CA125の基準値
血液検査項目 |
基準値(参考値) |
血液検査名称 |
略称 |
数値 |
単位 |
carbohydrate antigen 125 |
CA125 |
35.0 以下(U/mL) |
U/mL |
CA125検査の目的
CA125腫瘍マーカー血液検査は、主に卵巣癌に有効な血中腫瘍マーカー。子宮内膜症と子宮筋腫の鑑別にも用いられる。
CA125で何を調べている
CA125腫瘍マーカーは、Bastら(1981)により卵巣漿液性嚢胞腺癌の腹水培養細胞を免疫原として作製されたモノクローナル抗体OC125によって認識される抗原である。
CA125は、胎児と成人の中皮およびミュラー氏管由来臓器や、成人の卵巣、子宮内膜、腹膜および胸膜に正常でも存在する糖鎖抗原である。これら臓器・組織の癌ないし炎症性疾患では、CA125が著明な産生増加が認められ、とりわけ漿液性卵巣癌に極めて高い陽性率を示すことが報告されている。また、その他の婦人科癌あるいは肝胆膵領域の癌にでもCA125腫瘍マーカーは一定の有用性が認められる。なお、ムチン性の卵巣癌ではCA54/61の測定が有用とされる。 こうした腫瘍マーカーとしての臨床応用に加えて、近年CA125は子宮内膜症の診断ならびに治療の側面からも評価されるようになった。子宮内膜症でCA125が高い陽性率を示すことは早くから知られ、子宮筋腫との鑑別および子宮筋腫患者の手術適応決定の指標に応用が可能である。
CA125でわかる病気
CA125腫瘍マーカーは、検査結果が適正範囲より大きく乖離している場合には疾患の可能性がありますので、値が乖離した原因を診療機関で医師の診察を受けるようにしてください。
検査結果 |
考えられる原因と疾患の名称 |
基準値より高値 |
卵巣癌、子宮体部癌、肝細胞癌、胆道癌、膵癌、子宮内膜症、腹膜炎、胸膜炎(月経中および妊婦も軽度上昇をみる) |
基準値より低値 |
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【備考】
- CA125腫瘍マーカーは、腹膜、胸膜あるいは子宮・卵管内膜でも産生されるため、良性卵巣嚢腫や子宮内膜症、子宮筋腫、炎症、腸閉塞、膵炎、胆嚢炎などの良性疾患や炎症性疾患でも上昇します。
- 中でも、CA125腫瘍マーカーは、子宮内膜症では50%を超える高い偽陽性率を示すことから、子宮内
膜症の補助診断や薬物療法の効果判定に応用されており、CA125腫瘍マーカーは、子宮内膜症でも保険収載されています
- また、CA125はエストロゲン(女性ホルモン)で亢進するため、性、加齢、性周期および妊娠などに影響を受けます。
- CA125腫瘍マーカーのカットオフ値は健常女性の平均値±2SDに相当する35U/mLが一般的に用いられていますが、閉経後は10~15U/mLが正常値とされ、閉経前の女性は同年齢の男性に比べて高値を示し、男女ともに加齢につれて減少傾向を認めます。月経時には60U/mLくらいまで上昇し、100U/mLを超える例もあります。
- 妊娠初期にCA125腫瘍マーカーの値が高値(200~300U/mL)となりますが、妊娠経過とともに低下します。よって、CA125腫瘍マーカーが高値の場合、性周期などを考慮し、再検査を行うとともに超音波検査などの精密検査を行います。
- 逆に、初期がんではCA125腫瘍マーカーが偽陰性率が高いことなどに留意する必要があります。 CA125腫瘍マーカーは、消化器がんでも20~30%の陽性率を示しますが、比較的低い値の場合が多く、CA125腫瘍マーカーが高値である場合は腹膜播種を予測する上で重要といわれています。
CA125値(U/mL) |
健常者 |
良性疾患 |
悪性腫瘍 |
20以下 |
正常値 |
閉経後 |
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20~35 |
若年婦人
妊娠
|
子宮筋腫、卵巣嚢腫
子宮内膜症、骨盤腹膜炎
膵胆肝疾患 |
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35~100 |
低度
上昇 |
不妊薬剤投与
妊娠
月経
|
婦人科良性疾患
子宮内膜症、子宮筋腫
腹膜炎
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肝胆膵、消化器癌
癌腹膜転移
肺癌、乳癌、脳腫瘍
卵巣癌、子宮体癌 |
100以上 |
高度
上昇 |
まれに妊娠
|
炎症合併子宮筋腫
卵巣良性腫瘍
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卵巣癌
消化器癌
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【関連項目】
CA602、CA72-4、CA54/61、癌関連ガラクトース転移酵素(GAT) |
CA125腫瘍マーカー血液検査が異常だった時は
CA125腫瘍マーカーは、卵巣がん、子宮がんでは陽性になる確立が高くなっています。卵巣がんの疑いがある場合には、胎盤内超音波検査、CT検査といった画像検査を併用して総合的に判断されます。CA125腫瘍マーカーが上昇するものとしては、乳がん、膵臓がん、肺がん、大腸がんの可能性もあります。また、子宮内膜症、良性卵巣腫瘍、子宮筋腫、肝硬変、腹膜炎、急性膵炎などでもCA125腫瘍マーカーの値は上昇します。