Ⅰ型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTx)の基準値
血液検査項目 | 基準値(参考値) | |||
血液検査名称 | 略称 | 数値 | 単位 | |
Ⅰ型コラーゲン架橋N-テロペプチド | NTx | 骨吸収亢進の指標 55以上 副甲状腺摘出術の適応 200以上 悪性腫瘍の骨転移の指標 100以上 |
単位 nmol BCE/mmol・Cr |
Ⅰ型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTx)検査の目的
Ⅰ型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTx)腫瘍マーカー・がんの血液検査は、骨基質の分解産物。骨粗鬆症、原発性副甲状腺機能亢進症、悪性腫瘍の骨転移など、骨吸収が亢進する疾患の経過観察に有用。
Ⅰ型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTx)で何を調べている
Ⅰ型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTx)腫瘍マーカー・がんの血液検査は、骨基質の主要構成蛋白であるⅠ型コラーゲンの分解産物である。骨組織において、Ⅰ型コラーゲンの分子間は、両端のテロペプチド領域を中心に、ピリジノリンあるいはデオキシピリジノリンと呼ばれる物質を介し、安定な架橋構造を形成している。骨吸収が起こると、分解生成されるⅠ型コラーゲンのペプチド断片には、N-末端側由来の産物であるNTxも含まれている。骨組織から血中に放出されたNTxは、最終的に尿中に排泄される。すなわちNTxは、骨吸収を反映して尿中に現れるコラーゲン分解産物と考えることができる。ピリジノリンを介したⅠ型コラーゲンの架橋構造は、成熟コラーゲン線維にのみ存在し、その量は骨基質量に相関する。ゆえにNTxの血中濃度および尿中排泄量の測定は、骨吸収状態の有用な指標となる。実際、原発性副甲状腺機能亢進症など、骨吸収亢進をきたす種々の代謝性骨疾患では、血中および尿中NTxが高値を示すことが知られている。たとえば骨粗鬆症に対し、いくつかの骨吸収抑制剤が登場しているが、これらの効果判定は、投与前後の尿中NTx排泄量変化から推定することが可能である。薬剤で骨吸収が抑制されれば、それを反映し、尿中NTxは有意に低下する。他の骨吸収マーカーよりもNTxは、こうした骨吸収抑制剤に対する反応性が鋭敏とされている。上記の基準値のほかに、悪性腫瘍の骨転移における尿中NTx排泄量は、別に設定されている。cut-off値(100 nmol BCE/mmol Cr)は、診断特異性を重視し高めに設定されている。このため、骨転移例における陽性率は20~30%程度に留まる。もし尿中NTx値が骨吸収亢進を意味する“55 nmol BCE/mmol Cr 以上”である場合には、骨転移の可能性を考慮して、1~3カ月おきに再検査し、NTx値の変化を確認することが望ましい。
Ⅰ型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTx)の疾患における指標
骨吸収亢進の指標 55以上(単位:nmol BCE/mmol Cr)副甲状腺摘出術の適応 200以上(単位:nmol BCE/mmol Cr)
悪性腫瘍の骨転移の指標 100以上(単位:nmol BCE/mmol Cr)
※BCE; Bone Collagen Equivalents(骨コラーゲン相当量)
Ⅰ型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTx)でわかる病気
Ⅰ型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTx)腫瘍マーカー血液検査結果が適正範囲より大きく乖離している場合には疾患の可能性がありますので、値が乖離した原因を診療機関で医師の診察を受けるようにしてください。
検査結果 | 考えられる原因と疾患の名称 |
基準値より高値 | 癌の骨転移(肺癌、乳癌、前立腺癌)、原発性副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症、骨Paget病 |
基準値より低値 | |
【備考】 骨吸収に対する特異性が優れており、次にあげる疾患において臨床上の有用性が確認されています。 オステオカルシン(BGP) 〈血清〉、デオキシピリジノリン(Dpyr)[骨粗鬆症]、Ⅰ型コラーゲン-C-テロペプチド(ⅠCTP)、骨塩定量(DIP) |