STN(シアリルTn抗原)腫瘍マーカー・がんの血液検査は、卵巣癌と再発性胃癌の血中腫瘍マーカーです。

STN(シアリルTn抗原)|腫瘍マーカー

STN(シアリルTn抗原)腫瘍マーカー・がんの血液検査は、卵巣癌と再発性胃癌の血中腫瘍マーカーです。卵巣癌全体では陽性率が低いものの、粘液性嚢胞腺癌では高値を示す。良性疾患における偽陽性率が低く、癌特異性の高い点で注目される。再発胃癌でも高い陽性率を示し、再発予知マーカーとして有用。

STN(シアリルTn抗原)の基準値

血液検査項目 基準値(参考値)
血液検査名称 略称 数値 単位
  sialyl Tn antigen STN 45 以下 U/mL

STN(シアリルTn抗原)検査の目的

STN(シアリルTn抗原)腫瘍マーカー・がん血液検査は、卵巣癌と再発性胃癌の血中腫瘍マーカー。卵巣癌全体では陽性率が低いものの、粘液性嚢胞腺癌では高値を示す。

STN(シアリルTn抗原)で何を調べている

STN(シアリルTn抗原)腫瘍マーカー・がんの血液検査は、癌細胞において細胞の悪性化により糖鎖合成不全を生じ、その前駆体が蓄積することはよく知られている。一例としてシアリル(シアロシル)Tn抗原(STN)の存在が挙げられる。STNは、アミノ酸であるserineあるいはthreonineと糖鎖がO-glycoside結合したムチン性糖蛋白の前駆体構造「Tn抗原」の末端(母核糖鎖)にシアル酸が付加されたものである。Tn抗原末端がシアル酸に修飾されると、正常細胞に見られるようなその後の糖鎖合成が伸展せずにSTNが細胞内に蓄積し、一部は血中に流出すると考えられている。母核糖鎖に属するSTNは、CA19-9やシアリルLex-i抗原(SLX)のような従来臨床応用が進められてきたⅠ型ないしⅡ型の基幹構造を有するN-glycoside結合型の糖鎖抗原に比べ、より初期段階の糖鎖合成異常に由来する腫瘍関連抗原であり、良性疾患における偽陽性率が低く、癌特異性の高い点で注目される。当初、血中STN値の異常については卵巣癌に高い陽性率を示すとして多くの報告がなされ、臨床的意義を認められてきた。また、最近になって術前STN陽性例が陰性例に比して予後不良であり、その予後を推定する独立した因子であることも明らかになっている。婦人科領域以外の癌では特に再発胃癌に高い陽性率が得られており、再発予知マーカーとして期待される。

STN(シアリルTn抗原)でわかる病気

STN(シアリルTn抗原)腫瘍マーカー血液検査結果が適正範囲より大きく乖離している場合には疾患の可能性がありますので、値が乖離した原因を診療機関で医師の診察を受けるようにしてください。

検査結果 考えられる原因と疾患の名称
基準値より高値 卵巣癌、子宮頚癌、胃癌、胆道癌、膵癌
基準値より低値
【備考】

卵巣癌や各種消化器癌で高値を示し、良性疾患で低値を示す事から、癌特異性が高く、卵巣癌や胃癌再発例の補助診断、経過観察に有用です。

【関連項目】
シアリルLeX-i抗原(SLX)CA602CA72-4CA54/61