HDLコレステロール(HDL)

HDLコレステロール(HDL) 健康診断で行う血液検査

HDLコレステロールは、コレステロールの中でも善玉コレステロールと呼ばれ、血管壁などに付着しているコレステロール肝臓へ運搬する働きがあります。脂質の一種であるコレステロールは、そのままでは水に溶けない性質のため、タンパク質と結合して血液の中を循環します。コレステロールとタンパク質が結合したものをリポタンパク質といいますが、比重によっていくつかの種類にわかれます。低比重のものをlow density lipoprotein(LDL、低比重リポタンパク)といい、高い比重のものをhigh density lipoprotein(HDL、高比重リポタンパク)といいます。さらんにvery low density lipoprotein(VLDL、超低比重リポタンパク)、cylomicron(カイロミクロン、乳び脂球)があり4種類のリポタンパク質があります。HDLコレステロールとLDLコレステロールは同じコレステロールで非常に似た名前ですが、その働きは全く逆です。HDLコレステロールは、抹消組織にある余分なコレステロールを回収して肝臓にもどすはたらきがあり血管壁へのコレステロールの沈着をおさえる働きがあるため善玉コレステロールとも呼ばれています。一般的に、HDLコレステロール値の高い人は、心筋梗塞脳梗塞など、動脈硬化がもたらす病気が起こりにくい傾向があります。HDLコレステロールが低下する原因としては、肥満、運動不足、糖尿病、喫煙などがあげられます。運動、食事、減量、禁煙など生活習慣を改善することが大切です。


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HDLコレステロール(HDL)の検査目的と基準値

善玉・悪玉コレステロールの働き

HDLコレステロールの血液検査は、健康診断成人病検診など一般的な検査です。HDLコレステロールは血中から肝臓へコレステロールを送り、LDLコレステロールは肝臓からコレステロールを血中へ送ります。この働きは、HDLコレステロールが抗動脈硬化作用を有していることを示しており、低HDLコレステロール血症は冠動脈疾患(CHD)の主要なリスクと考えられ、冠動脈疾患(CHD)の予防目的として重要であります。(HDLコレステロールは動脈硬化などのリスクを低下させ、LDLコレステロールは逆にリスクを上昇させます。)HDLコレステロールは主に肝臓腸管で合成されタンパク質脂質ともに50%から構成されます。さらに脂質はリン脂質23%、コレステロール20%、トリグリセライド(TG)5%などから構成されています。主要なアポタンパクは、アポA-Ⅰ、A-Ⅱであります。HDLコレステロールの測定はこのHDL分画中のコレステロールを測定し、HDLコレステロールの総量および組成について知るための検査です。そのため動脈硬化性疾患における危険因子の検査や脂質代謝異常が想定されるときに有用とされています。

HDLコレステロール基準値

生化学血液検査項目 基準値(参考値)
生化学血液検査名称 略称 数値 単位
HDLコレステロール HDL M 40~86
F 40~96
mg/dL

HDLコレステロールが少なくなる原因としては、家族性低HDL血症、家族性LCAT欠損症、アポA-I欠損症などの遺伝性の病気の他に、肝硬変、ネフローゼ症候群、糖尿病、冠動脈硬化症、慢性腎不全などの疾患があります。多くの方は、生活習慣を改善することで改善されると考えられています。1.食生活の乱れ(お酒好き、甘いものをよく食べる、野菜や魚を食べない、揚げ物や肉を良く食べる、早食い)、2.喫煙、 3.肥満、 4.運動不足、5.飽和脂肪酸(動物性の脂肪など)、6.ある種の薬剤、ホルモンなどです。特にHDLコレステロールが低い人は、1.食生活の乱れ、3.肥満、4.運動不足を改善しましょう。お酒を飲むときは、おつまみを考えて食べるようにしましょう。
アルコールに揚げ物は避けましょう

HDLコレステロールの検査結果からわかる病気

検査結果 考えられる原因と疾患の名称
基準値より高値 上昇する疾患-① 一次性 : CETP欠損症、家族性高αリポ蛋白血症(長寿症候群)
上昇する疾患-② 二次性 : アルコール多飲、原発性胆汁性肝硬変、薬物投与(インスリン・高脂血症)、閉塞性肺疾患
基準値より低値 減少する疾患-① 一次性 : Tangier病、魚眼病(fish-eye disease )、LPL欠損症、LCAT 欠損症、アポA -1 異常症
減少する疾患-② 二次性 : 肝硬変、薬物投与(サイアザイド)、ネフローゼ症候群、慢性血液透析、肥満糖尿病、甲状腺機能異常、高リポ蛋白血症(I,II,Ⅲ,Ⅳ,Ⅴ型)、冠動脈硬化症慢性腎不全
【備考】

2007年に日本動脈硬化学会から5年ぶりの改訂版が発表され、「高脂血症の診断基準」から「脂質異常症の診断基準」と名称が変更されました。 脂質異常症の診断基準では、動脈硬化性疾患リスクの高い集団をスクリーニングするために、診断基準としてLDL-コレステロールを140mg/dlとして採用し、総コレステロールについては診断基準から除去されました。

【関連項目】 
総コレステロールHDLコレステロールLDLコレステロール中性脂肪

総コレステロールなど血中脂質が高い人の事を脂質異常症と呼びます。この脂質異常症は以前まで高脂血症と呼ばれていたもので血液中の脂質が高い状態の事をいいます。脂質異常症みたいに血液中の脂質が高い事は、血管内の動脈が硬くなる動脈硬化のリスクが非常に高くなると言われています。気づいたときには手遅れにならないよう日ごろから無理なく体質改善をしませんか?そんな方の為に高脂血症の専門ページを作りました。ぜひ参考にして体質改善に役立ててください。脂質異常症(高脂血症)専用ページ

脂質異常症の診断基準

症状名 コレステロールの種類  基準値 
高LDLコレステロール血症 LDLコレステロール値 140mg/dl以上
低HDLコレステロール血症 HDLコレステロール値 40mg/dl未満
高トリグリセライド血症
(高中性脂肪血症)
トリグリセライド値
※トリグリセライドは代表的な中性脂肪
150mg/dl以上

従来の診断基準の指標は「総コレステロール値(220mg/dl以上)」でしたが、LDLコレステロールとHDLコレステロールの違いが判断できませんでした。新診断基準では、LDLコレステロールが多い場合HDLコレステロールが少ない場合中性脂肪が多い場合という3つの種類に分類しました。①.高LDL-コレステロール血症:LDL-コレステロール≧140mg/dl ②.低HDL-コレステロール血症:HDL-コレステロール<40mg/dl ③.高トリグリセリド血症:トリグリセリド≧150mg/dlです。 最近、診断の目安として「LH比」も重視されています。LH比は、「LDLコレステロール値÷HDLコレステロール値」で計算できます。たとえば、LDLコレステロール値135mg/dl、HDLコレステロール値45mg/dlの場合、「135÷45=3」でLH比は3.0となります。LDLコレステロール値が正常であっても、HDLコレステロール値が低いと心筋梗塞を起こす例が多いため、予防には両方のバランスを示す数値(LH比)が参考となります。LH比が2.5以上だと動脈硬化や血栓のリスクが高いため、「ほかの病気がない場合は2.0以下に」、「高血圧や糖尿病がある場合、あるいは心筋梗塞などの病歴がある場合には1.5以下に」を目安とする病院が増えています。

HDLコレステロール値が異常であった人は生活改善が必要です

HDLコレステロールを増やす方法として、習慣的な運動を行うことが進められています。また、食事においては、これ!と言った増やすための食事療法はありませんので、普段から中性脂肪を摂りすぎない、脂肪を摂りすぎないということが重要です。

 一次予防 LDL-C以外の危険因子  LDL-C  HDL-C  TG
まず生活習慣の改善を行った後、薬物治療の 適応を考慮する    Ⅰ(低リスク群) 0  <160  ≧40  <150
 Ⅱ(中リスク群) 1~2 <140  ≧40  <150
 Ⅲ(高リスク群) 3以上  <120  ≧40  <150
 二次予防 LDL-C以外の危険因子  LDL-C  HDL-C  TG
 生活習慣の改善とともに薬物治療を考慮する  冠動脈疾患の既往  <100 ≧40   <150
【備考】
脂質管理と同時に他の危険因子(喫煙、高血圧や糖尿病の治療など)を是正する必要がある。LDL-C値以外のリスクは、加齢(男性≧45歳、女性≧55歳)、高血圧、糖尿病(耐糖能異常を含む)、喫煙、冠動脈疾患の家族歴、低HDL-C血症(<40mg/dl)
 ・糖尿病、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症の合併はカテゴリーⅢとする。
 ・家族性高コレステロール血症については別に考慮する。

鰯などの魚と野菜が豊富な食事ででHDLコレステロールを改善

青魚(いわし)と野菜を豊富に食べましょう

現在、HDLコレステロールを増加させる食品は見つかっていません。そのため、LDLコレステロール、トリグリセライド(中性脂肪)を減らすことが重要であるといわれています。LDLコレステロールの数値が低下することで、HDLコレステロールとの比率が維持されるためです。このことにより脂質異常症の改善、そして動脈硬化の改善につながると考えられています。そのほかにも、食物繊維をたくさん摂ることで、コレステロールの低下につながることが知られていますので、食物繊維が豊富な食品を摂ることが大切です。また、油脂の選択として植物油(特にシソ油)にはコレステロールを抑制する働きがあります。そして、DHA、EPAを多く含んだ青味の魚を摂ることもお忘れなく

コレステロール値が高い方にも運動がおすすめ

コレステロールが高い方は運動が一番

適度な運動は血液中の総コレステロールや中性脂肪を減らすと同時にHDL(善玉)コレステロールを増やす効果があります。運動療法はウォーキングが最も向 いています。体への負担が少なく手軽にできる理想的な有酸素運動です。約10000歩のウォー キングで300kcalの消費を期待できます。日本人の平均的な一日の歩行数は約7000歩です。エレベーターを使わず歩くなど、歩行数を増やす心がけを!!    

その他の健康診断の検査一覧

血液検査項目 血液検査結果からわかること
肥満度 肥満度(BMI)とは、体重と身長の関係から算出される、ヒトの肥満度を表す体格指数です。
血圧 脳卒中心筋梗塞などの原因となる高血圧、低血圧などを判定。測定値は、日によって、また時間によって変動するので、何回か測ることが必要。 





T-Cho 総コレステロールが高いと動脈硬化の原因となり、心筋梗塞脳梗塞などの病気を誘発する。脂質(油・脂)を多くとりがちな食生活の欧米化の影響で、高い人が増加しています
HDL-C 血管内に付着する脂肪分を取り除き、動脈効果を防ぐことから「善玉コレステロール」と言われています。低いと心筋梗塞心筋梗塞などの病気を誘発してしまいます。 
LDL-C 比重の低いリポ蛋白コレステロール。いわゆる悪玉のコレステロール。
中性脂肪 体内の脂肪の主な成分でエネルギーとして利用され、余った分は皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられます。肥満、食べ過ぎ、飲みすぎで上昇し、動脈硬化脂肪肝の原因になります。 



赤血球数 血液中の赤血球数を調べ、低いと貧血が疑われます。生理出血の増加や、鉄分が不足している場合も低くなることがあります。
ヘモグロビン 赤血球の成分のひとつで、主に血液中の酸素を運搬する役割を果しています。
ヘマトクリット 血液中の赤血球の容積の割合(%)を表し、低い場合は貧血の疑いがあります。
白血球数 白血球は、外部から進入した病原体を攻撃する細胞で、高いと感染症や白血病がんなどが疑われます。外傷がある場合や喫煙、ストレス、風邪などでも上昇します。


尿

尿たんぱく 尿中に排泄されるたんぱくを調べ、腎臓病などの判定に用います。激しい運動の後、過労状態のとき、発熱時などに高くなることもあります。
尿潜血 尿中に血液が出ていないか調べます。陽性の場合、腎臓病や尿路系の炎症が疑われます。
血液 クレアチニン 筋肉内の物質からつくられ、尿から排泄されるクレアチニンの量を測り、腎臓の排泄能力をチェックします。高い場合、腎機能障害や腎不全が疑われます。
痛風
検査
尿酸 尿酸は、細胞の核の成分であるプリン体が分解してできた老廃物です。代謝異常により濃度が高くなると、一部が結晶化し、それが関節にたまると痛風になります。 




ZTT 血清に試薬を加えると混濁する反応を利用して、血液の濁りぐあいを測定します。濁りが強いと数値は高くなり、慢性肝炎肝硬変が疑われます。
血清酵素 GOT GOTとGPTはともに肝臓に多く含まれるアミノ酸を作る酵素で、肝細胞が破壊されると血液中に漏れ、数値は高くなります。肝炎脂肪肝肝臓がんなど、主に肝臓病を発見する手ががりとなります。 
GPT
γーGTP アルコールに敏感に反応し、アルコール性肝障害を調べる指標となっています。  
ALP 肝臓、骨、小腸大腸腎臓など多くの臓器に含まれている酵素で、臓器に障害があると血液中に流れ出ます。主に胆道の病気を調べる指標となります。
総たんぱく 清中のたんぱく質の総量。高い場合は、慢性肝炎肝硬変など、低い場合は、栄養不良や重い肝臓病が疑われます。
総ビリルビン ヘモグロビンから作られる色素で、胆汁の成分になっています。黄疸になると体が黄色くなるのはビリルビン色素が増加するためです。

尿
尿糖 尿の中に糖が出ているかを調べ、糖尿病を見つける指標のひとつとされています。陽性の場合は、糖尿病や膵炎甲状腺の機能障害などの疑いがあります。
空腹時血糖 空腹時の血液中のブドウ糖の数値(血糖値)を調べ、糖尿病をチェックします。糖尿病の疑いがある場合は、ブドウ糖付加試験を行います。 
HbA1c 血糖検査では、血液を採取したときの値しかわかりませんが、HbA1cは120日以上血液中にあるため、長時間にわたる血糖の状態を調べることができます。糖尿病の確定診断の指標に用いられたりします。
便潜血反応 大腸や肛門からの出血に反応し、陽性の場合、大腸のがんやポリープが疑われます。

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