乳汁中CEA(癌胎児性抗原)は、主に乳がんの腫瘍マーカーとして用いられる。

乳汁中CEA(癌胎児性抗原)|腫瘍マーカー(がん血液検査)

 乳汁中CEA(癌胎児性抗原)は、乳がんではCA15-3とともに幅広く測定されている腫瘍マーカーですが、他臓器のがん(肺・胃・大腸・膵臓など)でも腫瘍マーカーとして用いられます。また、がん以外(肝疾患や喫煙)でも高値を示すことがあり、異常値の評価には注意が必要です。血液検査の正常範囲は5.0ng/ml以下(検査機関によっては2.5ng/ml以下)です。なお、乳頭分泌がある場合では、分泌物中のCEA測定が行われることもあります。

乳汁中CEA(癌胎児性抗原)の基準値

血液検査項目 基準値(参考値)
血液検査名称 略称 数値 単位
乳汁中癌胎児性抗原 乳汁中CEA 200以下 ng/mL

乳汁中CEA(癌胎児性抗原)検査の目的

乳汁中CEA(癌胎児性抗原)の検査は、消化管の悪性腫瘍を中心に、もっとも汎用的に用いられる血中腫瘍マーカーですが、乳汁(分泌物)にも含まれ乳がんの診断にも用いられます。

乳汁中CEA(癌胎児性抗原)で何を調べている

乳汁中CEA(癌胎児性抗原)の検査は、1965年にGoldらにより結腸癌と胎児結腸粘膜組織に共通して存在する抗原物質として発見された糖蛋白であり、今日もっともよく用いられている腫瘍マーカーの一つである。大腸癌をはじめとする消化器癌、膵癌、肺癌などのさまざまな臓器由来の癌に幅広く出現するため、その診断補助および術後・治療後の経過観察の指標として有用性が認められている。また、大腸癌や胃癌における術前CEA高値例では有意に再発率が高いとされ、予後の予測にも有用とされる。 なお、CEAについては、近年遺伝子クローニングの成功によってその一次構造が解明され、免疫グロブリン・スーパーファミリーに属することが明らかになった。さらに、CEAが細胞接着分子としての機能を有することや癌細胞の転移に促進的に働くことが報告されている。今日、CEAを胎児性蛋白の範疇に留めることは困難になっており、その癌特異性の由来について新たな観点が求められつつある。

乳汁中CEA(癌胎児性抗原)でわかる病気

乳汁中CEA(癌胎児性抗原)検査結果が適正範囲より大きく乖離している場合には疾患の可能性がありますので、値が乖離した原因を診療機関で医師の診察を受けるようにしてください。

検査結果 考えられる原因と疾患の名称
基準値より高値 乳がん
基準値より低値
【備考】

健康な人でも約3%の人は乳汁中CEA(癌胎児性抗原)の基準値を超える場合があるとされており、高齢や喫煙でも乳汁中CEA(癌胎児性抗原)の検査値をやや上昇する傾向があります。がんが進行するにつれて乳汁中CEA(癌胎児性抗原)値は高値となり、乳汁中CEA(癌胎児性抗原)の基準値の2倍以上ではがんの疑いが濃厚、4倍以上では転移がんが疑われます。

乳汁中CEA(癌胎児性抗原)が偽陽性となるのは、検体が膿性であったり粘稠度が高い場合であり、非特異的吸着に起因している。一方、乳汁の場合はCEA関連抗原との交叉反応である。乳頭分泌液が乳汁様で乳癌のことはほとんどないので、高プロラクチン血症などを疑うべきである。CEA非産生乳癌の場合は当然検出できないので、他の腫瘍マーカー(ErbB-2)の測定や細胞診を行う必要がある。

【関連項目】 
CA 125CA 19-9CEA(がん胎児性抗原)NCC-ST-439CA 15-3