AFPレクチン分画の基準値
血液検査項目 | 基準値(参考値) | |||
血液検査名称 | 略称 | 数値 | 単位 | |
AFPレクチン分画 | AFP-L3 分画 | 10.0以下 | % |
AFPレクチン分画検査の目的
AFPレクチン分画検査は、肝細胞癌由来AFPを分別測定することで、肝細胞癌と肝硬変等とを鑑別する検査。肝細胞癌の早期診断と予後管理に有用。α-フェトプロテイン(AFP)は、レンズマメ・レクチン(LCA)との親和性によりLCA非結合性分画(L1)、弱結合性分画(L2)および強結合性分画(L3)の3分画に分かれます。慢性肝炎や肝硬変では主としてL1分画が、肝細胞癌ではL3分画が増加します。AFPレクチン分画比(L3%)は、この性質を利用して、肝細胞癌を特異的に検出する検査法です。
AFPレクチン分画で何を調べている
α-フェトプロテイン(AFP)は肝細胞癌の優れたマーカーとして広く用いられているが、慢性肝炎や肝硬変のような非肝癌患者でもその血中濃度が上昇するため、軽度~中等度高値(~400ng/mL)症例では一般に鑑別困難とされている。そこで、AFP分子上の糖鎖の癌性変化をレクチンとの親和性を利用して検出し、肝細胞癌由来AFPを分別測定する手法が開発された。 AFPは分子量約7万の糖蛋白で、1分子当たり1個のアスパラギン結合型糖鎖を有する。レンズマメレクチン(Lens
culinaris agglutinin; LCA)を用いた親和電気泳動において分離されるバンドを陽極側よりL1(LCA非結合性)、L2(LCA弱結合性)およびL3(LCA結合性)分画とするとき、非肝癌患者AFPの大部分がL1分画に出現するのに対して、肝細胞癌患者ではL3分画の占める比率が増加する。こうしたLCA親和性の相違は糖鎖根部に結合するフコースの有無に関係していると考えられており、肝細胞癌の際はフコース結合型AFPが増加するという。AFP-L3分画比率の測定は肝細胞癌と肝良性疾患との鑑別診断、肝細胞癌の早期診断、および治療後の予後管理に有用である。
AFPレクチン分画でわかる病気
AFPレクチン分画検査結果が適正範囲より大きく乖離している場合には疾患の可能性がありますので、αフェトプロテイン(AFP)値が乖離した原因を診療機関で医師の診察を受けるようにしてください。
検査結果 | 考えられる原因と疾患の名称 |
基準値より高値 | ヨークサック腫瘍、肝細胞癌、卵黄嚢種(乳幼児) |
基準値より低値 | 体内死亡胎児を有する妊婦、正常妊娠32週以後の妊婦、肝炎・肝硬変の肝障害回復期 |
【備考】 αフェトプロテイン(AFP)の健康診断結果では肝臓癌、胃癌、膵臓癌、胆道癌、大腸癌、ヨークサック腫瘍、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変などを疑うことができます。癌以外でも慢性肝炎でαフェトプロテイン(AFP)値は100ng/mL、肝硬変で中度でもαフェトプロテイン(AFP)値は400ng/mLの上昇します。 【関連項目】CA 19-9、AST(GOT)、ALT(GPT)、PIVKA-Ⅱ、CEA(がん胎児性抗原)、HBs抗原、AFP(α-フェトプロテイン) |