ヘモグロビンA1cは糖尿病を判断する重要な検査です。

ヘモグロビンA1cは糖尿病を判断する重要な検査です。

 糖尿病という病気を聞いて皆様は何を思い浮かべるでしょうか。「血糖値が高くなる病気」「不治の病」「目が見えなくなる病気」等でしょう。確かに糖尿病という病気は不治の病でありますが、実際は食事療法や運動療法、薬物療法を上手に組み合わせて治療を行うことで、進行を止め合併症を予防し、ほとんど健常者の方と変わらないよな生活を送ることもできます。そのため、糖尿病の治療において以下に、合併症を起こさせないかがポイントです。しかし、糖尿病そのものには、目立った症状は出ないため、「まだ大丈夫」といった油断が生じ糖尿病を悪化させ、結果として合併症を引き起こすことになってしまうのです。 糖尿病の治療は、如何に軽いうちに治療を始めるかにかかっています。糖尿病は、発見時に高度な糖尿病状態ではない限り、一気に病状が進むことは一部を除きありません。そのため、ある意味、猶予はあるのです。準備なく始めれば長続きしません。糖尿病の治療は現在の生活習慣を少しずつり理想的な生活習慣に計画的に変化させていけばよいのです。「今日糖尿病診断されました、明日から生活習慣を変えてください」ではなく少しずつ、生活習慣を改善改善していけばよいのです。

 さて、ここは血液大辞典の項目ですので、血糖値の事を中心に説明を行っていきます。定期健康診断においても血糖値の検査は、すでに糖尿病を発症している方、糖尿病の予備軍の方にとって重要な検査です。近年では、糖尿病の疑いがあるケースの血液検査では、血糖値を表す検査の中で、HbA1c(ヘモグロビンA1c)と言う検査値を使います。ヘモグロビンA1cは、空腹時血糖値は即時血糖を表しますが、2~3か月の血糖値状態を表し、長期的な診断ができます。では、この血糖はどんな役割を持っているのか、さらに細かく説明していきます。

糖尿病患者数の動向

 糖尿病の患者数は、年々増加しております。1997年 約690万人だったのに対し、2012年 950万人にまで実に1.35倍増加しています。更に、現在大きな問題となっているのが、未病と言われる糖尿病予備軍と言われる方です。糖尿病予備軍とは、言葉の通り、糖尿病にはなっていないが、油断をしていると糖尿病へと移行してしまう方です。
 その糖尿病予備軍といわれる方が、1997年 約680万人だったのに対し、2012年 約1,100万人にまで増加し、約1.6倍にまで増えているのです。
 糖尿病患者、糖尿病予備軍の方を合計すると、2012年 2,050万人と日本人の7人に1人が該当するという結果となります。


  1. 血糖、そして血糖値(ヘモグロビンA1c(HbA1c))とは何か。…血糖は、脳や筋肉を動かすうえで重要なエネルギー源です。

  2. 糖尿病とは?…糖尿病とは何か、そして原因は何か。糖尿病は大きく分けて2種類あります。

  3. 糖尿病の症状と簡易チェック…実は糖尿病かも?簡易チェック表で自己チェックしましょう。

  4. 糖尿病で怖いのは合併症…糖尿病の怖さを知るのは合併症を発症してから。それでは遅いのです。

  5. 糖尿病の検査…糖尿病の検査は、血糖値検査のほかに、ヘモグロビンA1cの検査を行います。

  6. どう予防する糖尿病…生活習慣病である糖尿病は、生活習慣を見直すことで予防することができます。

  7. 糖尿病の治療法…糖尿病の一番の治療は、運動と栄養と生活習慣の見直しにあります。

血糖と血糖値(ヘモグロビンA1c(HbA1c))

 血糖は血液中に溶け込んだ糖を差します。血糖は脳や筋肉を動かすために必要なエネルギー源として重要な役割を持っています。しかし、血糖は高すぎても低すぎても人間の身体に異常を引き起こします。高ければ、高血糖状態となり糖尿病などの病気を引き起こし、低ければ、低血糖状態となり、命にかかわる状態となります。脳にとって糖は唯一エネルギー源として活用できる栄養素です。その栄養素が断たれるということは脳の働きの低下を招き死に直結してしまうのです。



血糖ってどんな働きをしているの?

(身体に血糖の供給します)

①糖は腸管から吸収します。
②食事による腸管から糖の吸収が望めないときは、肝臓に貯蔵されているグリコーゲンが分解され血糖を供給します。脳は全身の中で重量比ではたった2%にすぎませが、全消費エネルギーの実に18%が脳で消費されるのです。成人男性では。、脳だけで480kcalも消費するのです

(血糖値の調整をします)

①血糖調節に関与する主たる器官は肝臓です。また、筋肉、脂肪組織、腎臓(じんぞう)なども大きな役割を果たしています。
②これらの臓器はホルモンや神経の支配を受けつつ様々な条件の元、血糖の調節を行っています
③血糖調節に関与するホルモンは、インスリン、グルカゴン、成長ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、副腎皮質ホルモン、カテコールアミンがあげられますが、血糖値を下げるホルモンはインスリンのみです。他はすべて血糖上昇に働きます。
④以上のことから、生体は高血糖よりも低血糖に対する防御が強いということを差し示しています。これは、低血糖が人間にとって致命的なダメージを与えるためです。そのため、インスリンの不足は簡単に高血糖を招くことになります。

(そのほかの血糖値の関与はこちら)

①神経系の関与は古くから知られています。しかし、血糖調節機能全体にどの程度の影響を与えているかは明らかになっていません。現在分かっていることは、迷走神経刺激によって膵臓からのインスリン分泌が増加し、交感神経の興奮によって逆にインスリン分泌が抑制されることが確認されています。したがって、神経系による調節とホルモンによる液性調節とは互いに関連しあっているものと推測されます。
②そのほかに遊離脂肪酸も血糖調節に関与しています。遊離脂肪酸濃度の上昇によってインスリンの作用は拮抗され、濃度の低下によって協調されます。この関係はブドウ糖・脂肪酸サイクルとよばれています。
③さらに運動や食事内容も血糖調節に関与しますが、これらもインスリン、グルカゴンなどのホルモンとの関連が深いことがわかっています。


血糖値(BG、ヘモグロビンA1c)って何?

 血糖値は、血液中に含まれる糖の量を言います。身体の中で、血糖は絶妙なバランスを保ちながら、1デシリットル(100cc)中70~90ミリグラムに維持されています。生体内のホルモンは血糖値を下げるホルモンは1種類(インスリン)であるのに対し、血糖値を上げるホルモンは4種類(グルカゴン、アドレナリン、コルチゾール、成長ホルモン)が関与しています。これは、血糖値を維持することが生命を維持するうえで重要であることを意味しています。そのため、インスリンの一種類のホルモンが欠乏するだけで血糖値は上昇傾向に容易に向かってしまうのです。

血糖値(BG、ヘモグロビンA1c)の検査

血糖値:BG

 一般的な血糖値の指標として使われる血糖値検査です。前日の夕食後から絶食し、朝一番に空腹の状態で採取して測定します
。詳しくは、「血糖値(BG)」をご参照ください。

血糖値:ヘモグロビンA1c(HbA1c)

 ヘモグロビンと糖がくっついたものをヘモグロビンA1cといいます。概ね過去1~2ヶ月の血糖値の平均を反映しています。
詳しくは、「血糖値(HbA1c(ヘモグロビンA1c))」を参照お願いたします。

 正常値は上記で上げた通り、4.3~5.8%となります。右記の表は血糖値との対象表です。

6%未満は、糖尿病における目標値となります。
7%未満は、糖尿病における合併症予防の目標値です。
8%未満は、糖尿病に対する治療強化が困難な場合の目標値です。
それ以上の数値は危険信号となります。

HbA1c(%) 平均血糖値(mg/dl)
60
90
120
150
180
210
10 240

血糖値の測定結果 高血糖と低血糖

 血糖値とは、上記で述べた通り血液内のグルコース(ブドウ糖)の濃度です。正常値は、空腹時血糖値はおおよそ80-110mg/dl程度で、食後は若干高い値を示します。ヒトの血糖値は、血糖値を下げるインスリン、血糖値をあげるグルカゴン、アドレナリン、コルチゾール、成長ホルモンといったホルモンにより、非常に狭い範囲の正常値に保たれています。これは、体内におけるグルコースはエネルギー源として重要である反面、高濃度のグルコースは糖化反応を引き起こし微小血管に障害を与え生体に有害であるため、血糖値は常に一定範囲に保たれています。

血糖値が高いとどうなる?(高血糖)

 血糖値の高い状態(高血糖)となっても、特に大きな体調が変化は起きません。あるいは、高血糖の症状があっても、軽度であるか、非常にゆっくりと現れるため、気づきません。高血糖のサインとしは以下の症状があります。これらの症状が現れた際は注意しましょう。

①ふだんより空腹感やのどの渇きを覚える
②夜間は特に尿の回数が増えた
③皮膚が乾燥する、またはかゆい
④疲労感があり、眠い
⑤目がかすむ
⑥かぜなどの感染症にかかりやすい
⑦切り傷やただれなどの治りが遅い


血糖値が下がるとどうなる?(低血糖)

血糖値が下がると(低血糖)、高血糖とは違い、顕著な症状が現れます。
・血糖値が70mg/dl以下になると異常な空腹感が現れます
・動悸・震えなどの症状が出てきます。

※これらの症状は、糖尿病で普段高血糖状態にありますと、高い血糖値でも症状が現れてきます。また血糖値の下がるスピードが速い時も、比較的高い血糖値で症状が現れ始めることがあります。

さらに血糖値が下がると
・低血糖を放っておき血糖値が50mg/dl以下になると中枢神経の働きが低下します。
・血糖値が30mg/dl以下になると意識レベルが低下し、昏睡状態から死に至ることもあります。

低血糖を引き起こす原因
・最も多いのが糖尿病の薬物療法に伴うもので、インスリンの過剰な状態になった時に低血糖になります。
・糖尿病でインスリン治療や経口血糖降下剤投与を受けている人が、食事を抜いたり激しい運動をしたりすると、薬が効きすぎて血糖が下がり過ぎます。
また薬の量を間違えてたくさん飲んだり、インスリンを多く打ち過ぎたりした時も、低血糖になります。


血糖値の異常と病気

検査を受けて糖尿病と診断が確定したら、医師の指導のもと食事療法と運動療法を開始します。食事と運動で血糖が下がらない場合は、インスリン注射が行なわれます。なお、食事療法や運動療法の補助薬品として世界37カ国で販売・使用されている仏製薬大手サノフィ・アベンティスの肥満治療薬「アコンプリア(一般名:リモナバン)」は、日本国内においては第3相臨床試験中であり、現在のところ新薬申請の予定は立っていません。糖尿病は慢性の病気ですので、根気よく治療を続けることが大切です。食事療法、運動療法、インスリン療法で血糖コントロールをよくして合併症さえ防げれば、健康な人と同じように仕事もスポーツもできますので頑張りましょう。

血糖値が異常な場合に疑われる病気血糖値が高値…糖尿病、クッシング症候群、甲状腺機能亢進症、膵炎、肝炎、肝硬変など
血糖値が低値…インスリンノーマ(膵島線種)、糖原病、肝臓がん、ガラクトース血症など


糖尿病とは何か、原因と種類について

 糖尿病とは、血糖値が高い状態が長く続く病気です。血糖値が170mg/dl以上になると、尿にブドウ糖が血液中からあふれ出でてきます。このように尿の中にブドウ糖が漏れてくることがあるため、「糖尿病」と名づけられました。私たちが毎日の食事で摂取する栄養は腸から吸収されて血液中に入ります。また、摂りすぎた栄養分が一度、糖となり、これらは通常脂肪やそのほかの形となり蓄積されていきます。血糖は体のいろいろな細胞(脳、筋肉、肝臓など)に取り込まれて、エネルギー源として役に立ちます。通常では、血糖値は非常に狭い範囲に調節されています。その調は節膵(すい)臓のランゲルハンス島の中にあるβ細胞から分泌されるインスリンというホルモンの作用によって行われています。このインスリンの分泌が低下したり、その働きが十分でないと血糖がスムーズに細胞内に入っていけなくなり、その結果血糖値は高くなります。



糖尿病の種類

 糖尿病には、Ⅰ型糖尿病、Ⅱ型糖尿病、そのほかに、遺伝子やそのほかの以上によるもの、妊娠糖尿病などがあります。

Ⅰ型糖尿病

膵臓のランゲルハンスβ細胞が破壊され、インスリンをほとんど、あるいは全く作る機能を失ったため、インスリンの量が絶対的に不足し起こる糖尿病をいいます。

Ⅱ型糖尿病

インスリンの量が不十分、肝臓や筋肉などの細胞がインスリン作用が低下しブドウ糖を上手に取り入れられなくなる。この二つのどちらかが、或いは両方が原因となって糖尿病となります。
これらは、生活習慣が関係している場合が多く、糖尿病者の95%がこのタイプです。

妊娠糖尿病

妊娠時に現れる糖尿病。新生児に合併症が出ることもあります。

その他の糖尿病

遺伝子の異常、肝臓・すい臓の病気、感染症、免疫の異常、薬物起因等が原因となり糖尿病を発症する。

糖尿病の各種原因について

Ⅰ型糖尿病の原因

発症原因は解明されていませんが、自己免疫の異常が重要な要因の一つと言われています。
  • 自己免疫疾患の遺伝的素因(HLA-DR、DQ、PTPN22、CTLA-4など)
  • 自己抗体(ICA、抗GAD抗体、抗IA-2抗体、抗インスリン抗体など)
  • 分子模倣(コクサッキーBウイルスと抗GAD抗体の抗原であるグルタミン酸デカルボキシラーゼの相似性を根拠とする、そのほかエンテロウイルスやEBウイルスがよく候補に挙げられる)
しかし、1型糖尿病の一部では自己抗体が発見されず、膵臓にも炎症細胞の浸潤が見られないものもあります。これは自己免疫性とは言えない。さらに、アジア、アフリカ人に多いとされるこの病型の原因についてはもとんど不明です。

Ⅱ型糖尿病の原因

遺伝的要因と環境的要因があります。
  • 遺伝的要因とは、両親や親戚に糖尿病をもっているひとがいると普通のひとより糖尿病を発症する可能性が高いタイプであるということです。
  • 環境的要因とは、“食べすぎ”“運動不足”“ストレス”といった生活習慣のことを言います。
これらの要因が、複数組み合わさり糖尿病になると考えられています。このように2型糖尿病の場合、生活習慣も重要な要素であることから、「生活習慣病」と呼ばれています。

妊娠糖尿病の原因

妊娠中に分泌されるホルモンの影響で、血液中の糖の分解が難しくなることが原因で起きます。妊娠すると、胎盤からインスリンの働きを抑えるホルモン(プロゲステロンなど)が分泌されたり、インスリンを壊す酵素が作られたりするため、インスリンが効きにくい状態になり、血糖値が上昇しやすくなります。また、妊娠後期の身体にはインスリンが大量に必要になりますが、この時にそれに見合ったインスリンが作られないと高血糖になってしまいます。


糖尿病の症状と簡易チェック

糖尿病には大きく分けてⅠ型糖尿病、Ⅱ型糖尿病に分けられます。原因も異なりますが、症状の出方についても大きく異なりますので、チェックしましょう。
1型糖尿病は、特に急激に発症します。ケトアシドーシスになりやすいのが特徴です。しかし、ゆっくりと進行するⅠ型糖尿病もあります。
2型糖尿病はゆっくりと発症し、いつ糖尿病を発症したのかははっきりしません。
*ケトアシドーシス:インスリン不足により糖質の利用ができなくなり、脂肪が分解・利用されるため、ケトン体が生産されて血液が酸性になることをいいます

高血糖による症状としては、 口渇(のどの渇き)、多飲、多尿、多食、体重減少、体力低下、 易い疲労感、易感染などがあります。尿に糖が多量に排泄され、その甘い匂いで発見されることもあります。

糖尿病の初期症状

糖尿病 の典型的な症状として以下のような症状があげられます。

  1. 多量の尿が出る
  2. とても喉が渇く
  3. 運動も食事制限もしていないのに体重が落ちてきた

上記の3症状は高血糖のサインなのです。血糖値を測定すれば、おそらく250mg/dl以上あると思ってよいでしょう。上記のよな症状があって、空腹時血糖値126mg/dl以上、または随時血糖値200mg/dl以上、またはHbA1C 6.1%以上であれば、糖尿病と診断してよいことになっています。症状がなくて血糖値のみの判定の場合、改めて行った2回以上の検査の結果を見て診断されます。

糖尿病の初期症状の特徴は、異常なのどの渇きと、排尿回数の増加です。

血糖が高くなると血液は、シロップのように濃くなります。脳はこれを脱水状態と判断し水を飲んで薄めるよう身体に指令を出します。そのため、多量に水を飲み、腎臓から尿として大量に糖を排泄するようになります。
高血糖の時は体にブドウ糖を取り込めない(インスリン作用が不足するため、血中から体内への糖の移行ができません)ので、砂糖入りの甘いソフトドリンクを飲みたくなります。飲む程にますます喉が渇きます。マイルドな渇きは食べ過ぎやインスリンの単位不足でも日常的に起きています。
多尿と頻尿は別で、たびたびトイレにいっても少量の排尿だったり、特に排尿時に痛みがあったり、血が混じっていたり、なかなか尿が出てこなかったりしたら尿道炎かも知れませんし、男性の場合は前立腺の問題の可能性もあります。自分は日本茶が好きだからとか、ビールが大好物だからと思い込んでいると、口渇・多尿のサインに気づかないこともあります。

?糖尿病の初期症状?視野がぼやける

高血糖による視力異常はちょっと怖い思いをすることがあります。糖尿病 網膜症のことで医師から脅されているからですね。でも網膜症は何年にもわたる高血糖の結果なので、数年の糖尿病では心配のしすぎかも……。

数日以上の高血糖が続くと眼のレンズが膨らみ、厚みが増すことがあります。つまり、老眼鏡を掛けたような状態です。多くの場合は血糖コントロールをよくすれば数日で改善しますが、レンズが完全に元に戻るには6週間以上かかるそうなので、注意しないといけません。

?糖尿病の初期症状?脱力感

糖尿病による疲労感や脱力感は高血糖や低血糖の時に現われる症状です。低血糖では別の低血糖症状が伴いますからすぐに分かりますが、高血糖(つまり、インスリン不足でエネルギー源のブドウ糖が筋肉に取り込めない)の脱力感は「くるまのガス欠」のようなものです。

マイルドな症状では、「年だから」「過労気味」などと納得しがちですが、糖尿病 のある人は血糖測定をすると分かります。病気の時に脱力感があったら高血糖のリスクに注意しましょう。

?糖尿病の初期症状?体重減少と空腹感

インスリン不足で高血糖になって、それが尿糖として食べたものがどんどん体外に出てしまうと、結果的にカロリー不足になります。また、体はブドウ糖が取り込めないと、脂肪を分解してケトン体としてブドウ糖代替エネルギー源にしたり、筋肉のタンパク質を分解してブドウ糖を生成するようになります。いずれにしても高血糖がひどいと体重が減ります。

高血糖症状の口渇、多尿よりも一般的ではありませんが、高血糖でやせてくるのはとても悪い状態です。さらに、高血糖は免疫力を下げて感染症に罹りやすくします。また、思考力にも悪影響を与えます。さらに神経障害の痛みを増悪することも確かです。

糖尿病かも?簡易症状チェックをしましょう。

糖尿病:全身の症状をチェック

口渇が強く、水を良く飲む
身体がだるく、疲れやすい
食欲が強く、空腹感を良くおぼえる
食べる量は、変わっていないが体重が減った
手・足先が冷える
体がむくむ
食事中に汗をかく
食事後に強い眠気がくる
性欲ない
傷が治りにくい
立ちくらみがよくする
便秘や下痢が続く

糖尿病:足の症状をチェック

足が冷える
足が火照る
足が痺る(指先がピリピリ)
足先が痛い(怪我をした覚えはない)
足の皮膚が乾燥したりひび割れてきた
最近、水虫になってしまったり、ひどくなった
足の皮がむけやすくなった
足にタコができやすくなった
最近、足に怪我をしやすくなった
足の爪が巻き爪になった
足がよくつるようになった
こむら返りがおきやすくなった
足が痙攣する
足の裏の感覚がにぶい

糖尿病:尿の症状をチェック

排尿回数が多い
一度に出る量が多い
尿が異常に泡立つ(いつまでも残る)


糖尿病で怖いのは合併症

糖尿病の怖さは糖尿病そのものより合併症にあります。しかし、いくら「合併症が怖い」といってもその合併症について正しく理解していなくては怖さは伝わりません。糖尿病で病院に行って、血糖コントロールが悪いと「目が見えなくなる」とか 「腎臓が悪くなって透析を受けなければならなくなる」などと脅かされた方も多いことと思います。事実、失明や透析導入の原因のナンバーワンが糖尿病なのです。

 目の病気(糖尿病性網膜症)、腎臓の病気(糖尿病性腎症)、末梢神経の病気(糖尿病性神経障害)を糖尿病の三大合併症と呼んでいます。 また、糖尿病のコントロールが悪いと、細菌などに対する抵抗力が弱まり、ひどい感染を起こすリスクが増すことになります。

糖尿病は合併症の病気といわれているように、糖尿病コントロールの主目的は合併症発症予防と進展の抑制となります。糖尿病の合併症とは、一般的に急性合併症と慢性合併症に大別されます。


糖尿病の慢性合併症

糖尿病の慢性合併症とは、糖尿病に罹患してから数年を経て発症する合併症をいいます。糖尿病で血糖をコントロールする目的は殆どはこれらの予防にあります。慢性合併症には様々なものがありますが、、糖尿病性神経障害・糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症の細小血管障害によって生じるものを、糖尿病の「三大合併症」といわれています。慢性合併症には、大きく分けて3大合併症を含む細小血管障害と脳梗塞、心筋梗塞を等を含む大血管障害があります。
  1. 細小血管障害(糖尿病三大合併症)

    1)糖尿病性網膜症

    糖尿病網膜症は、糖尿病腎症・神経症とともに糖尿病の3大合併症のひとつで、我が国では成人の失明原因の第一位となっています。

    2)糖尿病性腎症

    糖尿病性腎症とは、腎臓が糖尿病による高血糖に長年さらされることにより、腎臓の濾過機能を担う糸球体が損なわれる病気です。腎症の病期は、主な臨床症状の有無により第1期から第5期に分類されています。

    3)糖尿病性神経障害

    高血糖が持続すると、まず長い神経の末梢の感覚神経から障害が現れてきます。すなわち、手や足の先から、そして左右対称に出現してくるのが特徴です。例えば、手や足の指先がじんじんしたり、しびれや痛みを感じたり、虫が這っているような知覚異常としてみられます。さらに進行すると運動神経にも障害が現れ、筋肉に力が入りにくくなったり、顔面神経麻痺や外眼筋(目を動かす神経の動眼神経や滑車神経)麻痺を生じて物が二重に見えたりするようになります。

  2. 大血管障害

    1)糖尿病性脳血管障害

    糖尿病の合併症の中でも、大変危険なものの一つが、この脳梗塞(のうこうそく)です。多くの場合、突然何の前ぶれもなく起き、重大な後遺症を起こすからです。最悪の場合、そのまま死に至ることも珍しくありません。

    2)糖尿病性虚血性心疾患

    心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患や脳卒中などの血管障害の原因となる動脈硬化を起こす要因を危険因子(リスクファクター)と呼びますが、危険因子には、糖尿病、高血圧、高脂血症、肥満、喫煙、ストレス、性差(男性)、加齢などがあげられます。このうち、糖尿病、高血圧、高脂血症はインスリンの効きづらい状態、すなわちインスリン抵抗性を介して、相互に絡み合い動脈硬化を加速進行させます。

    3)糖尿病性壊疽

    重度の合併症として知られているのが「糖尿病壊疽」。糖尿病が原因で身体の末端の血行や神経に障害が生じ、小さな傷が治らずに潰瘍化してしまうことが原因です。壊疽は悪化した潰瘍の末期症状。壊疽に至ってしまうと、生命を救うためにその手前で切断手術を行うしかありません。日本では下肢の切断に至る患者さんが年間1万人を越えています。

  3. その他の障害

    1)糖尿病合併脂質異常症

    高脂血症と糖尿病が重なると、健康な方に比べて、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患を発症するリスクは高くなります。
    それは、血糖値が高い状態が長く続くと、LDL(悪玉)コレステロールが酸化されたり、小さくなったり、より血管壁に入り込みやすい状態になって、動脈硬化が一層進行するからです。
    とくに、糖尿病では、中性脂肪値が高く(150 mg/dL以上)、HDL(善玉)コレステロール値が低い(40 mg/dL未満)タイプの高脂血症を合併しやすいと言われています

    2)糖尿病性慢性感染症

    糖尿病患者は、軽度の免疫不全状態となり、皮膚感染症(蜂窩織炎など)、尿路感染症(膀胱炎など)、カンジダ性食道炎、アスペルギルス症などをおこしやすく、また健康な人には感染しないような弱い菌やかび(真菌)による感染症にかかりやすい(AIDS、後天性免疫不全症候群ほどではない)。高血糖状態では白血球(具体的には好中球)の機能が低下することが原因と考えられています。

糖尿病の急性合併症

 急性合併症の代表例としては、糖尿病性昏睡と急性感染症があげられますが、これらは治療の進歩(特にインスリン療法)により、発症とその予後(経過)は著しく改善されています。しかし、未だに克服されたとは言えず、意識障害を来たし、多くの臓器障害まで併発する可能性を含んでおり、生命予後に関わってくる重篤な病態と考えるべきです。

  1. 糖尿病性昏睡

    1)糖尿病性ケトン性昏睡

    ケトン性昏睡は、 以下の要因により発症します。
    ①1型糖尿病を発病していることに気付かずに治療・対処もないまま生活
    ②インスリン注射を自分の判断でやめてしまう、またはインスリン注射の量が適切でない。
    ③2型糖尿病の方が高血糖状態で重い感染症(虫垂炎・肺炎・腎盂炎)で高熱を出したとき
    ④ストレスや疲労、暴飲暴食による血糖値の上昇
    などが、あります。

    2)糖尿病性非ケトン性高浸透圧性昏睡

    非ケトン性高浸透圧性昏睡とは、糖尿病においてみられる神経症状のひとつです。2型糖尿病を基礎疾患に有する高齢者が、感染症などを契機に急性発症することが多いとされています。近年では高浸透高血糖症候群と呼ばれることが多い。

    3)糖尿病性乳酸アシドーシス

    乳酸アシドーシスは、糖尿病以外にもショック状態など組織の酸素欠乏やある種の薬剤、遺伝性代謝疾患などで見られる。
    糖尿病でも、アルコール多飲や心筋梗塞等の心血管疾患などが誘因となって発症してきます。予後が極めて悪い。

    4)糖尿病性低血糖性昏睡

    インスリン治療中の糖尿病患者などが、低血糖に何回かさらされると、血糖低下に対する自律神経の反応が低下し、警告症状の出現がないまま、意識消失などの重大な低血糖症状に至ることがある。

  2. 糖尿病性急性感染症

    ①細菌やウイルスなどに対する抵抗力が低下している。(白血球の殺菌作用が、血糖値250mg/dl以上になると急速に低下)
    ②高齢者、血糖コントロール不良、重篤な合併症がある例ほど感染症に罹患しやすく、重症化しやすい。
    ③発熱を伴う時はインスリン抵抗性が増大し、高血糖が増悪しやすい。


糖尿病の診断基準(ヘモグロビンA1c他)

糖尿病の診断基準は、①早朝空腹時血糖値 126mg/dL以上、②75g糖負荷試験(OGTT)で2時間値 200mg/dL以上、③随時血糖値 200mg/dL以上これに加えてHbA1cがあります。HbA1cは採血時から過去1、2ヵ月の平均血糖値を反映する指標として有用であり、検査を行いやすいことから、血糖値とHbA1cの両方が糖尿病型であれば、1回の検査でも糖尿病と診断できるようになりました


糖尿病の診断基準

糖尿病の血糖値(BG)による診断

①随時血糖値が 200 mg/dl 以上
②早朝空腹時血糖値が 126 mg/dl 以上
③75g糖負荷試験で2時間後の血糖値が 200 mg/dl 以上
1回目の検査後、別の日に2回目の検査を行う。2回の検査でいずれも血糖値が基準値以上の場合、糖尿病と診断されます。

④ただし、上記の一回目の検査の結果に加え、下記の項目が当てはまる場合は糖尿病型と診断します。
● 糖尿病に特徴的な症状(口渇、多飲、多尿、体重減少など)がある
● HbA1c が 6.5% 以上である
● 確実な網膜症がみられる

糖尿病の診断基準図

糖尿病の診断基準~ヘモグロビンA1cによる診断~

ヘモグロビンA1cは、過去1~2ヶ月間の血糖値を示すものです。

糖尿病と診断されるヘモグロビンA1c・・・ 6.5% 以上
(正常値は5.8%未満となります)

2型糖尿病患者を対象にした調査で、
HbA1cが高くなるにつれて目や腎臓の病気などの長期的疾患にかかるリスクが高くなることが統計的にわかっています。
例:ヘモグロビンA1cが9% ... 網膜症になるリスクは、HbA1cが7%の6倍
        10% ... 腎症になるリスクは、ヘモグロビンA1cが7%の10倍近く

糖尿病の診断チャート

糖尿病の診断については、以下のチャートを参照してください。

糖尿病の診断チャート

糖尿病患者のコントロール基準

・ 食前の血糖値が高い場合
・ 食後の血糖値が高い場合
・ 両方が高い場合
とがあります。

最近では食後の血糖値の上昇との脳卒中や心臓病との関係が注目されています。

血糖コントロール(指標と評価)


どう予防する糖尿病~予防は生活習慣の見直しから~

糖尿病の種類は様々ですが、糖尿病の95%を占めるⅡ型糖尿病の予防は、食事と運動などと言った生活習慣の見直しにより可能だといわれています。特に、肥満度が高ければ高いほど糖尿病罹患のリスクは高くなるという統計結果も出ています。肥満度は、皆様もお聞きになったこともあるかと思いますが、BMIを利用することが一般的です。BMIの数値が22であると最も疾患のリスクが低くなるといわれています。BMIと標準体重は以下のような計算式で算出することができます。


BMI=体重(kg)/(身長(m)×身長(m))

標準体重=(身長(m)×身長(m))×22

スリムチェッカーで簡単にBMI肥満度を計算できます!
BMIについて
肥満指標BMIを利用するに当たっての注意事項。

WHOが推奨し世界的に肥満の指標となっておりますBMIですが、高肥満状態が虚血性疾患や糖尿病などの生活習慣病の発生リスクが高くなるという研究結果はありますが、BMI値を適正値(22)に近づければ絶対に健康で病気をしないと保証するものではありません。あくまでも統計的な手法で出した適正値であり適正値に近づける事に加熱しすぎないようご注意ください。ただし、適正値である22から大きく乖離されている方は痩せる(太る)ように食生活や運動など注意するようにしてください。
肥満を体重と慎重で表現するのに限界があるのも事実です。生活習慣病で特にリスクとされている内蔵脂肪が高い人(痩せてるが内臓脂肪が高い人)やスポーツマンなど筋肉質な人などおりますので、健康増進の面から肥満判定をする際には、BMIの他に体格や血液検査やCTなどの検査結果を複合的に評価しする事が好ましいかと思います。

糖尿病を防ぐ食事

糖尿病を防ぐうえで食事は重要な要素の一つです。糖尿病を予防するうえで重要な事は、食べ過ぎないこと、偏りなくバランスよく食べる事が重要です。以下に、糖尿病予防10箇条を参考にどうぞ。

糖尿病 予防10箇条

1)野菜はたっぷりとろう

野菜に含まれる食物繊維は、肥満を防ぐ働きをします。健康日本21では、国民の健康づくりのために野菜を1日に350g(写真参照)以上とり、このうち緑黄色野菜を120g以上とることを目標としています。

2)食事は決まった時間に、時間をかけて食べよう

朝食を抜いたり、食事時間が不規則だったり、寝る前3時間の間に食べるのはよくありません。ゆっくりよくかんで、一家団らん、会話を楽しみながら、時間をかけて食べましょう。

3)甘いものや脂っぽいものは食べ過ぎない

甘いものや脂っぽいものは太りやすい食品です。食べ過ぎに気をつけましょう。

4)ひとり分ずつ、取り分けて食べよう

大勢で大皿から食べると、どのくらい食べたかわかりづらいため、たくさん食べてしまいがちです。

5)薄味にしよう

濃い味のおかずはごはんをたくさん食べてしまいがちです。素材の味をいかした薄味料理を。

6)ながら食いはやめよう

テレビを見ながら、新聞を読みながらといったながら食いも、食べた量がわかりづらいもの。またよく味わえないため、満足感もありません。

7)多いときは残そう

多いと感じたら、無理せずに残しましょう。

8)お茶碗は小ぶりのものを

お茶碗を小さくすると、1膳の量が少なくなるため、食べ過ぎを防げます。

9)調味料はかけずにつける

マヨネーズやドレッシングは、油が多く、太りやすい食品。お醤油などの塩分は、高血圧の原因になり、糖尿病を悪化させます。直接料理にかけず、小皿にとってつけましょう。

10)食品のエネルギーを知ろう

毎日食べるものがどのくらいのエネルギーなのかを知り、食品を選ぶときや食べるときの参考にしましょう。

糖尿病を防ぐ運動

糖尿病を防ぐには、無理のない適度な運動も必要です。食事だけでコントロールすることは身体に負荷をかけるだけではなく、「隠れ肥満」を生み出します。「隠れ肥満」とは、見かけや体重は太っていないのに、内臓脂肪や皮下脂肪が増え体脂肪率が高くなった状態をいいます。また、この「隠れ肥満」の状態は、基礎代謝量と言われる、生命を維持するために必要なエネルギー消費量を減少させ肥満を増長させてしまいます。
 運動を習慣化することで、身体についた中性脂肪を落とし、基礎代謝量の高い身体づくりをすることができます。運動は、運動をしていて「きつい!」と思うようなものは必要ありません。毎日のウォーキングでも良いのです。

糖尿病を防ぐ 運動の工夫

  1. 外出するとき、少しだけ早めに歩く
  2. 遠回りして歩く距離を増やす
  3. 買い物は歩いて、買いだめをせずこまめに行く
  4. 3階までなら階段を使う
  5. 1日1万歩を目標に歩く
  6. 週に1度くらいは、隣の駅まで歩いてみる
  7. 周囲の風景などを楽しみ、観察しながら歩く
  8. テレビを見ながら、ストレッチをする
  9. 泳げなくても、水中を歩く

目標は1週間に23エクササイズ!

厚生労働省が策定した「エクササイズガイド2006」では、1週間の間にどれくらい運動を行えばいいかについて下記のように定めているんだ。 ふだん、あまり体を動かしていない人は、現在の自分の身体活動量に応じた目標を設定し、日常生活において体を動かすことを増やすことからはじめてみよう。

●目標は1週間に23エクササイズ!

?身体活動の強さ「メッツ」に、その身体活動を行った時間をかけて運動の量「エクササイズ」を計算する
 【メッツ×時間=エクササイズ(メッツ/時)】
?1週間のエクササイズの合計が23エクササイズ以上を目標に!
?そのうち4エクササイズ以上は活発な運動を!

※ここでいう、身体活動、運動、生活活動とは…。
身体活動
安静にしている状態より多くのエネルギーを消費するすべての動きのこと。
運動
身体活動のうち、体力の維持・向上を目的として計画的・意図的に実施するもの。
生活活動
身体活動のうち、運動以外のものをいい、職業活動上のものを含む。

運動や生活活動には次のようなものがあります。

強度 運動 生活活動
3メッツ 軽い筋力トレーニング(20分)
ボーリング(20分)
歩行(20分)
屋内の掃除(20分)
4メッツ 速歩(15分)
ゴルフ(15分)
自転車(15分)
子供と遊ぶ(15分)
6メッツ 軽いジョギング(10分)
エアロビクス(10分)
階段昇降(10分)
8メッツ ランニング(7~8分)
水泳(7~8分)
 重い荷物を運ぶ(7~8分)
※( )内は1エクササイズに相当する時間。
3メッツの歩行を1時間行った場合…3メッツ×1時間=3エクササイズ(メッツ/時)
6メッツのエアロビクスを30分行った場合…6メッツ×0.5時間=3エクササイズ(メッツ/時)


糖尿病の治療法~治療の中心は生活習慣の改善です~

糖尿病の治療は、病因或いは重症度(進行度)によって異なります。特にⅡ型糖尿病初期において最も重要な治療法は食事療法と運動療法です。なぜなら、糖尿病は、現在の医学では根治する事の出来ない疾患であり、その治療の目的は合併症の抑制や糖尿病の悪化を抑制し、患者のQOLや健康寿命を維持することにあります。糖尿病の治療は、他の疾患の治療と異なり、根治することはできませんが、食事、運動療法をしっかり行うことで、健康な人とほぼ同じ生活そして寿命を得ることができます。
 しかし、食事療法、運動療法でコントロールができない場合は経口血糖降下薬、インスリンといった薬物利用を開始します。これらの、治療効果については、血糖値等により判定することになります。



糖尿病を治療するうえで食事療法と運動療法が重要

 冒頭でも申し上げましたが、糖尿病における治療は、食事療法と運動療法を主体として治療が進められていきます。高血糖状態は、インスリン分泌を異常亢進させインスリン分泌細胞(膵臓のランゲルハンス細胞B)へ、過度なストレス掛けることになります。その結果、インスリン分泌細胞(膵臓のランゲルハンス細胞B)は疲弊、死滅が進行進んでしまいます。このような状況が進行する前に、糖尿病の治療が開始されることが重要となります。
 
 耐糖能異常(耐糖能:血糖値を正常に保つ能力のことをいいます) の段階から生活習慣の修正や体脂肪減量を行うことが糖尿病への進行を防ぐために推奨されます。体脂肪の中でも内臓脂肪の減量がもっとも重要とされ、インスリン抵抗性(インスリンの血糖への作用のしやすさ)を改善し、高血糖状態からインスリン分泌低下の悪循環を和らげることができます。このことは糖尿病の進行度合いに関係なくいえることです。そのため、糖尿病の診断がつく前(境界型糖尿病)の段階から行うべき治療と言えます。
 特にIGT(IGT:食後2時間血糖に以上が見られるタイプ)といわれる境界型糖尿病では大血管障害(心筋梗塞、脳梗塞んなど)のリスクが高いため積極的な治療が必要と考えられています。

糖尿病の治療状況は血糖値(ヘモグロビンA1cなど)で判定します。

 糖尿病の治療は食事、運動といったインスリン抵抗性を改善させる治療からインスリン投与といった血糖を下げるものなど様々なものがありますが、合併症予防という観点では治療効果判定は血糖コントロールで行うことが多くあります。糖尿病のコントロール状態は食前または食後血糖値、またHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を測定することで判定します。HbA1cは、ヘモグロビンに糖が付着したもので、過去1~2ヶ月の平均的な血糖値を反映します。また近年では、グリコアルブミンを使用することがあり、これは過去数週間の血糖変化と、食後血糖を反映する検査値です。
 実際の治療目標は、

血糖コントロール(指標と評価)

糖尿病の治療~食事、運動、薬物~

糖尿病の食事療法について

糖尿病治療の基本は食事療法です。
2型糖尿病は、食事としてはカロリー制限する食事療法を行うことで、機能低下しているすい臓の負担を軽くし、すい臓の機能を回復させます。1型糖尿病の人は、インスリンの分泌ができなくなっていますので、体の外からインスリンの補給をしますので、補給の調節をしやすくするために食事療法を行います。
 1型も2型も食事をコントロールをしっかりと行っていかなければ、血糖コントロールができなくなるばかりか、ほかの治療を行ってもなかなか効果が上がりません。結果的に、合併症リスクが高まりますので重要な治療法の一つと言えます。

詳しくは、「糖尿病の食事療法」をご覧ください。


糖尿病の運動療法について

運動療法は、食事療法と並んで糖尿病治療の基本です。
運動によりエネルギーの消費量を増加し、肥満を解消 ・抑制します。さらに運動を毎日続けていると筋肉の活動量が上がりますので、悪かったインスリンの働きも改善します。さらに食後1時間頃に運動をすると、ブドウ糖や脂肪酸の利用が促されるため、血糖値が下げる効果もあります。
 1型糖尿病は、インスリンをつくりだす細胞が壊れてしまっているため、運動によるインスリンの機能自体の回復という治療としての効果は望めませんが、運動は筋力を高めたり、ストレス解消にも役立ちます。とくに子どもの場合は心身の健全な発達を助ける手段にもなります。1型糖尿病も2型糖尿病と同様に、運動することで外から補給しているインスリンの働きを高めることができますので、毎日運動することは大切です。
運動したからといって、食事療法は怠らないようにしましょう。血糖コントロールを良好に維持するにはどちらか一方が欠けてもうまくいきません。

詳しくは、「糖尿病の運動療法」をご覧ください。


糖尿病の薬物療法について

 運動療法、食事療法を2~3ヶ月続けても血糖コントロールの目標値が達成できなかった場合に、薬物療法を考慮し始めます。糖尿病の薬物療法には、のみ薬とインスリン注射のふた通りがあります。
 のみ薬は、食事療法や運動療法だけでは血糖が十分にコントロールできない2型糖尿病の人に用いられます。
 インスリン注射は1型糖尿病の人には不可欠ですが、2型糖尿病の人にも必要な場合は用います。

詳しくは、「糖尿病の薬物療法」をご覧ください。