血液成分の「種類と特徴
私たちのからだを流れている「血液」は、体重の約8%を占めています。 通常、日本人成人の血液量は、性別の違いなどによる個人差はあるもの体重1kgにつき約80mLあると言われています。(体重60kgの人の場合ですと、5L弱の血液が流れている計算になります。) 「血液」は、赤血球、白血球、血小板、血漿から成り立っており、血液全体のおよそ45%が細胞成分で、残り55%程度が血漿成分です。
赤血球(Red blood cell)
赤血球は、一般的な血液検査項目であり体の状況を知る重要な検査の1つです。そもそも、赤血球とは、赤血球に含まれるヘモグロビンが酸素と結合し鮮やかな赤色となります。酸素の結合量が少ない静脈血は鮮やかではなく少し黒っぽい色となっています。赤血球は血液量の約40%を占めており、赤血球の数が少なすぎると貧血となり十分な量の酸素を運ぶことができません。逆に赤血球の数が多すぎると多血症(赤血球増加症)となり血液が濃くなりすぎて固まりやすくなり、心臓発作や脳卒中のリスクが高くなります。詳しくは「赤血球・ヘモグロビンの働き」をご覧ください。
白血球(White blood cell)
白血球球は、一般的な血液検査項目であり体の状況を知る重要な検査の1つです。白血球は、細菌やウイルスから体を守る免疫の働きがあります。白血球は、赤血球に比べて数は少ないですが、①好中球、②リンパ球、③単球、④好酸球、⑤好塩基球の5種類が白血球にはあります。白血球と言うと赤血液に流されて循環しているイメージが強いかもしれませんが、白血球の多くは血管の壁に付着していて中には血管壁を通り抜けて他の組織に入りこむものもあります。抗体は微生物に結合することで、白血球による破壊を容易にします。白血球について詳しい内容と血液検査結果については「白血球の主な働きと検査基準値」をご覧ください。
血小板(Platelet)
血小板は、一般的な血液検査項目であり体の状況を知る重要な検査の1つです。血小板は、出血を止める(止血)の働きがある成分です。赤血球や白血球より小さなもので出血部位に集まって凝集し、血のかたまり(血栓)をつくって血管の損傷部分をふさぎます。血小板の数が少なすぎると血小板減少症や血友病など、逆に血小板が多すぎると血小板血症などの病気の疑いもあります。血小板について詳しい内容と血液検査結果については「血小板の形状、働き、特徴」をご覧ください。
血漿(Blood plasma)
血液の中の成分としては、一番多く含まれているものです。簡単に説明すると赤血球、白血球、血小板を取り除いたものを血漿といいます。その大部分は水分でミネラル(電解物質)やアルブミンやホルモンなども含まれています。血漿の働きには、①血漿に含まれるアルブミンが血液が血管外に漏れ出さない様にする働きや止血の作用もあります。②血漿には水分や酸・アルカリの調整なども行い生命維持の働きもあります。③ホルモンや薬などの物質に結合して運搬する働きなどもあります。血漿について詳しい内容と血液検査結果については「血漿について」をご覧ください。
健康診断の血液検査でわかる病気
労働安全衛生法(第66条)により、常時使用する従業員に対して、雇入時と毎年1回の定期健康診断を実施しないといけません。この「常時使用する従業員」には、次の両方の要件を満たすパートタイマー等もあてはまります。①.1年以上引き続き雇用している者、又は1年以上雇用する見込みがある者 ②.1週間の所定労働時間が正社員の3/4以上の者 なお、パートタイム労働法の指針では、1週間の所定労働時間が正社員の1/2以上のパートタイマーには、健康診断を実施することが望ましいとされています。ちなみに、健康診断を行わなかった場合は、50万円以下の罰金となります。(労働安全衛生法第120条)
血液検査結果と病気
定期健康診断で実施する血液検査は、どれも一般的なものですが、検査結果を知る事で様々な病気や体調の変化を知る事ができます。主要な検査の項目と目的は、次のとおりです。クレアチニンは、腎臓機能の検査です。総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪は、脂質代謝検査になります。冠動脈硬化症、心筋梗塞、脂質代謝異常(脂質異常症)、糖尿病、肥満などの有無や危険度が分かります。AST(GOT)、ALT(GPT)、y-GPTは、肝臓の機能検査になります。肝障害、肝疾患、飲酒過多、胆道疾患などの有無や危険度が分かります。赤血球数、ヘマトクリット、ヘモグロビン、MCV、MCH、MCHC、白血球数、血小板数は、血球検査になります。貧血、感染症、白血病、肝硬変などの有無や危険度が分かります。CRPは、血清検査です。炎症性疾患のチェックをします。血液検査の結果は、年齢などによって、多少の項目の違いは出てきます。定期健康診断で、病気が見付かった人は、病院へ行き、再検査や治療を受ける必要があります。また、その原因を追究し、疾患の場合は治療を必要とし、乱れた食生活や飲酒や喫煙が原因となった場合は、生活スタイルの改善の努力をしなくてはいけません。 血液検査を実施する事で自覚症状が無くても体の異常を知る事ができますが、病気など体の異常があっても血液検査にあらわれない事もあります。ですので、日頃から自覚症状の確認とあわせて検査結果を健康管理をされる事をおすすめします。
主な血液検査項目
血圧 | 収縮期血圧 | 130mmHg未満 |
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拡張期血圧 | 所見なし | |
血液 | 赤血球数(R,RBC) | 男性410万~530万個/μL 女性380万~480万個/μL |
ヘモグロビン(Hb) | 男性14~18g/dl,女性12~16g/dl | |
ヘマトクリット(Ht,Hct) | 40~70mg/dl | |
白血球数(W,WBC) | 4000~9000個/μL | |
血小板数(plt,PLT) | 15万~40万個/μL | |
血清カルシウム(Ca) | 8.6~10.1mg/dl | |
MCV | 84~99fl | |
MCH | 26~32pg | |
MCHC | 32~36% | |
脂質代謝 | 総コレステロール(T-chol) | 120~220mg/dl |
HDLコレステロール(HDL-chol) | 40~70mg/dl | |
LDLコレステロール(LDL-chol) | 70~139mg/dl | |
中性脂肪(TG) | 50~149mg/dl | |
糖代謝 | 空腹時血糖 | 70~110mg/dl未満 |
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー) | 4.6~5.6% | |
尿糖(US, UG) | 陰性(定性検査) | |
尿酸 | 尿酸(UA) | 男性4.0~7.0mg/dl 女性3.0~5.5mg/dl |
腎・尿路系 | 尿たんぱく(P,E) | 陰性 |
尿潜血(OB) | 陰性 | |
尿素窒素(BUN) | 8~20mg/dl | |
クレアチニン(Crea) | 0.7~1.3mg/dl | |
肝・膵臓機能 | ZTT | 3~14単位 |
AST(GOT) | 10~34単位 | |
ALT(GPT) | 5~46単位 | |
γ-GTP | 男性8~61単位 女性5~24単位 | |
ALP | 男性102~249単位 女性~211単位 | |
総ビリルビン(T-bil) | 0.3~1.2mg/dl | |
尿ウロビリノーゲン | 弱陽性(±) | |
総たんぱく(TP) | 6.5~8.1g/dl | |
アルブミン(Alb) | 4.1~5.1g/dl | |
HBs抗原 | 陰性 | |
HBs抗体 | 陰性 | |
HCV抗体 | 陰性 | |
アミラーゼ(AMY) | 血清42~144単位 尿130~950単位 | |
炎症反応 | CRP | 陰性、または0.6mg/dl以下 |
リウマトイド因子(RA) | 陰性、または35単位以下 |