CSLEX(シアリルLex抗原)は、進行乳癌、再発乳癌において高い陽性率を示すことが報告されています。

CSLEX(シアリルLex抗原)|腫瘍マーカー(がん血液検査)

シアリルSSEA-1抗原は癌胎児性の糖鎖抗原であり、血液型物質の一種でもある。血中シアリルSSEA-1抗原は肺癌、卵巣癌、膵臓癌をはじめとする各種の腺癌で高値を示す、特異性の高い腫瘍マーカーである。CSLEXは、進行乳癌、再発乳癌において高い陽性率を示すことが報告されています。特に、再発乳癌では再発部位にかかわらず高い陽性率を示し、CEA、CA15-3などと組み合わせることにより、陽性率が上昇するとされています。また病状の進行と一致して変動することが報告されていることから、本検査は、進行乳癌および再発乳癌の診断補助や治療効果判定の指標として有用と考えられます。

CSLEX(シアリルLex抗原)の基準値

血液検査項目 基準値(参考値)
血液検査名称 略称 数値 単位
シアリルLex抗原 CSLEX 8.0以下 U/mL

CSLEX(シアリルLex抗原)検査の目的

CSLEX(シアリルLex抗原)は、肺腺癌等、腺癌に有用な糖鎖性血中腫瘍マーカー。膵癌の鑑別においてはLewis血液型の影響を受けないとされる。

CSLEX(シアリルLex抗原)で何を調べている

シアリルLex-i抗原(SLX)は、1978年SolterとKnowlesにより見出された胎児性抗原SSEA-1(stage-specific embryonic antigen-1)の糖鎖末端にシアル酸の付加した高分子糖蛋白で、福士ら(1985)の作製したモノクローナル抗体FH-6により認識される。なお、同じ糖鎖抗原であってもCA19-9やその類似抗原が構造上Ⅰ型糖鎖に分類されるのに対して、SLXはⅡ型糖鎖に属する抗原である。すなわち、糖鎖の基幹部分はガラクトース(Gal)とN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)より構成されるが、Ⅰ型糖鎖はGalβ1→3GlcNAcβを、Ⅱ型糖鎖はGalβ1→4GlcNAcβを繰り返し構造単位とする。いわば1→4では直鎖状に糖鎖が伸びるのに対し、1→3では斜めに伸びる形をとっている。個体発生においてはⅡ型糖鎖の方がより早期から存在するとされている。こうした両者の違いは腫瘍マーカーとしての特性にも反映しており、SLXは膵癌をはじめとする消化器系癌にも出現するものの、むしろ肺癌や卵巣癌などの腺癌患者血清中に高頻度に増加する点が注目される。良性疾患における偽陽性率は低く、Ⅰ型糖鎖抗原のようにLewis血液型の影響を受けることもない。

CSLEX(シアリルLex抗原)でわかる病気

CSLEX(シアリルLex抗原)腫瘍マーカー血液検査は適正範囲より大きく乖離している場合には疾患の可能性がありますので、値が乖離した原因を診療機関で医師の診察を受けるようにしてください。

検査結果 考えられる原因と疾患の名称
基準値より高値 肺癌、卵巣癌、子宮癌、膵癌、肝細胞癌、胆道癌、大腸癌
基準値より低値
【備考】

特に、再発乳癌では再発部位にかかわらず高い陽性率を示し、CEA、CA15-3などと組み合わせることにより、陽性率が上昇するとされています。

【関連項目】
CA19-9、エラスターゼ1、NCC-ST-439シアリルTn抗原(STN)CA72-4