HCG検査は、絨毛癌や卵巣がん、胃がん、肺がん等の腫瘍マーカーとして用いられる事があります。

hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)|腫瘍マーカー

ヒト絨毛性ゴナドトロピンは、受胎の直後から胎児の栄養膜合胞体層(胎盤の一部)で作られる。その役割は卵巣にある黄体の分解を防いで、ヒトの妊娠に重要であるプロゲステロンの産生を保たせる。hCGの別の働きに、例えば母児免疫寛容へ影響していると考えられている。早期の妊娠検査はhCGの検出や測定によるものである。hCGは237のアミノ酸からなる36.7kDaの糖タンパク質であり、また、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)と同一のαサブユニットと独自のβサブユニットからなるヘテロダイマーである。

hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の基準値

血液検査項目 基準値(参考値)
血液検査名称 略称 数値 単位
 human chorionic gonadotropin, serum
hCG 下の表を参照
  血清(mIU/ml) 尿(mIU/ml)
男     性 1.0以下 2.5以下
女性(非妊婦) 1.0以下 2.5以下

 

~6週 4,700~87,200 1,100~62,600
7~10週 6,700~202,000 1,800~191,000
11~20週 13,800~68,300 3,100~125,000
21~40週 4,700~65,300 1,400~29,400

hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)検査の目的

hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)腫瘍マーカー・がんの血液検査は、胎盤絨毛細胞から分泌される性腺刺激ホルモン。妊娠の診断や絨毛性疾患の管理などに用いられる。

hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)で何を調べている

ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)は胎盤絨毛細胞から分泌される分子量約38kDaの性腺刺激ホルモンである。αとβの二つのサブユニットからなり、αサブユニットは他の下垂体前葉ホルモンのものと共通である。妊娠によって大量に分泌され、妊娠の診断や絨毛性疾患の管理などに広く用いられる。 現在用いられている高感度な方法では、排卵後10日程度で検出されはじめ、妊娠9~12週位まで急速に上昇する。画像診断と併せてHCGを測定し、正常妊娠か、胞状奇胎や子宮外妊娠かを鑑別するのに有用である。 胞状奇胎ではHCGは高値を示すがHPLは一般に低値である。絨毛癌ではβ-HCGが産生されることが多いので同時に測定することが望ましい。 最近では絨毛性疾患以外でも、異所性HCG産生腫瘍として卵巣癌、胃癌、肺癌などのマーカーにも使われることがある。

hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)でわかる病気

hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)腫瘍マーカー血液検査結果が適正範囲より大きく乖離している場合には疾患の可能性がありますので、値が乖離した原因を診療機関で医師の診察を受けるようにしてください。

検査結果 考えられる原因と疾患の名称
基準値より高値   妊娠、胞状奇胎、絨毛癌などの絨毛性疾患、異所性HCG産生腫瘍(卵巣、睾丸、胃、肺、膵)  など
基準値より低値  子宮外妊娠(発症後低下する)、流産、早産、胎児死亡
【備考】

妊娠の早期確認,流産、子宮外妊娠および絨毛性疾患の診断、治療効果および寛解の判定などの指標および、異所性HCG産生腫瘍のマーカーなどに有用です。

【関連項目】
総エストロジェン・妊婦、エストリオール(E3)、ヒト胎盤性ラクトジェン(HPL)、遊離HCG-β(HCG-βサブユニット)