好酸球の働きと基準値

好酸球(Eosinophil granulocyte)基準値とアレルギー

好酸球は、白血球の一種類であり血球細胞の1つで顆粒を生成する事が出来る事から顆粒球とも呼ばれます。核は通常2分葉で細いクロマチン糸でつながれ細胞周縁に偏在し、細胞の大きさは好中球に比べてやや大きく、直径10~15μm程度です。健康な人の血液には、1マイクロリットル当たり好酸球数が100〜500程度あり、血液中の白血球の約7%未満と言われております。好酸球は、ある種の寄生虫に対して体を守る免疫機能を担っていますが、一方で、アレルギー(抗原抗体反応)による炎症の一因にもなります。好酸球とアレルギーについては後ほど説明します。好酸球数が増加する好酸球増加症は、異常な細胞、寄生虫、アレルギー反応を起こす物質(アレルゲン)などに対する生体反応の現れです。好酸球数が低下する好酸球減少症は、クッシング症候群やストレス反応によって起こりますが、その機能は他の免疫系によって補われるため、通常は問題を引き起こしません。


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好酸球の概要

白血球の種類(写真)

好酸球について、色々な研究も進み分かった事も多いですが、未だに分からない事もまだまだあります。好酸球は、1879年に名づけられた白血球の一種です。好酸球はアレルギーとの関連性がある事は有名な話でありますが、寄生虫から体を守る為にも重要な働きをしている事もわかっています。気管支喘息などでは、炎症を起こしている部分に好酸球が集まり、集まった好酸球から多くの分泌物を出す事によって喘息が発症している事が分かっています。好酸球から出る顆粒と言われる物質は強い殺菌効果があり、強い炎症を引き起こし炎症部分の細胞を死滅させ、さらに好酸球が炎症部分を攻撃すると細胞が線維化し本来の機能を失ったりもいたします。好酸球を活性化させ増殖させる因子としては、サイトカインのインターロイキン5という物質があります。何かしらの原因の原因により、インターロイキン5が大量に分泌されると好酸球が活性化されます。これは他の病気の治療で使われる薬で活性化される(副作用)ものがあります。みなさんがご存じなステロイド(糖質コルチコイド)があります。 好酸球(写真)

好酸球とアレルギー

  • 好酸球には、弱いが貪食殺菌作用があり、寄生虫幼虫の殺菌、抗原抗体複合物の処理にあずかっています。また、アレルギー反応に際し、肥満細胞から放出される好酸球走化因子により引き寄せられます。
  • アレルギー性炎症局所に集まり、炎症の遅発反応に与えます。
  • 好中球より寿命は、長く高度の浸潤があると組織障害を起こします。
  • 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)副腎皮質ステロイド(コルチゾール)にはリンパ球や好酸球を減少させる働きがあります。

好酸球の基準値 1~5%が基準値

生化学血液検査項目 基準値(参考値)
生化学血液検査名称 略称 数値 単位
好酸球(eosinophils ) EOS-C,EOSIN-C 1~5%
(白血球百分率)

好酸球 血液検査結果

 好酸球の検査基準値と高値、低値で見られる疾患
範囲 白血球百分率
 上昇が認められる範囲 潰瘍性大腸炎、肉芽腫性疾患、結節性多発動脈炎、皮膚疾患、 ニューモシスチス肺炎、慢性骨髄増殖症候群、悪性関節リウマチ、好酸球肺浸潤症候群、結核、 Addison病、 アレルギー疾患、 寄生虫疾患アレルギー疾患,
寄生虫疾患
 基準値(正常の範囲)  1 ~ 5%
(100~300個/μl)
 低下が認められる範囲 下垂体機能亢進症、 急性心筋梗塞、 ストレス、 急性炎症、 急性感染症、 副腎皮質機能亢進症急性感染症

好酸球数が1500/μl以上の状態を、好酸球増多症といいます。また、2000/μl以上であると臓器障害を起こしやすいです。国立病院機構相模原病院からの報告では、頻度順に、薬剤性、固形腫瘍、皮膚疾患、血液腫瘍、気管支喘息、好酸球性血管浮腫、Churg-Strauss症候群、好酸球性肺炎、アトピー性皮膚炎などが報告されているが、開発途上国では寄生虫感染症が最も多いです。

好酸球の検査結果と異常値

寄生虫感染症

寄生虫(アニサキス症、回虫症、鈎虫症、条虫症、フィラリアなど)の感染症が中心です。問診の内容として開発途上国への渡航歴、有機農法を活用した野菜の摂取などが行われます。尚、寄生虫感染の他の感染症として、猩紅熱,結核,ニューモシスティス肺炎等においても好酸球の上昇がみられます。

アレルギー疾患

薬剤アレルギー:好酸球増加が見られた場合、まず薬剤による影響を疑います。薬剤が原因とする好酸球増加特に、末梢血好酸球が2000/μl異常の好酸球の増加として最も頻度が高いという報告があります。気管支喘息においては、末梢血好酸球の軽度の増加がみられます。また、気道の好酸球浸潤や喀痰中の好酸球増加も見られます。尚、慢性閉塞性肺疾患においては同様の事は見られません。アレルギー性鼻炎では、鼻腔中の好酸球の増加は見られますが、末梢血好酸球において異常が見られない事がしばしばあります。

リウマチ性疾患

リウマチは、好酸球浸潤を伴う肉芽腫性血管炎で、発熱を始め、多発単神経炎(四肢の知覚や運動に障害が起きます)、消化管穿孔、心血管系障害等が見られます。血液検査では、CRP好酸球、血小板血清IgE等が増加します。また、組織診断が行われ肺や腎、消化管などから組織を採取するケースもありますが、安全性の観点から皮膚生検や下部消化管生検が推奨されています。リウマチには、結節性多発動脈炎(PAN)と肉芽腫性多発血管炎(GPA)があります。結節性多発動脈炎(PAN)は、動脈血管壁の炎症を引き起こします。この炎症により梗塞を引き起こし様々な臓器症状を呈します。一方、肉芽腫性多発血管炎(GPA)は、壊死性肉芽腫性血管炎が特に耳や鼻などの上気道、肺、腎臓などにおいておきます。PR3-ANCA(C-ANCA)の検査を実施します。

特発性好酸球増加症候群

特発性好酸球増加症候群は、特に原因がないのに血液中の好酸球数の値が6ヶ月以上1500個/μl以上に上昇します。50代以上の男性に比較的多うが、どの年齢層でも発症はいたします。好酸球の値が高い状態が続きますと心臓肝臓、皮膚、神経系の組織を損傷されます。心臓に炎症が起こり、その結果、血栓ができたり、心不全、心臓発作、心臓弁の機能不全になる事があります。特発性好酸球増加症候群は血液検査で好酸球を調べる事でわかりますが、体重減少、発熱、寝汗、疲労、せき、胸痛、浮腫、胃痛、皮膚の発疹、痛み、衰弱、錯乱、昏睡(こんすい)などの症状もあります。また好酸球が増加し組織を損傷し炎症した臓器や組織によっても症状はかわりますので注意が必要です。これらの症状があり、好酸球数が多い状態が続いている場合は、特発性好酸球増加症候群が疑われます。好酸球増加の原因が寄生虫感染やアレルギー反応、その他の病気でないことが確認されると診断が確定します。治療をしないと、患者の80%以上が2年以内に死亡してしまう恐ろしい病気です。治療をした場合の生存率は80%以上ですので早期発見、早期治療をお勧めします。

血液疾患や悪性腫瘍

好酸球増多症(HES)は、寄生虫感染症やアレルギーなどの疾患は除外され、好酸球浸潤による多臓器障害(心臓、肺、中枢神経、皮膚など)の所見が見られた場合に好酸球増多症(HES)と診断されます。特に、心臓疾患として心筋障害や弁膜症等は60%に見られ生命予後に大きな影響を残します。また、異常なT細胞クローンによる好酸球増多症もあります。これは、異常なT細胞クローンがIL-5(インターロイキン:サイトカインの一種)を過剰産生し、好酸球が反射的にに増加します。それに伴い、IgEやIgGが上昇します。それ以外に主に骨髄や末梢で好酸球が増加し臓器浸潤をきたす慢性好酸球性白血病(CEL)や皮膚、肝臓、脾臓、骨髄、リンパ節等において肥満細胞の増殖と末梢好酸球の増加がみられる肥満細胞症や二次性腫瘍性好酸球増多症(T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、急性リンパ性白血病(ALL)、肺癌,その他、特に転移・壊死を伴うもので好酸球増多)などがあります。

呼吸疾患

好酸球性肺炎(PIE症候群)は、肺に好酸球浸潤をきたし、末梢血での好酸球増加(6%以上or400/μl以上)を認めます。原因別では、不明:77%、真菌:19%、寄生虫:22%、薬剤:2%、その他の原因として喫煙が起因となりうるとの報告もあります。症状は、咳、喀痰、呼吸困難、発熱がみられます。単純性肺好酸球症は、症状は軽く無治療でも2週間以内に軽快することが多いです。慢性好酸球性肺炎は、胸水は少ないが、再発しやすく臨床経過が長期に亘る事がしばしば。ステロイドによる効果は良好ですが、漸減中や中止後に再燃することが多いため、6ヶ月以上の治療継続が必要となります。一方、急性好酸球性肺炎の症状は、咳、発熱、呼吸困難、喘鳴などが数日間続きます。また、胸水も高頻度でみられ、胸痛をしばしば伴います。喫煙との関連も発症起因となりうるとの報告もあります。気管支肺胞洗浄液で総細胞数の増加、好酸球の著増が認められます。血清TARCが高値になります。ステロイドに対する効果は良好。急性好酸球性肺炎の診断基準は次のとおり。

    1. 7日以内の急性経過
    2. 60mmHg以下の低酸素血症
    3. 胸部レントゲンで両側びまん性浸潤陰影
    4. BAL液中の好酸球が25%以上
    5. 先行する肺を含めた全身性の感染症やアトピー歴がない
    6. ステロイドが著効する
    7. 治療終了後に再発しない

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)とは、アレルギー性気管支肺真菌症の大部分はAspergillus fumigatus(コウジカビの一種)です。アスペルギルスに対するI型とIII型アレルギーが関与します。アレルゲンであるAsp f4、Asp f6に対するIgE抗体の測定が診断に有用とされています。
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)の診断基準は次のとおり。     1. 気管支喘息(必須)
    2. 胸部X線で肺の浸潤影
    3. アスペルギルスに対する即時型皮膚反応(プリックテスト、皮内テスト)(必須)
    4. 血清総IgE値の上昇(必須)>1000ng/ml
    5. アスペルギルスに対する沈降抗体(必須)
    6. 末梢血好酸球増多
    7. 血清抗アスペルギルスIgE抗体、抗アスペルギルスIgG抗体上昇

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎でも末梢血好酸球が増加する場合があります。好酸球性血管性浮腫は、好酸球増加に伴う四肢末梢の浮腫をいいます。再発する好酸球性血管性浮腫(EAE)と、再発しない好酸球性血管性浮腫(NEAE)があります。日本においては好酸球性血管性浮腫(NEAE)が主で、若年女性(20~37歳)に多いのが特徴です。血管性浮腫、蕁麻疹、IgM増加、発熱などを呈する。ステロイドに良く反応し良好な経過をたどる。自然寛解もります。好酸球性血管性浮腫以外にも激しい運動や外傷をきっかけに、急速に四肢に対称性有痛性の筋膜炎が生じ発赤腫脹し、病初期に末梢血の好酸球が増加する好酸球性筋膜炎や頭頸部皮下の巨大(5~10cm)な良性の好酸球性肉芽腫で、東アジアの若い男性に多い。木村病より大きさの小さい好酸球性血管リンパ球増殖症は、人種差なく皮膚表面に近くに発生する木村病(木村哲二に由来)があります。

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