです。この様な検査方法をスクリーニングといい、イツ、ドコで、発生するかわからないがん細胞に対して、内視鏡などの検査を定期的に実施する事は、患者さんにとって肉体的、経済的な負担が大きいため、腫瘍マーカーを用いたスクリーニング検査を実施しています。
腫瘍マーカー(がん検査)は、がんが産生する酵素等を測定
がん細胞(腫瘍)は、発生する臓器によって、がん細胞が生成する微量な物質(主には、酵素など)が異なります。がん細胞により異なった生成物(酵素など)を血液検査で調べる事で体内で発生しているがん細胞(腫瘍)を絞り込む事が腫瘍マーカーで可能となります。1つのがん細胞から生成される物質には複数種類あります。また、腫瘍マーカーの検査で疑われるがん(腫瘍)も複数あり、いくつかの腫瘍マーカーによる検査を実施する事で、がん細胞(腫瘍)の種類を特定する事もできます。腫瘍マーカーによる検査は、スクリーニング検査であり、主要腫瘍マーカーの検査結果が基準値を大幅に超えたとしても体内にがんが潜んでいる事を確約しているものではありません。あくまでも体内にがん細胞が潜んでいる可能性が高く、より精密な検査を必要である事を意味するものであります。
腫瘍マーカー(がん検査)の検査値とがん細胞(腫瘍)の発生について
腫瘍マーカーの検査結果が高ければ高いほど体内にがん細胞(腫瘍)が潜んでいる可能性が高い事を意味しています。腫瘍マーカーの検査結果は、がん細胞(腫瘍)の大きさ、進行状況、環境、体調によっても変化をします。ですので、腫瘍マーカーの検査結果で体内にがん細胞の有無、その種類について特定できない理由でもあります。特に微細ながん細胞(腫瘍)に対しては、腫瘍マーカー検査結果が陽性を示さない事もあります。その為、腫瘍マーカーの検査だけに頼るのではなく、日頃からがんになりづらい食生活を中心とした生活習慣の実施や体調の変化などに早く気づく事が重要になります。腫瘍マーカーは、血液中の微量な成分を検査する事で調べる検査であります。その為、食生活や生活習慣などにより影響を受けやすいものも少なくなりません。検査前に医師や看護師から注意事項がある場合には、しっかり指示を守り腫瘍マーカーの検査を受けましょう。そして、腫瘍マーカーの検査結果が陽性であったとしても体内にがん細胞(腫瘍)が存在していると決めつけず、より詳細な検査を受け医師の診断を受けましょう。
腫瘍マーカー(がん検査)の血液検査方法
腫瘍マーカーによる検査方法について説明をします。腫瘍マーカーの血液検査は、通常の血液検査同様に採血をします。そして、採取した血清にモノクロール抗体という試薬を加えると血液中に含まれている腫瘍マーカーと結びつき、その量を測定する事で体内にがん細胞(腫瘍)が潜んでいるかを調べます。最近の腫瘍マーカーの検査では、血液検査以外に尿や膣分泌液などを採取して行う場合もあります。腫瘍マーカーの検査結果が高値であった場合には、他の腫瘍マーカーも参考にしながら、超音波検査やX線CT、血管造影などの画像診断、生検などを総合して体内にがん細胞が発生しているか確認します。体内にがん細胞が発生したと診断が確定した後、がんの進行程度の判断や治療後の経過観察、再発や転移の発見に腫瘍マーカーは役立てられています。なお、腫瘍マーカーの基準値は測定法によって異なります。検査値を読む場合は、どの腫瘍マーカーの測定法が用いられたかを確認することが大切です。
がん腫瘍マーカー(がん検査)の種類
腫瘍マーカーを用いた血液検査が臨床の場で使われています。また、日々新しい腫瘍マーカーが開発され、臨床応用を待っています。さらに、すでに確立された腫瘍マーカーでも最新の研究の結果、別のがんに対してもマーカーとなりうることが明らかになる場合があります。臨床の場で認められ、確立された腫瘍マーカーの一部を図と表に示しますので、参考にしてください。
腫瘍(がん)の種類別に用いられる腫瘍マーカー
(独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター)
腫瘍マーカー(がん検査)の詳細説明
現在、臨床現場で用いられてる腫瘍マーカーについて、リスト形式で形式にまとめてります。腫瘍マーカーの名称をクリックする事で、詳細の情報を確認する事ができます。日々、新しい腫瘍マーカーが研究され発表されております。極力、発表にあわせて情報を更新していますが、情報更新が遅れる場合もありますので、その際はご容赦ください。
腫瘍マーカー 血液検査名称 |
主な陽性疾患 |
がん胎児性蛋白 腫瘍マーカー血液検査項目 |
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AFP(α-フェトプロテイン) | 肝細胞がん 卵黄嚢腫瘍 など |
AFP-L3%(AFPレクチン分画) | 肝細胞がん |
BFP(塩基性フェトプロテイン) | 各種がん |
尿中BFP | 膀胱がん |
CEA(がん胎児性抗原) | 大腸がん 胃がん 膵がん 胆道がん 肺がん 子宮がん 卵巣がん 乳がん など |
乳汁中CEA | 乳がん |
がん関連抗原(糖鎖性) 腫瘍マーカー血液検査項目 |
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BCA225 | 乳がん など |
CA 15-3 | 乳がん など |
CA 19-9 | 膵がん 胆道がん 胃がん 大腸がん 肺がん 卵巣がん 子宮体がん など |
CA 50 | 膵がん 胆道がん 胃がん 大腸がん 肺がん 卵巣がん 子宮体がん など |
CA 54/61 (CA546) | 卵巣がん など |
CA 72-4 | 卵巣がん 胃がん 大腸がん 膵がん 胆道がん など |
CA 125 | 卵巣がん 子宮がん 膵がん 胆道がん など |
CA 130 | 卵巣がん 子宮がん 膵がん 胆道がん など |
CA 602 | 卵巣がん 子宮がん 膵がん 胆道がん など |
CSLEX(シアリルLex抗原) | 肺がん(特に腺がん) 膵がん 胆道がん 卵巣がん 大腸がん など |
DUPAN-2(膵がん関連糖蛋白抗原) | 膵がん 胆道がん 胃がん 大腸がん 卵巣がん など |
KMO-1 | 膵がん 胆嚢がん 胆管がん 肝がん など |
NCC-ST-439 | 膵がん 胆道がん 胃がん 大腸がん 乳がん 肺腺がん など |
SLX(シアリルLex-i抗原) | 肺がん(特に腺がん) 膵がん 胆道がん 卵巣がん 大腸がん など |
SPan-1 | 膵がん 胆道がん 胃がん 大腸がん 肺がん 悪性リンパ腫など |
STN(シアリルTn抗原) | 卵巣がん 膵がん 胆道がん 肺がん 胃がん 大腸がん など |
CYFRA(サイトケラチン19フラグメント) | 肺がん(特に扁平上皮がん) など |
がん関連抗原(その他) 腫瘍マーカー血液検査項目 |
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SCC抗原(扁平上皮がん関連抗原) | 各種扁平上皮がん(食道がん 子宮頚がん 皮膚がん 肺がん 頭頚部がんなど |
TPA(組織ポリペプチド抗原) | 各種固形がん 白血病 悪性リンパ腫 など |
IAP(免疫抑制酸性蛋白) | 各種がん |
ICTP(I型コラーゲンC-テロペプチド) | 肺がん 前立腺がん 乳がん などの骨転移 |
CTx(I型コラーゲン架橋C-テロペプチド) | 肺がん 前立腺がん 乳がん などの骨転移 |
尿中BTA(膀胱腫瘍抗原) | (再発)膀胱がん |
尿中NMP22(核マトリックスプロテイン22) | 尿路上皮がん |
組織産生抗原 腫瘍マーカー血液検査項目 |
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PIVKA-II() | 肝細胞がん |
PSA(前立腺特異抗原) | 前立腺がん |
SP1(妊娠特異蛋白) | 絨毛性疾患 など |
γ-Sm(γ-セミノプロテイン) | 前立腺がん |
フェリチン | 各種がん 各種血液疾患 |
ホルモン 腫瘍マーカー血液検査項目 |
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hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン) | 絨毛性疾患 卵巣がん 精巣腫瘍 など |
ProGRP(ガストリン放出ペプチド前駆体) | 肺小細胞がん など |
カテコールアミン | 褐色細胞腫 |
HVA(ホモバニリン酸) | 神経芽細胞腫 褐色細胞腫 悪性黒色腫 など |
VMA(バニリルマンデル酸) | 褐色細胞腫 神経芽細胞腫 |
カルシトニン (CT) | 甲状腺髄様がん |
酵素・アイソザイム 腫瘍マーカー血液検査項目 |
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ALP(アルカリフォスファターゼ) | 肝障害 など |
GAT(がん関連ガラクトース転移酵素) | 卵巣がん など |
NSE(神経特異エノラーゼ) | 肺小細胞がん 甲状腺髄様がん 褐色細胞腫 神経芽細胞腫 など |
PAP(前立腺酸性フォスファターゼ) | 前立腺がん |
ペプシノゲン (PG) I/II比 | 萎縮性胃炎(分化型胃がんハイリスク群) |
腫瘍マーカー(がん検査)検査値の解釈について
腫瘍マーカーによる血液検査結果が非常に気になりますが、体内にがん細胞が発生したかを判定するカットオフ値(しきい値)は、多くの人の腫瘍マーカーの検査結果をもとに決められています。ところが、中には多くの人の動きとは異なり、がんが存在しないにもかかわらず腫瘍マーカー値が上昇している場合や、がん細胞が存在するにもかかわらず腫瘍マーカー値が上昇しない場合です。また、腫瘍マーカー値自体の動きも、正確にがんの動きを反映しているわけではありません。例えば、腫瘍マーカーの値が5上昇したからといって、5だけがんが進行したわけではありません。腫瘍マーカーの血液検査値を気にしすぎないで、医師の説明をしっかり聞いて治療に専念をしましょう。
腫瘍マーカー(がん検査)検査値のまとめ
腫瘍マーカーをもちいた血液検査を依頼する医師は、漠然と検査を依頼しているのではなく、その患者さんの個々の状態に基づいて腫瘍マーカーの種類を指定して検査を実施しています。腫瘍マーカー検査のどこに注目しているかは、患者さんごとに異なると考えたほうがよいといえます。腫瘍マーカーをもちいた血液検査は、他の血液検査と同じく、診断を最終目的とした多くの検査の1つとして行うもので、診断そのものは血液検査、画像を用いた検査、身体所見等を総合的に勘案して医師が行うものです。したがって、決して腫瘍マーカーの血液検査値の上下のみでがんの存在、病態の悪化および回復を判断できるものではないことを理解してください。腫瘍マーカーについて、不安や疑問があるときは、その腫瘍マーカーの検査がどのような意味があるかについて医師との十分な話し合いが必要です。
腫瘍マーカー(がん検査)とがん検診について
がんは、体の中にある細胞が異変して起こる病気で、かなり進行しなければ自覚症状が出ない場合があります。がんは命を落とす危険性のある病気ですが、早期発見する事で生存する可能性は非常に高い病気でもあります。その為にも早期発見=定期的に健診を受けて治療を受けるようにしてください。その際に負担が少ない腫瘍マーカーによる検査は非常にメリットがあります。サラリーマンで35歳以上の方が受診する生活習慣病検診では胃カメラや血便や血液検査を実施しています。生活習慣病検診で腫瘍マーカーをオプションで受けれる健康保険組合もあります。また、自治体主催の住民健診でも血液検査や胃や肺や大腸や乳房や子宮など発生頻度の高いがんのスクリーニングを実施していますので検診を利用してください。さらに詳しい検査を受けたい場合には、人間ドックもあり体に異常がないか内視鏡、注腸X線、マンモグラフィー(乳房X線)、腫瘍マーカーなど、より精密な検査で異常がないかを確認する事ができます。また、腫瘍マーカーを用いて肝臓、腎臓、前立腺など異常がないかを検査する事も可能です。
腫瘍マーカー(がん検査)とがん治療について
がんの治療は、早期発見、早期治療です。しかし、小さいレベルのがんを発見するのは簡単ではありません。がんは家族性(遺伝性)があるとも言われています。ご自身の身内でがんに罹った方がおられましたら自分の体調の異変や定期的な検査を受ける事をおすすめします。また、定期的に受信をする健康診断や生活習慣病検診にあわせて、ご自身の健康チェックをされるも重要です。もし、がんに不安がある方は、腫瘍マーカーをもちいた血液検査の実施も検討ください。もし、残念な事にがんの可能性があると言われた方は、早めに検査ができる診療機関でCT、MRI、PETなどの精密検査をし、早い段階で治療をすれば早く回復する事ができます。