クレアチニン(Cr)|検査結果と病気

クレアチニン(Cr) 健康診断で行う血液検査

クレアチニン検査は、腎臓が正常に機能しているか検査しています。筋肉中に含まれるクレアチンリン酸と呼ばれるアミノ酸があります。このクレアチンリン酸は、酵素の働きによってクレアチンに分解されるときエネルギーを放出し運動エネルギーとなります。クレアチニンは、老廃物のひとつで血液を介してすべて腎臓より尿中に排泄されます。このためクレアチニンの血中濃度は、腎機能の指標として用いられています。腎臓の機能が正常の半分以下まで低下すると血清クレアチニン濃度は上昇し始めます。この時点では、タンパク質などの食事制限を行うと血中クレアチニンの上昇は押さえられます。しかし、腎機能が正常の20%~30%以下になると腎不全となり、食事制限や生活指導を行っても血清クレアチニンは正常化せず常に軽度上昇しています。正常の5%~10%以下になると血清クレアチニンは高値となり、尿毒症の症状を呈して腎透析の準備が必要となります。


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クレアチニン(Cr)血液検査の目的

クレアチニンはクレアチンの最終代謝産物で、クレアチンから非酵素的にH2Oが取れた無水物です。クレアチンは、3つのアミノ酸(グリシン、アルギニン、メチオニン)から肝臓腎臓で合成され、クレアチン或いはクレアチンリン酸という形で骨格筋に蓄積されます。筋肉の細胞内では、クレアチンリン酸からCK酵素反応によってATPが生成し筋収縮活動に利用され、その代謝産物として生成したクレアチンからクレアチニンが作られます。血中非蛋白性窒素化合物の一つであるクレアチニンは腎糸球体から濾過されるため、ほとんど再吸収されることなく尿中に排泄されます。したがって血中クレアチニンの測定は、腎臓での濾過機能の指標となり、そのクリアランスは腎機能を評価する上でとても重要な検査となります。

クレアチニン(Cr)の基準値

クレアチニンの血液検査は、アミノ酸の1つであるクレアチニンの排泄が正常に行われているかを調べる事によって、腎臓が正常に機能しているかを確かめています。また、クレアチニンは、腎臓以外の影響を殆ど受けないので、クレアチニン値が高値を示す場合には、腎機能症障害もしくは腎不全の可能性がありますので、早めに病院で精密検査を受ける事をお勧めします。その為、クレアチニン血液検査は、腎臓の「スクリーニング検査」としても比較的一般的に検査が実施されております。クレアチニン検査は、腎機能(糸球体濾過率)が50%以下になるまでは上昇しないため、クレアチニン検査値を用いて軽度の腎機能障害の判定をするには難しい点もあります。クレアチニン値より検査精度を高めるために腎糸球体機能の変化をさらに正確に測定するクレアチニン・クリアランスを行ないます。

生化学血液検査項目 基準値(参考値)
生化学血液検査名称 略称 数値 単位
クレアチニン Cr M 0.61~1.04
F 0.47~0.79
mg/dL

クレアチニン血液検査をすると腎機能が正常に作動しているかがわかります。クレアチニンという物質は、筋肉が運動(作業)する為のエネルギーを消費した老廃物で、健康な人は腎臓で処理され尿中排泄されます。クレアチニンは、腎機能以外の影響を受けづらい特徴もあり、高値の場合には腎臓の機能が低下している可能性が高いことを意味しています。クレアチニン検査値が男性が1.2~1.3mg/dl、女性が0.9~1.0mg/dlは、経過観察が必要とされています。一般に中程度の腎不全では、クレアチニン検査値が1.5mg/dlを超え、重症になるとクレアチニン検査値が2.4mg/dl以上になります。そして、クレアチニンの値が5mg/dlを超えると回復は難しくなり、クレアチニン検査値10mg/dlが人工透析を始める一つの目安となります。クレアチニンと尿素窒素は、腎機能が50%前後まで低下しないと高値を示しません。クレアチニン検査値に異常があればなんらかの疾患が進行していることが考えられますので、すぐに原因究明を行なうことが必要です。

日本人間ドック学会の判定基準

検査名\腎不全進行度 経過観察 中程度 重症 回復困難 透析開始
クレアチニン検査値
(mg/dl)
男:1.2~1.3
女:0.9~1.0
1.5 2.4 5.0 10.0

クレアチニン(Cr)の検査結果からわかる病気

クレアチニン検査結果が高いと判断された場合は、基本的に腎臓系の疾患及び腎機能障害を疑います。クレアチニン検査結果がが高い場合に疑われる疾患の可能性を以下にまとめてあります。クレアチニン値が大幅に乖離した原因を診療機関で医師の診察を受けるようにしてください。但し、クレアチニン検査結果は、その日の体調等によっても異なるので、検査当日の体調管理をしっかり行うようにしておくことが大切です。特に風邪などで脱水症状を起こしているケースや大きな出血を伴った場合はクレアチニン値も変動しますので検査日をずらした方が無難です。逆にクレアチニン(Cr)検査結果がが極端に低いケースでは筋ジストロフィーと呼ばれる、筋肉が萎縮する疾患の可能性が検討されます。 

検査結果 考えられる原因と疾患の名称
基準値より高値 巨人症、尿毒症、末端肥大症、糸球体腎炎(急性・慢性)、腎不全(急性・慢性)
基準値より低値 尿崩症、長期臥床、重症筋ジストロフィー症、妊娠
【備考】

 クレアチニン(Cr)検査結果は、血液を採取し、酵素を利用した試薬を加え、比色計で色の変化を調べます。クレアチニン(Cr)検査前の食事については制限などはありませんが、検査前日からは激しい運動などは控えてください。

【関連項目】 尿たんぱく尿潜血クレアチニン

クレアチニン血液検査結果が異常な場合

クレアチニン検査値が異常値の原因となっている病気を確定するため、PSP排泄試験、電解質測定、フィッシュバーグ濃縮試験、クレアチニンクリアランス、腎盂造影、X線CT、腎生検などの検査が行なわれます。クレアチニン検査値を上昇させた疾患の確定診断がついたなら、治療を開始します。クレアチニン値が上昇する疾患は、腎機能の異常であり主に腎臓の治療となります。腎不全で老廃物(クレアチニン)が血液中にたまると、心臓麻痺、腸閉塞、昏睡などの危険性がある尿毒症を起こします。特に急性腎不全の場合は、クレアチニン値が一定以上になると人工透析の必要性も考慮に入れなければなりませんので、迅速な対応が必要となります。腎盂腎炎や腎臓結石の場合、治療によって利尿が進めば、クレアチニン値は間もなく回復します。クレアチニンの値が異常な方は、塩分やタンパク質の摂取を制限する食事、適度な運動を心がけるとともに、肥満、高血圧、脱水などの憎悪因子を避けるようにしましょう。また、慢性腎疾患ではクレアチニン値を月1~2回測定し、さらに糸球体濾過率を推定するために、クレアチニン・クリアランスを半年ごとに調べるとよいでしょう。

その他の健康診断の検査一覧

血液検査項目 血液検査結果からわかること
肥満度 肥満度(BMI)とは、体重と身長の関係から算出される、ヒトの肥満度を表す体格指数です。
血圧 脳卒中心筋梗塞などの原因となる高血圧、低血圧などを判定。測定値は、日によって、また時間によって変動するので、何回か測ることが必要。 





総コレステロール 総コレステロールが高いと動脈硬化の原因となり、心筋梗塞脳梗塞などの病気を誘発する。脂質(油・脂)を多くとりがちな食生活の欧米化の影響で、高い人が増加しています
HDLコレステロール 血管内に付着する脂肪分を取り除き、動脈効果を防ぐことから「善玉コレステロール」と言われています。低いと心筋梗塞心筋梗塞などの病気を誘発してしまいます。 
LDLコレステロール 比重の低いリポ蛋白コレステロール。いわゆる悪玉のコレステロール。
中性脂肪 体内の脂肪の主な成分でエネルギーとして利用され、余った分は皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられます。肥満、食べ過ぎ、飲みすぎで上昇し、動脈硬化脂肪肝の原因になります。 



赤血球数 血液中の赤血球数を調べ、低いと貧血が疑われます。生理出血の増加や、鉄分が不足している場合も低くなることがあります。
ヘモグロビン 赤血球の成分のひとつで、主に血液中の酸素を運搬する役割を果しています。
ヘマトクリット 血液中の赤血球の容積の割合(%)を表し、低い場合は貧血の疑いがあります。
白血球数 白血球は、外部から進入した病原体を攻撃する細胞で、高いと感染症や白血病がんなどが疑われます。外傷がある場合や喫煙、ストレス、風邪などでも上昇します。


尿

尿たんぱく 尿中に排泄されるたんぱくを調べ、腎臓病などの判定に用います。激しい運動の後、過労状態のとき、発熱時などに高くなることもあります。
尿潜血 尿中に血液が出ていないか調べます。陽性の場合、腎臓病や尿路系の炎症が疑われます。
血液 クレアチニン 筋肉内の物質からつくられ、尿から排泄されるクレアチニンの量を測り、腎臓の排泄能力をチェックします。高い場合、腎機能障害や腎不全が疑われます。
痛風
検査
尿酸 尿酸は、細胞の核の成分であるプリン体が分解してできた老廃物です。代謝異常により濃度が高くなると、一部が結晶化し、それが関節にたまると痛風になります。 




ZTT 血清に試薬を加えると混濁する反応を利用して、血液の濁りぐあいを測定します。濁りが強いと数値は高くなり、慢性肝炎肝硬変が疑われます。
血清酵素 GOT GOTとGPTはともに肝臓に多く含まれるアミノ酸を作る酵素で、肝細胞が破壊されると血液中に漏れ、数値は高くなります。肝炎脂肪肝肝臓がんなど、主に肝臓病を発見する手ががりとなります。 
GPT
γーGTP アルコールに敏感に反応し、アルコール性肝障害を調べる指標となっています。  
ALP 肝臓、骨、小腸大腸腎臓など多くの臓器に含まれている酵素で、臓器に障害があると血液中に流れ出ます。主に胆道の病気を調べる指標となります。
総たんぱく 清中のたんぱく質の総量。高い場合は、慢性肝炎肝硬変など、低い場合は、栄養不良や重い肝臓病が疑われます。
総ビリルビン ヘモグロビンから作られる色素で、胆汁の成分になっています。黄疸になると体が黄色くなるのはビリルビン色素が増加するためです。

尿
尿糖 尿の中に糖が出ているかを調べ、糖尿病を見つける指標のひとつとされています。陽性の場合は、糖尿病や膵炎甲状腺の機能障害などの疑いがあります。
空腹時血糖 空腹時の血液中のブドウ糖の数値(血糖値)を調べ、糖尿病をチェックします。糖尿病の疑いがある場合は、ブドウ糖付加試験を行います。 
HbA1c 血糖検査では、血液を採取したときの値しかわかりませんが、HbA1cは120日以上血液中にあるため、長時間にわたる血糖の状態を調べることができます。糖尿病の確定診断の指標に用いられたりします。
便潜血反応 大腸や肛門からの出血に反応し、陽性の場合、大腸のがんやポリープが疑われます。

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