バニリルマンデル酸(VMA)の基準値
血液検査項目 | 基準値(参考値) | |||
血液検査名称 | 略称 | 数値 | 単位 | |
vanillylmandelic acid, quantitative, revised by creatinine value | VMA | 1.2~4.9 | μg/mg・Cr |
バニリルマンデル酸(VMA)検査の目的
バニリルマンデル酸(VMA)はカテコールアミン(ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリン等)の最終代謝産物で、主にカテコールアミン産生腫瘍(褐色細胞腫、神経芽細胞腫)の診断に用いられる。血中のカテコールアミン量は日内変動があり、ストレス等で大きく変わるため、蓄尿による代謝産物の定量がより正確に平均的分泌量を反映する。
バニリルマンデル酸(VMA)で何を調べている
褐色細胞腫は副腎髄質や交感神経節のクロム親和性細胞から発生し、高血圧、心悸亢進、頭痛、吐気等の症状を来たす。症状には発作型と持続型の2つの型があるが、発作型褐色細胞腫の非発作時でも尿中カテコールアミンやその代謝物であるメタネフリンやHVAなどの上昇が認められる。 神経芽細胞腫は小児に好発する腹部悪性腫瘍で、80%以上に尿中VMAの排泄増加がみられる。HVAの同時測定でさらに診断効率が上昇する。
VMAの尿中排泄量には、昼高く、夜には低いという日内変動が認められるため、1日蓄尿で定量する。冬期は夏期よりも増加する傾向がある。小児は成人よりも低値をとる。またバナナや柑橘類、アイスクリームなどのphenoic
acidを多く含む食品や、蛋白質、穀類(ドーパを多く含有する)を大量に摂取すると尿中排泄量が増加することがある。また、パーキンソン病などの治療目的でL-ドーパを投与した場合も高値となることがある。
カテコールアミンの作用不足により起立性低血圧症を発来するShy-Drager症候群では、尿中VMA排泄は低値となる。
バニリルマンデル酸(VMA)でわかる病気
バニリルマンデル酸(VMA)腫瘍マーカー血液検査結果が適正範囲より大きく乖離している場合には疾患の可能性がありますので、値が乖離した原因を診療機関で医師の診察を受けるようにしてください。
検査結果 | 考えられる原因と疾患の名称 |
基準値より高値 | 褐色細胞腫、神経芽細胞腫 |
基準値より低値 | 家族性自律神経失調症、Shy-Drager症候群 |
【備考】 小児にみられる交感神経芽細胞腫ではバニリルマンデル酸(VMA)、ホモバニール酸(HVA)の測定が有用です。 【関連項目】カテコールアミン3分画 〈血漿〉、 カテコールアミン3分画 〈尿〉、 メタネフリン2分画、 ホモバニリン酸(HVA) 〈尿〉、 ドーパミン・総、 3-メトキシ-4-ハイドロキシフェニルエチレングリコール(MHPG) 〈血漿〉、 3-メトキシ-4-ハイドロキシフェニルエチレングリコール(MHPG) 〈髄液〉、 3-メトキシ-4-ハイドロキシフェニルエチレングリコール(MHPG) 〈尿〉 |