好塩基球の働きと基準値|血液と血球成分

好塩基球の特徴と働き

好塩基球は、白血球の中で顆粒を産生する事ができる顆粒球の1つです。好塩基球で産生される顆粒には、ヒスタミン、ヘパリン、ヒアルロン酸などが含まれています。顆粒の中でも特にヒスタミンは、アレルギー反応の際に放出され、アナフィラキシーショック・じんましん気管支喘息などを引き起こす原因と言われています。好塩基球には、免疫に関わる機能があると考えられていますが、詳しい事は解明されておりません。好塩基球は、普通染色の塩基性色素により暗紫色に染まる大型の顆粒(好塩基性顆粒)を持ちます。大きさは直径10~16μmであり白血球の中でも数は少なく、白血球全体の0.5%程度と言われております。


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好塩基球の特徴

白血球の種類(画像)

好塩基球は、白血球の中でも普通染色の塩基性色素により暗紫色に染まる大型の顆粒(好塩基性顆粒)です。ウサギを除き血液中の好塩基球の数は少なく、正常のヒトで白血球の0.5%含まれています。好塩基球の働きは、アレルギー反応を起こす原因だと言われ色々な炎症に関わっています。 また、寄生虫が寄生する箇所には、好塩基球が多く存在しており、寄生虫感染とアレルギー反応の両方に関与しています。細胞の表面には、IgEに結合するレセプターが存在しており、IgEの結合した抗原に反応して好塩基球は顆粒を放出します。放出される顆粒には、ヒスタミン、セロトニン、アミン、ヘパリン、ヒアルロン酸の細胞接着分子である糖タンパク質が含まれている。 アレルギー反応の際には、このヒスタミンが放出され、アナフィラキシーショック・じんましん・気管支喘息などを引き起こすとされている。また、IgE依存性の慢性アレルギー症状において、炎症の誘導について中心的な役割を担っていると推定される。その他、生体の免疫機能に関与していると考えられるが、はっきりとした存在意義は未だ研究途上である。
好塩基球(画像)

好塩基球とアレルギー

生体内の免疫応答は、Th1細胞とTh2細胞が産生するサイトカインによって調節されます。Th1細胞は細胞性免疫を誘導し、Th2細胞は液性免疫・アレルギーを誘導します。どちらの細胞もナイーブCD4+T細胞から分化し、分化誘導には次の3つのシグナルが必要です。

  1. 抗原提示細胞(APC)が取り込んだ抗原が分解されてできたペプチドがMHCクラスII分子に提示され、これをT細胞レセプター(TCR)が認識します。
  2. 抗原提示細胞(APC)が発現するCD80、CD86とT細胞が発現するCD28の刺激補助分子によってT細胞が活性化します。
  3. Th1細胞分化にはIL-12、Th2細胞分化にはIL-4というように、至適なサイトカインが必要です。

病原体の侵入に対して樹状細胞は抗原提示細胞(APC) としてToll様受容体を介してこれを認識すると、CD80/CD86などの補助分子を発現し、IL- 12 を産生します。そして抗原とIL-12刺激を受けた CD4+T細胞はTh1 細胞に分化します。一方、花粉などのアレルゲンに曝されると、樹状細胞を介して抗原の情報を受けたCD4+T細胞はIL-4の作用でTh2細胞に分化します。

(用語の説明)
  • 細胞性免疫:食細胞、細胞傷害性T細胞 、ナチュラルキラー細胞が体内の異物排除を担当する免疫系をいいます。
  • 液性免疫:抗体が血清中に溶解して存在するためこのように呼ばれる。
  • MHCクラスⅡ分子:マクロファージや樹状細胞、活性化T細胞、B細胞などの抗原提示細胞を含め、限られた細胞にのみ発現しています。

Th2細胞の誘導

好塩基球は、マスト細胞と同様IgE抗体を介したアレルギー性炎症における重要なエフェクター細胞です。好塩基球は末梢血白血球の1%未満で通常の組織に存在しませんが、アトピー患者ではアレルゲンが侵入する炎症局所に多くの好塩基球が集積します。さらに、好塩基球はアレルギー疾患の重要なエフェクター細胞として近年クローズアップされています。一方、好塩基球はIL-18/IL-33やプロテアーゼ活性を持つアレルゲンに反応して著明にIL-4を産生することから、"early IL-4"の産生細胞として、Th2細胞の誘導に関わる機能的な細胞ではないかと考えられました。好塩基球はアレルギーのエフェクター細胞に留まらず、アレルゲン—IgEの複合体、プロテアーゼ活性を有するアレルゲンまたは蠕虫由来のアレルゲンに反応して、"early IL-4"を産生すると同時に、細胞表面にMHCクラスIIとCD80/CD86などの刺激補助分子を発現し、アレルゲンをプロセッシングして抗原提示細胞としてナイーブCD4+T細胞に抗原の情報を提供する結果、特異的にTh2細胞を誘導することを明らかに発表しました(Nat Immunol, 2009)。

Th2細胞の増強

アレルギー疾患の中には、しばしばアレルギー反応が増悪するケースがあります。このアレルギー増悪のメカニズムの1つとして、Th2細胞によって産生されたIgEがアレルゲンと架橋し、IgE受容体を介して好塩基球がアレルゲンを効率よく取り込むことで更にTh2細胞を誘導し、IgE産生/アレルギー反応を増強するという、IgEと好塩基球の間の"正のフィードバックループ"が存在するのではないかと言われています。実際、抗原—IgE複合体を生体内投与すると、好塩基球依存的にTh2細胞を効率よく誘導し、アレルギー反応を増強します。 近年では、モノクローナル抗IgE抗体がステロイドに抵抗性を示す重症喘息患者に新しい抗アレルギー薬として採用されています。モノクローナル抗IgE抗体は、好塩基球とマスト細胞上のFcεRIとIgEとの結合に競合してアレルゲンとの架橋を阻害する結果、好塩基球とマスト細胞からのサイトカインや化学伝達物質の産生を抑制すると考えられています。 これに加え、モノクローナル抗IgE抗体はIgEと好塩基球の間の"正のフィードバックループ"をブロックすることで、新たなTh2細胞の誘導/アレルギーの増悪を抑制する効果があるのではないかとも言われています。

好塩基球による喘息のメカニズム

好塩基球の喘息における新メカニズムを解明

理化学研究所の発表によると、ダニ抗原などのアレルゲンで誘導される喘息が、アレルギーを起こす白血球から産生されるインターロイキン-4(IL-4)を介した2型自然リンパ球(NH細胞;ナチュラルヘルパー細胞)との共同作業によって起こるという新しいメカニズムを明らかにしました。私たちの体には、異物から体を守る免疫システムが備わっています。免疫システムは、ときに私たちの体に不都合な反応を起こします。その1つが「アレルギー」で、発生メカニズムによって5つに分類されています。Ⅰ型アレルギーは、免疫グロブリンE(IgE)抗体によって引き起こされ、IgE抗体は肥満細胞(マスト細胞)や好塩基球が持つ受容体に結合することで、アレルゲン特異的にアレルギー反応を起こします。近年、マスト細胞やT細胞だけではなく、好塩基球や自然リンパ球による免疫反応系があり、これら細胞に注目が集まっています。ダニ抗原などに多く含まれるタンパク質分解酵素「システインプロテアーゼは、アレルギーを強く誘導するアレルゲンとして働くことが知られています。このシステインプロテアーゼは、気道上皮から放出されるインターロイキン-33(IL-33)を介して自然リンパ球の1つNH細胞を活性化して喘息を引き起こします。しかし、喘息の発症に関わる好塩基球の働きなど、詳細なメカニズムは分かっていませんでした。好塩基球を持たないマウスと好塩基球由来のIL-4だけを欠くマウスを用い、好塩基球が存在しないことによって、システインプロテアーゼ(イエダニやパパイン)の点鼻投与によって誘導される喘息が抑制されることを明らかにしました。また、IL-4を産生できない好塩基球を持つマウスでも同様の抑制が認められたことから、アレルゲンで誘導される喘息は、好塩基球から産生されるIL-4を介したNH細胞との共同作業によって制御されていることが明らかになりました。

アトピー性皮膚炎との関係

2005年、東京医科歯科大学の烏山一教授らは、血液中に極少量しか含まれていない『好塩基球』という白血球の一種が、アトピー性皮膚炎や喘息など慢性アレルギー疾患の発症の引き金役になっていることを発見した。異物に反応して一時的に皮膚が腫れたり痒くなったりする急性のアレルギー反応は、肥満細胞や白血球の一種であるT細胞が引き起こすことが分かっていた。そこで、研究グループはこれらの細胞を持たないマウスを遺伝子操作で作製し実験した。アレルギー反応を引き起こす物質を繰り返し注射したところ、1~2回目の注射には反応せず、3回目の注射で慢性アレルギーによる皮膚の炎症が起こった。さらに、好塩基球も働かないマウスを作製して同様の実験を繰り返したところ、3回目の注射でもアレルギー反応は起きなくなった。 2009年、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患が、いったん発症すると、徐々にひどくなるのは、白血球の一種である「好塩基球」が原因になっていることを、兵庫医科大学の中西憲司教授と善本知広準教授らが突き止めた。成果は米科学誌ネイチャー・シミュノロジー電子版に掲載。

アレルギーを起こす好塩基球に成長する仕組み

2011年、東京理科大学の久保充人教授らと米ペンシルベニア大のグループは、骨髄にある造血系幹細胞がアレルギーを起こす白血球に成長(分化)する仕組みを解明した。 分化する仕組みを解明した白血球は好塩基球で、アレルギーを起こすことが知られている。 研究チームはアトピー患者の患部などにある「TSLP」と呼ばれるタンパク質に注目。このタンパク質を含む培養液で造血系幹細胞を培養したところ、幹細胞は好塩基球に分化した。 このことからTSLPが好塩基球への分化を促すことが分かった。

好塩基球の基準値 0~1%

生化学血液検査項目 基準値(参考値)
生化学血液検査名称 略称 数値 単位
好塩基球 0-1%
(白血球百分率)

好塩基球の検査結果の判定

 好塩基球の検査基準値と高値、低値で見られる疾患
範囲 白血球百分率
 上昇が認められる範囲 甲状腺機能低下症、骨髄増殖性疾患(慢性骨髄性白血病、骨髄線維症)、炎症性腸疾患(Crohn病)、粘液水腫、放射線照射
 基準値(正常の範囲)  0 ~ 1%
 低下が認められる範囲 好塩基球低下特有の疾患はありません。

好塩基球値が増加する疾患

慢性骨髄性白血病(好中球・好酸球ともに上昇する):発症は緩やかであり、進行しないと症状は現われません。脾臓が腫大することによる左上腹部の不快感、微熱、夜間盗汗、倦怠感などを主訴として医師を訪れ検査の結果診断されることが多い病気です。ただし、最近では、定期健康診断や他の病気の検査時に偶然発見されることの方が多くなっています。身体所見では脾腫が最も多く、進行例では貧血もみられます。

甲状腺機能低下症 :甲状腺ホルモンの分泌量(活性)が不十分となる疾患です。代謝内分泌疾患の一つで、先天性、或いは幼少時発症のものは発達上の障害が大きな問題となるため特にクレチン症といいます。 

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