ホモバニリン酸(HVA)は、神経芽細胞腫、褐色細胞腫、交感神経節細胞腫等の腫瘍マーカーとして活用されます。

ホモバニリン酸(HVA)|腫瘍マーカー

ホモバニリン酸(HVA)腫瘍マーカー検査は、副腎皮質ホルモン(カテコールアミン)の中のアドレナリンとノルアドレナリンは、役目を終えると代謝されて、最終的にバニリルマンデル酸(VMA)になり尿中に排泄されます。また、ドーパミンは代謝されてホモバニリン酸(HVM)になります。褐色細胞腫や神経芽細胞ではカテコールアミンが増加しますが、それが体内で代謝される際につくられるVMAとHVAも増加します。主に尿中に出るVMAとHVAを調べますが、血液や髄液を調べることもあり、特に神経疾患では髄液で測定します。なお、乳児検診では神経芽細胞腫のスクリーニングのためVMAの有無を調べる定性試験が行われます。

ホモバニリン酸(HVA)の基準値

血液検査項目 基準値(参考値)
血液検査名称 略称 数値 単位
homovanillic acid, urine, revised by creatinine value CA 1.6~5.5 μg/mg・Cr

ホモバニリン酸(HVA)検査の目的

ホモバニリン酸(HVA)腫瘍マーカー血液検査で測定するホモバニリン酸は、ドーパミンの最終代謝産物。カテコールアミンの分泌状態を反映して高値を示す。

ホモバニリン酸(HVA)で何を調べている

ホモバニリン酸(HVA)はドーパミンとその前駆物質であるドーパの最終代謝産物である。すなわち、尿中HVAは、第一義的にはドーパミン作動神経や副腎等で産生される内因性ドーパミンの量を反映する指標であるといえる。一方、ドーパはカテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリンなど)およびメラニンの前駆物質である。したがって、カテコールアミンの代謝産物バニルマンデル酸(VMA)と同時に測定することが、カテコールアミン過剰状態をもれなく診断するうえで有用である。 HVAはドーパを多く含む食物の摂取やストレスで上昇し、適切な条件下で蓄尿(遮光下で塩酸蓄尿)が行われなければ、分解されて見かけ上低値を示す。一般に尿中HVAは、これらの過剰産生をもたらす病態、すなわち神経芽細胞腫、褐色細胞腫、交感神経節細胞腫等で増加する。またメラニンの前駆体、ドーパが増加する悪性黒色腫でも尿中排泄量が増加する。逆にアルツハイマー病やパーキンソン症候群など、中枢神経系でドーパミン作動性神経の活動が抑制される疾患では、尿中排泄量が低下する。

ホモバニリン酸(HVA)でわかる病気

ホモバニリン酸(HVA)腫瘍マーカー血液検査結果が適正範囲より大きく乖離している場合には疾患の可能性がありますので、値が乖離した原因を診療機関で医師の診察を受けるようにしてください。

検査結果 考えられる原因と疾患の名称
基準値より高値 神経芽細胞腫、褐色細胞腫、悪性黒色腫、Sipple症候群
基準値より低値 パーキソン症候群、アルツハイマー症候群、ダウン症候群
【備考】

小児にみられる交感神経芽細胞腫ではバニリルマンデル酸(VMA)、ホモバニール酸(HVA)の測定が有用です。

【関連項目】
カテコールアミン3分画 〈血漿〉、カテコールアミン3分画 〈尿〉、メタネフリン2分画、バニルマンデル酸(VMA) 《定量》、ドーパミン・総、3-メトキシ-4-ハイドロキシフェニルエチレングリコール(MHPG) 〈血漿〉、3-メトキシ-4-ハイドロキシフェニルエチレングリコール(MHPG) 〈髄液〉、3-メトキシ-4-ハイドロキシフェニルエチレングリコール(MHPG) 〈尿〉