癌関連ガラクトース転移酵素(GAT)は、卵巣癌の血中腫瘍マーカー。

癌関連ガラクトース転移酵素(GAT)|腫瘍マーカー

 癌関連ガラクトース転移酵素(GAT)は、卵巣癌患者腹水中から発見された分子量約50000の癌関連イソ酵素です。血清中GAT濃度は、卵巣癌において上昇することが認められています。GATは、卵巣癌と内膜症性嚢胞との鑑別において診断効率が高く、また、病勢を反映して変動することが報告されていることから、本検査は、卵巣癌特に内膜症性嚢胞と診断された症例の中に潜在する卵巣癌の診断補助および治療効果判定の指標として有用と考えられます。
  

癌関連ガラクトース転移酵素(GAT)の基準値

血液検査項目 基準値(参考値)
血液検査名称 略称 数値 単位
galactosyltransferase associated with tumor GAT 13.6以下 U/ml

癌関連ガラクトース転移酵素(GAT)検査の目的

癌関連ガラクトース転移酵素(GAT)は、卵巣癌の血中腫瘍マーカー。CA125等、他の卵巣癌マーカーと比較して陽性率は劣るが癌特異性が高い。

癌関連ガラクトース転移酵素(GAT)で何を調べている

癌関連ガラクトース転移酵素(GAT)は、卵巣癌患者腹水より見出された、正常人血清中のガラクトース転移酵素とは質的に異なる糖転移酵素である。近年、細胞の癌化に伴って発現した異常糖鎖に由来する種々の「糖鎖抗原」が腫瘍マーカーとして確立されてきたが、こうした異常糖鎖の生成には糖転移酵素の異常が一因として関与すると考えられており、GATもその一つとして注目される。これまでの臨床的検討より、GATはCA125のような既存の腫瘍マーカーに比して卵巣癌に高い特異性を示すことが明らかになっている。たとえば、CA125は卵巣癌において70~80%の高い陽性率を示す反面、良性疾患である子宮内膜症(内膜症性嚢胞)でも約50%が陽性化することから、検査値のみでの両者の鑑別は困難であった。これに対して、GATの婦人科良性疾患における偽陽性率は10%未満である。すなわち、内膜症性嚢胞を有する、または内膜症性嚢胞が疑われる患者での卵巣癌の診断や治療モニタリングにはGAT測定が有用となる。なお、妊娠中期以降ではcut-off値を超える高値を呈することがある。年齢・性周期による影響は認められない。

癌関連ガラクトース転移酵素(GAT)でわかる病気

癌関連ガラクトース転移酵素(GAT)腫瘍マーカー血液検査結果が適正範囲より大きく乖離している場合には疾患の可能性がありますので、値が乖離した原因を診療機関で医師の診察を受けるようにしてください。

検査結果 考えられる原因と疾患の名称
基準値より高値 卵巣がん
基準値より低値
【備考】

年齢および性周期の影響を受けません。

【関連項目】
 CA125CA602CA72-4CA54/61