ペプシノーゲン(PG)は、消化性潰瘍や胃癌の危険予知マーカーです。

ペプシノゲン(PG)|腫瘍マーカー

ペプシノーゲン(PG)は、消化性潰瘍や胃癌の危険予知マーカー。胃癌のスクリーニング、慢性萎縮性胃炎の診断や胃液分泌状態の把握に用いられる

ペプシノゲン(PG)の基準値

血液検査項目 基準値(参考値)
血液検査名称 略称 数値 単位
pepsinogen PG 下の表を参照
 

ペプシノゲン(PG)による胃粘膜萎縮度の判定基準

判 定 測定値
PGⅠ(ng/ml) Ⅰ/Ⅱ比
陰 性(-) 70.1 以上 または 3.1以上 *1
疑陽性(±) 40.0 以下 または 2.5以下 *2
陽 性(+) 70.0 以下 かつ 3.0以下 *3
強陽性(2+) 30.0 以下 かつ 2.0以下 

*1: 疑陽性(±)領域を除く
*2: 強陽性(2+)および陽性(+)領域を除く
*3: 強陽性(2+)領域を除く

ペプシノゲン(PG)検査の目的

ペプシノーゲン(PG)は、消化性潰瘍や胃癌の危険予知マーカー。胃癌のスクリーニング、慢性萎縮性胃炎の診断や胃液分泌状態の把握に用いられる

ペプシノゲン(PG)で何を調べている

ペプシノーゲン(PG)は、胃粘膜に分泌される蛋白分解酵素で、消化性潰瘍の成因に関与する攻撃因子ペプシンの不活性前駆体である。ペプシノゲンⅠ(PGⅠ)は胃底腺領域に存在し、ペプシノゲンⅡ(PGⅡ)は胃底腺、噴門腺、幽門腺、十二指腸腺に存在する。これらを同時測定することにより消化性潰瘍や胃癌のスクリーニング、萎縮性胃炎の診断や胃液分泌状態の把握などに応用することができる。胃癌の先行病変として慢性萎縮性胃炎が知られており、萎縮性変化が強い人ほど高率に胃癌が発見されている。現時点では胃癌に特異的な血中腫瘍マーカーはほとんど存在しないため、胃癌のスクリーニングとしてPGの用途が注目されている。X線による胃透視検査に匹敵、あるいはそれ以上の感度を有するとの報告もある。PGⅠは胃粘膜の酸分泌能とよく相関するといわれ、消化性潰瘍症例では高値が認められることが多い。PGⅠ濃度と、PGⅠ/PGⅡ比が慢性胃炎の診断に用いられる。すなわち胃粘膜における萎縮性変化が広範囲に及んでくると主細胞や壁細胞が減少し、その分泌能が低下するためにPGⅠ値も低下し、それに伴いPGⅠ/PGⅡ比も低下する。また前庭部や十二指腸部に局在するガストリンの分布はPGⅡの分布と近いために、ガストリンとPGⅡは有意の相関を示すといわれる。慢性腎不全では排泄障害により高値を認めることが報告されている。

ペプシノゲン(PG)でわかる病気

ペプシノゲン(PG)腫瘍マーカー血液検査結果が適正範囲より大きく乖離している場合には疾患の可能性がありますので、値が乖離した原因を診療機関で医師の診察を受けるようにしてください。

検査結果 考えられる原因と疾患の名称
基準値より高値 消化性潰瘍(特にPGⅠ高値)、慢性腎不全
基準値より低値 萎縮性胃疾患(PGⅠ、PGⅠ/PGⅡとも低値)、胃癌
【備考】

慢性腎不全では排泄障害により高値を認めることが報告されている。

【関連項目】
ガストリン、ヘリコバクター・ピロリ抗体 IgG、尿素呼気試験《IR》、尿素呼気試験(ピロニックR)、便中ヘリコバクター・ピロリ抗原