HDLコレステロールは動脈硬化などを抑制する善玉コレステロールです。

トリグリセライド(中性脂肪)

トリグリセライド ( 中性脂肪 )は、私たちが食べる肉や魚、食用油など食品中に含まれる脂質の一つです。さらに、トリグリセライド (中性脂肪)は毎日食べる食事の中で最も取り入れているものの一つです。そして、私たちのこの体の中にある脂肪もトリグリセライド (中性脂肪)が大部分占めています。トリグリセライド (中性脂肪)は、コレステロールと同様に食事から取り入れられていますが、それだけではなく、肝臓での合成 もされています。また、トリグリセライド (中性脂肪)は、筋肉や心臓のエネルギー源として利用されていますが、使いきれなかった余ったトリグリセライド (中性脂肪)は皮下脂肪という形で、貯えられます。これがみなさんのお腹の周りを邪魔している脂肪(ぜい肉)です。
脂肪は、生命を維持させるうえで大切なエネルギー源であり、食品中の脂質を摂取する事で脂溶性ビタミンや必須アミノ酸なども同時に補えるので必要な栄養素です。また、脂質は、揚げ物のサクサク感や滑らかさを与え食べ物においしさを与えてくれます。しかし、皆様もご存じかと思いますが、この脂肪が現在、過剰摂取の傾向があります。過剰摂取したトリグリセライド (中性脂肪)はぜい肉として体内に蓄積され肥満をまねきます。
近年、トリグリセライド(中性脂肪)の摂取過剰による肥満は大きな問題となっています。更に、この肥満は生活習慣病を引き起こします。血液中のトリグリセライド (中性脂肪)の値が150mg/dl以上になると「高トリグリセライド血症」とされ、メタボリックシンドロームの診断基準にも盛りこまれています。厚生労働省では、日本人の脂質エネルギー比率(摂取エネルギーに占める脂肪の割合)は戦後、急激に上昇し、これに伴って肥満も増加してきたことから、「健康日本21」では20代~40代成人の脂質エネルギー比率を25%以下にする目標を掲げています。

トリグリセライド(中性脂肪)の構造(略図)






- 脂肪酸①
   
- 脂肪酸②
   
- 脂肪酸③
トリグリセライド (中性脂肪)は、3つの脂肪酸とグリセロールが結合した構造で中性であるからこの名前がついたようです。食品化学的な話ですが、トリグリセライド (中性脂肪)に結合している3つの脂肪酸は動物性脂肪では、飽和脂肪酸が多く常温では凝固する性質があります。たとえばバターやラードのような動物性油脂は常温では固体として存在します。それに対して、植物性脂肪では、不飽和脂肪酸が多く常温の状態では液状で存在しています。

トリグリセライド(中性脂肪)の基準値

生化学血液検査項目 基準値(参考値)
生化学血液検査名称 略称 数値 単位
トリグリセライド(中性脂肪) TG 30~149 mg/dL
 

トリグリセライド(中性脂肪)検査の目的

トリグリセライド (中性脂肪)の血液検査では、血液中に含まれるトリグリセライド (中性脂肪)の値を測定し、脂質異常症(高脂血症)のリスク検査を行います。動物性脂質を多く摂取をするような欧米型の食生活により、体内のトリグリセライド (中性脂肪)が必要以上に蓄積されます。余分となったトリグリセライド (中性脂肪)は、様々な臓器への蓄積、血液中のトリグリセライド (中性脂肪)の値を上昇させます。
 この様に血液中のトリグリセライド (中性脂肪)の値が高い状態が長期間続く事により、動脈硬化性疾患(狭心症、心筋梗塞、脳卒中など)などを発症リスクが高めると言われています。

 

トリグリセライド(中性脂肪)検査は何を調べているのか

トリグリセライド (中性脂肪)は、グリセリンの脂肪酸エステル(トリアシルグリセロール)です。血中のトリグリセライド (中性脂肪)は、各種リポ蛋白のコアに組み込まれた形で運ばれます。リポ蛋白はカイロミクロン(CM)、超低比重リポ蛋白(VLDL)、中間比重リポ蛋白(IDL)、低比重リポ蛋白(LDL)、高比重リポ蛋白(HDL)に分類されます。
カイロミクロン(CM)と超低比重リポ蛋白(VLDL)はトリグリセライド (中性脂肪)に多く含みます。
カイロミクロン(CM)は外因性(食事由来)トリグリセライド (中性脂肪)を、VLDLは内因性(肝合成)トリグリセライド (中性脂肪)を輸送します。
カイロミクロン(CM)、超低比重リポ蛋白(VLDL)中のトリグリセライド (中性脂肪)は、リポ蛋白リパーゼ(LPL)により脂肪酸とグリセロールに水解されます。
超低比重リポ蛋白(VLDL)は中間比重リポ蛋白(IDL)を経て、肝性TGリパーゼ(HTGL)により異化代謝されLDLとなります。
血中トリグリセライド (中性脂肪)は各種の原発性・続発性高脂血症で異常値を示し、その測定が病態の診断や治療に重要な役割をします。

 

トリグリセライド(中性脂肪)の検査結果からわかる病気

検査結果 考えられる原因と疾患の名称
基準値より高値 尿毒症、ネフローゼ症候群、グリコーゲン蓄積症、Zieve症候群、Weber-Christian病、Cushing症候群、下垂体機能低下症、家族性高リポ蛋白血症(Ⅰ,Ⅱb,Ⅲ,Ⅳ,Ⅴ型)、甲状腺機能低下症、痛風、動脈硬化症、マクログロブリン血症、脳血栓症、末端肥大症、薬剤投与(サイアザイド・経口避妊薬)、膵炎(急性・慢性)、糖尿病
基準値より低値 Addison病、悪液質、βリポ蛋白欠損症、ヘパリン投与、心不全、下垂体機能低下症、肝硬変、吸収不全症、急性黄色肝萎縮症、急性中毒性脂肪肝、甲状腺機能亢進症、重症肝実質障害
【備考】

中性脂肪(トリグリセライド)の血液検査は食事によって変化


トリグリセライド (中性脂肪)の基準値30~149mg/dlですが、測定する時間によっても変動が大きいため、トリグリセライド (中性脂肪)検査は早朝空腹時に行ないます。トリグリセライド (中性脂肪)値は、食後30分ぐらいから上昇し始め、4~6時間後に最も高くなります。

【関連項目】 
総コレステロールHDLコレステロールLDLコレステロール中性脂肪
 

日本人間ドック学会によるトリグリセライド (中性脂肪)判断基準値

■日本人間ドック学会の判定基準では、
 トリグリセライド (中性脂肪)が150~249mg/dl:要経過観察
                   250mg/d以上 :精密検査または治療が必要だとしています。

■トリグリセライド (中性脂肪)が高いのは、脂質異常症(高脂血症)です。中年以降の男性でこの脂質が高い脂質異常症と病気と診断される人の4割は、トリグリセライド (中性脂肪)の異常高値によるもので、たいてい肥満がみられます。トリグリセライド (中性脂肪)だけでなくコレステロール値も高い場合は、動脈硬化症、糖尿病、甲状腺機能低下症、クッシング症候群などが疑われます。トリグリセライド (中性脂肪)値が1000mg/dl以上の場合は、急性膵炎を起こしやすいので治療が必要です。トリグリセライド (中性脂肪)が低値の場合は、肝臓病、アジソン病、甲状腺機能亢進症などが疑われます。

脂質異常症(高脂血症)専用ページ

 

トリグリセライド (中性脂肪)の検査に異常があったら

トリグリセライド (中性脂肪)が高値を示す人の大半は、肥満や食べすぎ、運動不足、飲酒によるものです。血液中のトリグリセライド (中性脂肪)の値が高い状態が続きますと、心筋梗塞、脳血管障害など、動脈硬化症の病気の原因になりますので、トリグリセライド (中性脂肪)を家庭でコントロールすることが大切です。飲酒している人は、禁酒もしくはお酒の量を減らす節酒します。肥満や運動不足の人は、運動する習慣をつけ、炭水化物や脂肪の多い食事を控えるなどといった努力で、たいてい改善できます。正しい食事療法を行なうだけでも、トリグリセライド (中性脂肪)を約30%も減らすことができますので、ライフスタイルを見直しましょう。

 

トリグリセライド (中性脂肪)が高い状態を放置すると

健康診断などで「トリグリセライド (中性脂肪)が高い」と言われることがありますが、これは血液中の中性脂肪が多い状態を意味します。中性脂肪が多いと、動脈硬化を進めてしまうことが問題です。動脈硬化は、心臓から送り出された血液を運ぶ動脈が硬くなる疾患です。血管の内側の壁にコレステロールがたまって血管の内腔が狭くなり、同時に血管が硬くもろくなることで、血栓ができたり、血管が破れやすくなったりします。動脈硬化は、進行しても自覚症状はありませんが、日本人の死亡原因の上位を占める、心筋梗塞や脳梗塞などの原因となります。

 

なぜ過剰にトリグリセライド (中性脂肪)を摂取すると動脈硬化になるのか

過剰にトリグリセライド(中性脂肪)を摂取をする事で、動脈硬化などの疾患のリスクが高くなる点について説明をいたします。

 食生活の欧米化などにより、動物性食品の摂取量が増加をし、同時にトリグリセライド(中性脂肪)の摂取も増加しております。過剰に摂取したトリグリセライド(中性脂肪)は、体内の臓器や組織に蓄積をし、血液の中にも多量のトリグリセライド(中性脂肪)が浮遊する状態になります。この様な状況が長く続く事により動脈硬化のリスクが高くなると言われております。
 脂質異常症の状態が続くと善玉コレステロール(HDLコレステロール)が減少をし、血管内で回収できなかったコレステロールが増加し、血管の内壁にたまります。そして、悪性度が高まった超悪玉コレステロール(小型LDL [sdLDL])が増殖します。超悪玉コレステロールはである小型LDL、は血管壁に入り込みやすく酸化されやすいため、動脈硬化を強力に進める。この様な状態が続きますと血液の粘度が高まり、血管が詰まりやすく、血管壁に無理な力が加わって、血管が破れやすくなります。
 当然、年々と血管はもろくなり、弱った部分から炎症が発生します。血管内で発生した炎症は、白血球の仲間のマクロファージと呼ばれる細胞がコレステロールを取り込んで、プラーク(動脈硬化巣)を形成する。中性脂肪はこの炎症反応を強める血管の内側を増殖する事により血液の流れを悪くしていきます。

 

動脈硬化性疾患診療ガイドライン2007年

脂質異常症の診断基準(血清脂質値:空腹時採血) 治療方針の原則は以下の通り

  • 高LDL-コレステロール血症:LDL-コレステロール≧140mg/dl
  • 低HDL-コレステロール血症:HDL-コレステロール<40mg/dl
  • 高トリグリセリド血症:トリグリセリド≧150mg/dl
  • 高コレステロール血症:総コレステロール≧220mg/dl

治療方針の原則は以下の通り

 一次予防 LDL-C以外の危険因子  LDL-C  HDL-C  TG
まず生活習慣の改善を行った後、薬物治療の 適応を考慮する    Ⅰ(低リスク群) 0  <160  ≧40  <150
 Ⅱ(中リスク群) 1~2 <140  ≧40  <150
 Ⅲ(高リスク群) 3以上  <120  ≧40  <150
 二次予防 LDL-C以外の危険因子  LDL-C  HDL-C  TG
 生活習慣の改善とともに薬物治療を考慮する  冠動脈疾患の既往  <100 ≧40   <150
【備考】
脂質管理と同時に他の危険因子(喫煙、高血圧や糖尿病の治療など)を是正する必要がある。LDL-C値以外のリスクは、加齢(男性≧45歳、女性≧55歳)、高血圧、糖尿病(耐糖能異常を含む)、喫煙、冠動脈疾患の家族歴、低HDL-C血症(<40mg/dl)
 ・糖尿病、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症の合併はカテゴリーⅢとする。
 ・家族性高コレステロール血症については別に考慮する。
 

その他の健康診断の検査一覧

血液検査項目 血液検査結果からわかること
肥満度 肥満度(BMI)とは、体重と身長の関係から算出される、ヒトの肥満度を表す体格指数です。
血圧 脳卒中や心筋梗塞などの原因となる高血圧や、低血圧などを判定。測定値は、日によって、また時間によって変動するので、何回か測ることが必要。 





T-Cho 数値が高いと動脈硬化の原因となり、心筋梗塞や脳梗塞などの病気を誘発してしまう。脂や脂肪分を多くとりがちな食生活の欧米化の影響で、高い人が増加しています。
HDL-C 血管内に付着する脂肪分を取り除き、動脈効果を防ぐことから「善玉コレステロール」と言われています。低いと心筋梗塞や脳梗塞などの病気を誘発してしまいます。 
LDL-C 比重の低いリポ蛋白コレステロール。いわゆる悪玉のコレステロール。
中性脂肪 体内の脂肪の主な成分でエネルギーとして利用され、余った分は皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられます。肥満、食べ過ぎ、飲みすぎで上昇し、動脈硬化や脂肪肝の原因になります。 



赤血球数 血液中の赤血球数を調べ、低いと貧血が疑われます。生理出血の増加や、鉄分が不足している場合も低くなることがあります。
ヘモグロビン 赤血球の成分のひとつで、主に血液中の酸素を運搬する役割を果しています。
ヘマトクリット 血液中の赤血球の容積の割合(%)を表し、低い場合は貧血の疑いがあります。
白血球数 白血球は、外部から進入した病原体を攻撃する細胞で、高いと感染症や白血病、がんなどが疑われます。外傷がある場合や喫煙、ストレス、風邪などでも上昇します。


尿

尿たんぱく 尿中に排泄されるたんぱくを調べ、腎臓病などの判定に用います。激しい運動の後、過労状態のとき、発熱時などに高くなることもあります。
尿潜血 尿中に血液が出ていないか調べます。陽性の場合、腎臓病や尿路系の炎症が疑われます。
血液 クレアチニン 筋肉内の物質からつくられ、尿から排泄されるクレアチニンの量を測り、腎臓の排泄能力をチェックします。高い場合、腎機能障害や腎不全が疑われます。
痛風
検査
尿酸 尿酸は、細胞の核の成分であるプリン体が分解してできた老廃物です。代謝異常により濃度が高くなると、一部が結晶化し、それが関節にたまると痛風になります。 




ZTT 血清に試薬を加えると混濁する反応を利用して、血液の濁りぐあいを測定します。濁りが強いと数値は高くなり、慢性肝炎や肝硬変が疑われます。
血清酵素 GOT GOTとGPTはともに肝臓に多く含まれるアミノ酸を作る酵素で、肝細胞が破壊されると血液中に漏れ、数値は高くなります。肝炎や脂肪肝、肝臓がんなど、主に肝臓病を発見する手ががりとなります。 
GPT
γーGTP アルコールに敏感に反応し、アルコール性肝障害を調べる指標となっています。 
ALP 肝臓、骨、腸、腎臓など多くの臓器に含まれている酵素で、臓器に障害があると血液中に流れ出ます。主に胆道の病気を調べる指標となります。
総たんぱく 血清中のたんぱく質の総量。高い場合は、慢性肝炎や肝硬変など、低い場合は、栄養不良や重い肝臓病が疑われます。
総ビリルビン ヘモグロビンから作られる色素で、胆汁の成分になっています。黄疸になると体が黄色くなるのはビリルビン色素が増加するためです。

尿
尿糖 尿の中に糖が出ているかを調べ、糖尿病を見つける指標のひとつとされています。陽性の場合は、糖尿病や膵炎、甲状腺の機能障害などの疑いがあります。
空腹時血糖 空腹時の血液中のブドウ糖の数値(血糖値)を調べ、糖尿病をチェックします。糖尿病の疑いがある場合は、ブドウ糖付加試験を行います。 
HbA1c 血糖検査では、血液を採取したときの値しかわかりませんが、HbA1cは120日以上血液中にあるため、長時間にわたる血糖の状態を調べることができます。糖尿病の確定診断の指標に用いられたりします。
便潜血反応 大腸や肛門からの出血に反応し、陽性の場合、大腸のがんやポリープが疑われます。