尿酸(UA)の基準値
生化学血液検査項目 | 基準値(参考値) | |||
生化学血液検査名称 | 略称 | 数値 | 単位 | |
尿酸 | UA | 男3.7~7.0 女2.5~7.0 |
mg/dL |
尿酸(UA)検査の目的
尿酸血液検査は、一般的な血液検査になります。尿酸血液検査は、痛風の疾患を確認する検査です。
尿酸(UA)検査は何を調べているのか
血液検査で尿酸値を調べることで痛風になるリスクを調べることができます。尿酸は、動物性タンパク質でもある細胞が消化・代謝される時にプリン体が変化して生じた老廃物です。また、尿酸は、プリン体の最終代謝産物で,腎糸球体から濾過され、ほとんどの尿酸が尿細管で再吸収されるが、尿酸の一部は再び尿細管中に分泌されて尿中に排泄されます。体内尿酸が過剰な状態では、関節滑膜や腎尿細管に尿酸ナトリウム結晶が形成され沈着するため、痛風、関節炎、痛風腎を発症します。また、尿酸値が高いということは、動脈硬化が進みやすい状態であることもわかっています。尿酸値は、一般に女性よりも男性のほうが高値になりますが、女性も更年期をすぎて女性ホルモンが低下すると、男性の尿酸値に近くなります。尿酸値の診断基準では男女とも7.1mg/dℓ以上になると「高尿酸血症」と診断されます。尿酸値の測定はプリン体代謝異常や腎機能障害の診断に有用な検査です。
尿酸(UA)の検査結果からわかる病気
検査結果 | 考えられる原因と疾患の名称 |
基準値より高値 | 特発性高尿酸血症、解糖系中間体の増加、筋原性高尿酸血症、呼吸性アシドーシス、腎実質障害、PP-ribose-P合成酵素異常症、糖尿病性腎症、グルタミン酸代謝異常症、尿細管吸収能亢進、熱傷、白血病、肥満、痛風、Bartter症候群、APRT欠乏症、乾癬症、HGPRT欠乏症 |
基準値より低値 | Wilson病、PNP欠損症、アルコール中毒、キサンチン尿症、肝疾患、先天性Xanthine Oxidase欠損症、多発性骨髄腫、特発性低尿酸血症、薬剤(アロプリノール)、Fanconi症候群 |
【備考】高尿酸血症:7.0 mg/dL超〔高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(日本痛風・核酸代謝学会)2002年尿酸値が高い状態の人の事を高尿酸血症(痛風)といいます。高尿酸の状態が続くと関節に尿酸の結晶を作り、関節が運動する時に尿酸の血症が刺激を与え炎症と痛みを感じる事が多いです。発作が起きている時は安静にし痛みが無くなるのを待ちます。そして尿酸値が高い人は尿酸値を下げる必要があります。 【関連項目】尿酸 |
尿酸のバランスが崩れると痛風になる
体内の尿酸は、食事や体内合成で増えた尿酸の量と尿や糞便で尿酸を排出する量が等しい事で体内を正常な状態に保つ事ができています。しかし、尿酸値を上昇させる食品の過剰摂取や環境、そして、尿酸の排出を抑制する環境が長く続く事で体内の尿酸値は上昇をし高尿酸血症が長く続きます。この高尿酸血症の状態が長期間続く事で私達の体の中で尿酸の血症ができ関節などに激しい痛みが生じる痛風となります。
尿酸のバランスが崩れる原因は3種類
尿酸を正常な状態を保つ為には、尿酸の増やしすぎない、尿酸をしっかり排出する事が重要です。しかし、私達の生活習慣の変化により、尿酸を多く含む食品の過剰摂取や尿酸を体内合成を促進する環境、尿酸の排出が抑制されているなどが原因となり体内の尿酸値が上昇し、痛風を発症している事がわかっております。主に痛風を発症するパターンは以下の3つの種類に分類をされます。
- 尿酸過剰型 : 尿酸の排泄量は正常で、尿酸の産生量が多いタイプ
- 尿酸排泄低下型 : 尿酸産生量は正常で、尿酸排泄量が少ないタイプ
- 混合型 : 尿酸産生量が多く、尿酸排泄量が少ないタイプ
尿酸の産生が過剰になる例 | 尿酸の排出が減少になる例 |
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痛風の原因である尿酸の多くは体内合成されています
私たちの体では、毎日600mg程度の尿酸が増え、排出を繰り返しております。この尿酸ですが、肉、卵、ビールを過剰に摂取すると体内に蓄積され痛風の原因の1つである事は、古くから知られています。しかし、尿酸の多くは、食事によるものではなく、体内合成によるものが多いです。(1日600mgの尿酸のうち、約500mgが体内合成され、100mgが食事によるものです。)次に尿酸の排出について説明します。尿酸の排出の多くは、尿によるものです。また、糞便にも尿酸は含まれ排出されます。(1日600m排出される尿酸のうち、約500mgは尿であり、約100mgが糞便によるものです。)このように尿酸は、食事や体内合成で増え、尿や糞便で排出されますが、その量が等しい事で正常な状態を保つ事ができています。
新陳代謝により放出されるプリン体から尿酸はつくられる
体内合成によって多くの尿酸が作られております。体の中では、新しい細胞が生まれて古い細胞が死んでいく「新陳代謝」が、絶えず行われています。その古い細胞が死んでいくときに、遺伝子を構成していたプリン体が放出、分解され、尿酸がつくられます。
運動によるエネルギー消費によって尿酸はつくられる
私たちがさまざまな身体活動を行うとき、そのエネルギー源として、体内にある「ATP」という化合物が使われています。ATPはプリン体の原料となります。通常は、ATPがエネルギー消費のために分解されてもほとんどが再利用されるため尿酸まで分解されるのは一部ですが、急激な運動や暴飲暴食などでATPが急に多量に使われると、再利用されることなく分解が進み、尿酸になるものが増えます。
食品に含まれるプリン体を原料に尿酸はつくられる
プリン体は細胞核の中にある遺伝子に存在するため、内臓(レバーなど)や魚卵など細胞数が多い食材や、乾燥により細胞が凝縮されている干物などに多く含まれています。このプリン体を含む食品を過剰に摂取する事で尿酸値が高くなり痛風の原因となります。