CA602腫瘍マーカー血液検査は、主に卵巣癌で上昇する血中腫瘍マーカー。

CA602|腫瘍マーカー(がん血液検査)

CA602は上皮性卵巣がんのマーカーとして有用で、がんの診断および術後再発の早期発見、治療のモニタリングなどに用いられています。CA125と同様に、卵巣がんを疑う場合にまずチェックされる腫瘍マーカーです。

CA602の基準値

血液検査項目 基準値(参考値)
血液検査名称 略称 数値 単位
  carbohydrate antigen 602 CA602 63.0 以下 U/mL

CA602検査の目的

CA602腫瘍マーカー血液検査は、主に卵巣癌で上昇する血中腫瘍マーカー。CA602の血中動態はCA125によく一致し、両者の測定値には極めて高い相関が認められる。 卵巣癌の腫瘍マーカーとして,CA125の有用性が確立されつつあるが,CA602は新たに開発された腫瘍マーカーでありCA125と同様卵巣癌で高い陽性率を示す。特に漿液性嚢胞腺癌を中心に陽性率が高く,補助的診断,治療効果の判定,再発の予知などに有用である。

CA602で何を調べている

CA602は、野澤ら(1989)により卵巣明細胞腺癌(ovarian clear cell carcinoma)由来細胞株の培養上清を免疫原として作製されたモノクローナル抗体MA602-1およびMA602-6によって認識される抗原である。CA125分子上にそのエピトープが存在するとされている。CA602はヒト卵巣明細胞腺由来細胞株を免疫原として作成された2種のモノクローナル抗体により認識されるコア蛋白抗原で、その認識部位はCA125を認識するOC125の認識部位とは異なるものの、極めて類似していることが認められている。CA602はCA125ときわめて類似しており、漿液性嚢胞腺癌における陽性率は高いが、良性腫瘍における偽陽性率も比較的高いという相関性を示すが、両者の測定値が解離する例もみられるので、全く同一の腫瘍マーカーではない。CA602の特徴は発現頻度の最も高いものの一つである漿液性嚢胞腺癌に高い陽性率を示すことである。また健常女性における年代別では、測定に支障はきたさないものの30~40代に若干のピークが認められる。月経周期においては月経期から卵胞前期にかけて高値をとる傾向があり、また妊娠初期の5週から11週に高値をとる傾向がある。CA602の最大の特徴は測定感度が4U/mlであり低濃度において安定したデータが得られるということである。従って卵巣癌の早期発見や治療効果の判定、転移そしてマーカーの微増をもって判定する再発の早期診断には、より適していると考えられる。

CA602でわかる病気

CA602腫瘍マーカー血液検査は適正範囲より大きく乖離している場合には疾患の可能性がありますので、値が乖離した原因を診療機関で医師の診察を受けるようにしてください。

検査結果 考えられる原因と疾患の名称
基準値より高値 卵巣癌、子宮体癌、肝細胞癌、胆道癌、膵癌、子宮内膜症、腹膜炎、胸膜炎
基準値より低値
【備考】
CA602は、卵巣漿液性嚢胞腺癌で92%、類内膜癌で80%と高い陽性率を示します。粘液性嚢胞腺癌では感受性が低く38%です。年齢、妊娠(初期に高値)、性周期(卵胞期前半、月経時に高値)を考慮します。子宮内膜症も偽陽性を示すため注意が必要です。
【関連項目】
CA54/61CA125CA72-4癌関連ガラクトース転移酵素(GAT)

CA602腫瘍マーカー検査結果が基準値より高値だったら

CA602腫瘍マーカーの検査結果が高値であった場合、卵巣がんをはじめとする悪性腫瘍を疑われますので他の腫瘍マーカー、SLX、CA72-4、SCC、CA54/61などの検査がおこなわれます。また、超音波検査、CTスキャン、MRIなどの各種画像検査を行い、腫瘍の存在部位を確定することが必要です。手術後あるいは治療後にCA602の再上昇傾向を認めた場合には、再発・再燃を疑い、全身検索を行います。子宮内膜症を疑われる場合は、まずほかの腫瘍マーカー、画像診断、腹腔鏡などで悪性腫瘍を否定する必要があります。