塩基性フェトプロテイン(BFP)は消化器、泌尿・生殖器、及び肺小細胞癌などの腫瘍に高値を示します。

塩基性フェトプロテイン(BFP)|腫瘍マーカー(がん血液検査)

塩基性フェトプロテイン(BFP)は、1974年に石井によりヒト胎児血清、腸および脳組織抽出液中に見出された塩基性の胎児性蛋白である。免疫組織化学的に胃癌、大腸癌、原発性肝癌、肺癌、乳癌、腎癌、白血病細胞などに高頻度に存在することが報告されており、腫瘍スペクトルの広いマーカーとして評価されている。また塩基性フェトプロテイン(BFP)は、従来有用なマーカーに乏しかった泌尿器科領域の悪性疾患にも高い陽性率を示す。近年実用化された尿中塩基性フェトプロテイン(BFP)定量は膀胱癌などの尿路系の悪性腫瘍の診断、経過観察に有用とされている。また、BFPと他の既存の腫瘍マーカーとの間に相関性は認められず、コンビネーションアッセイにおいても有用と考えられる。 すなわち臓器特異性は比較的低いものの、塩基性フェトプロテイン(BFP)は診断の確定した悪性腫瘍の経過観察には有用なマーカーと考えることができる。

塩基性フェトプロテイン(BFP)の基準値

血液検査項目 基準値(参考値)
血液検査名称 略称 数値 単位
塩基性フェトプロテイン(BFP) BFP 75以下 ng/mL

塩基性フェトプロテイン(BFP)検査の目的

塩基性フェトプロテイン(BFP)は、各種癌において比較的一定な陽性率を示す癌マーカー。術後の再発の指標としても有用。塩基性フェトプロテイン(BFP)は、ヒト胎児血清、腸および脳組織抽出液中に認めた等電点が 8.5~9.2の塩基性蛋白である。 泌尿器癌、生殖器癌、消化器癌や肺癌など広く検出されることから、治療効果の診断に有用と考えられている。

塩基性フェトプロテイン(BFP)で何を調べている

塩基性フェトプロテイン(BFP)は癌胎児性蛋白のひとつで、広範囲の悪性腫瘍に対するマーカーです。血中BFPは消化器、泌尿・生殖器、及び肺小細胞癌などの腫瘍に高値を示すが、特異性が低いために肝炎や肝硬変、子宮疾患、前立腺疾患などの良性疾患でも疑陽性になる。また、尿中塩基性フェトプロテイン(BFP)は尿路系腫瘍の腫瘍マーカーとしても有用です。 塩基性フェトプロテイン(BFP)はヒト胎児の血清,腸および脳組織抽出液を用いて同定した分子量5.5万の癌胎児性蛋白である。従来の胎児性蛋白が酸性蛋白であるのに対して等電点が8.5~9.2の塩基性蛋白であることからbasic fetoprotein(BFP)と命名された。BFPは健常ヒト血清や腸などの組織には見いだされないが,泌尿器癌,生殖器癌,消化器癌や肺癌など各種癌組織には広範囲に分布し,血中に移行する事から腫瘍マーカーとして用いられている。血清中の塩基性フェトプロテイン(BFP)の測定は,癌の診断や症状経過,治療効果の判定に有用である。

塩基性フェトプロテイン(BFP)でわかる病気

塩基性フェトプロテイン(BFP)検査結果が適正範囲より大きく乖離している場合には疾患の可能性がありますので、αフェトプロテイン(AFP)値が乖離した原因を診療機関で医師の診察を受けるようにしてください。

検査結果 考えられる原因と疾患の名称
基準値より高値 胃癌、大腸癌、肝細胞癌、胆道癌、膵癌、肺癌、乳癌、腎癌、睾丸癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮癌、肝炎、肝硬変
基準値より低値 体内死亡胎児を有する妊婦、正常妊娠32週以後の妊婦、肝炎・肝硬変の肝障害回復期
【備考】

血中BFPは消化器、泌尿・生殖器、及び肺小細胞癌などの腫瘍に高値を示すが、特異性が低いために肝炎や肝硬変、子宮疾患、前立腺疾患などの良性疾患でも疑陽性になる。
また、尿中BFPは尿路系腫瘍の腫瘍マーカーとしても有用です。

【関連項目】 
AFP(α-フェトプロテイン)CA 125DUPAN-2(膵がん関連糖蛋白抗原)CA 19-9癌胎児性抗原(CEA)組織ポリペプチド抗原(TPA)塩基性フェトプロテイン(BFP) 〈尿〉