赤血球とヘモグロビン

赤血球(Red Blood Cell)とヘモグロビン

赤血球(RBC)は、血液の中に含まれる直径約7μm,厚さ2μmの円板状で中央がくぼんだ無核の血液細胞です。赤血球は、主に胸骨や大腿骨・頚骨の内部にある骨髄の幹細胞でつくられている血液の主成分でもあります。赤血球の量は白血球(WBC) の700倍の25兆,血液容量の約半分を占めます。赤血球の赤色は、ヘモグロビンという赤い色素によるもので、酸素と結合すると鮮やかな赤色になります。血液に含まれている赤血球(ヘモグロビン)が肺で得た酸素を取り込み、体の隅々の細胞に酸素を運び供給し、また、赤血球は二酸化炭素の排出にも赤血球は関っています。その為、赤血球は、酸素が多い動脈血で鮮やかな赤色を呈し、逆に静脈血で赤黒い色を呈します。赤血球の量が減ると必要な酸素が全身に送られなくなり貧血になり、逆に赤血球が多すぎると多血症になり血液の流れが悪くなって血管が詰まりやすくなります。赤血球の血液検査は、健康診断で行われる一般的な検査項目で貧血などを調べます。赤血球の基準値は、男性が430~570万/μ、女性が390~520万/μ、幼児が600~700万/μとなっています。男女ともに1μl中の赤血球数が300万個以下の場合は貧血と診断されます。日本人女性の多くは、赤血球値が低い貧血もしくは貧血予備軍だと言われています。貧血患者さんの多くは、顔面蒼白、体を少し動かしただけで動悸がする鉄欠乏性貧血が多く、偏食や過度のダイエットにより食品から摂取する鉄分が不足している事が原因であります。鉄は、体内で合成する事が出来ない成分の1つです。鉄欠乏性貧血は、鉄分をしっかり摂取する事で徐々に回復します。治療には、栄養バランスの取れた食事を心がけ、鉄分の多い食品(豚・鶏レバー、牛肉、赤身魚、青背魚など)とビタミン類が豊富な緑黄食野菜を日常的にとるようにしましょう。また、ビタミンCたんぱく質は、鉄の吸収率をアップさせるので、上手に組み合わせて摂取しましょう。逆に、コーヒーやお茶に含まれるタンニンは、の吸収を妨げるので、食事と時間をずらして飲む事がおすすめです。特に女性は、生理時の失血により鉄分も一緒に喪失しますので食品からの補給が非常に重要です。また、胃がん胃潰瘍、痔、尿路障害などの疾患が原因で貧血に場合もあります。特に中高年の男性や、閉経後の女性の鉄欠乏性貧血は注意しましょう。著しい貧血の場合は、悪性貧血再生不良性貧血溶血性貧血白血病などの悪性の病気であることが多いため、白血球数血小板数、白血球分画、骨髄穿刺などの検査も同時に行います。


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赤血球の構造

赤血球の中にヘモグロビンがある

赤血球は1μl中に男性は約500万個(適正値430~570万個)、女性は約450万個(380~520万個)含まれており血球成分の大部分を占めます。赤血球の形状は、大きさ直径7~8μm、厚さ約2.1μmで中央がくぼんだ円盤状の細胞であるが核や細胞小器官は持たず(ただし、胎生期における一次造血による赤血球は核を持ち、成熟する最終段階で細胞核やミトコンドリア、リボゾームなどの細胞内器官を捨てます。赤血球のエネルギーは解糖系のみによっ得ている。)血液の体積のおよそ40~45%が赤血球の体積で血液は構成されています。また、赤血球は、非常に柔軟な性質を持ち、自身より小さい毛細血管にも変形しながら通過し、抹消の細胞まで酸素を供給する事ができます。

赤血球の中にあるヘモグロビンの構造

赤血球には、ヘモグロビンというたんぱく質に鉄が結合した血色素が含まれています。成人のヘモグロビンはαサブユニットとβサブユニットと呼ばれる2種類のサブユニットそれぞれ2つから構成される四量体構造をしています。ヘモグロビンの各サブユニットはグロビンと呼ばれるポリペプチド部分と補欠分子族である1つのヘム部分が結合したもので、分子量は1個あたり約16,000である。αサブユニットは141個のアミノ酸からなり、βサブユニットは146個のアミノ酸から成る。(ヘモグロビンのイメージ図を参照)黄色または赤色で示されているのがサブユニットであり、それぞれの内部には緑色 で示されているヘムという分子が存在する。ヘム分子が赤色の本体であり、ヘモグロビンのリボンモデルヘムの鉄原子に酸素が結合しています。ヘムは、ポルフィリンと呼ばれる環状構造の分子に2価の鉄原子が結合した化合物である。このヘムにも多くの種類が存在するが、細菌から真核生物に存在するヘムは、ヘムa、ヘムb、ヘムcである。このうち最も代表的なものはヘムbである。ヘムの中心には鉄原子が一つあり、そこに酸素が結合する。ヘモグロビン分子の構造変化により酸素との親和性が変化する。1つのヘムに酸素が結合すると、ヘモグロビン分子の立体構造が変化し、他のサブユニットにあるヘムの酸素親和性が増強する。これはヘム間相互作用と呼ばれる。一方、pHが低く二酸化炭素が多い環境下では、ヘモグロビンサブユニットのN末端にあるバリン 基に水素イオンまたは二酸化炭素が結合することにより、ヘモグロビン分子の立体構造が変化し、ヘムの酸素親和性が低下する。これはボーア効果と呼ばれる。また、解糖系の中間代謝産物であるグリセリン2,3-リン酸がβサブユニット間に結合することによってもヘムの酸素親和性が低下する。このことは、酸素が少ない環境下ではヘムが酸素を離しやすいことになる。このような複数のメカニズムによって、ヘモグロビンは酸素濃度の高い肺で酸素を効率よく結合し、酸素濃度の低い組織に入ったときには効率よく酸素を離すことができるのである。一酸化炭素は危険・一酸化炭素(CO)は、血液中ではヘモグロビンに対する親和性が酸素の250倍ほど高いと言われ ている。通常の21%酸素の空気に0.1%の一酸化炭素が混入すると、平衡状態では約半分のヘモグロビ ンが一酸化炭素結合型となる。一酸化炭素が一つのサブユニットに結合すると、他のサブユニットに結合している酸素とヘムの親和性が高まり、組織において酸素を離さなくなるため、酸欠症状が一気に起こるとされている。(ウキペディア参照)

赤血球の寿命は120日

赤血球は、毎日骨髄では2000億個弱程度が造られると言われています。循環血液量は体重の約8%=体重60kgのヒトの全血液量は約4.8Lなので約40mLになります。赤血球は骨髄(椎骨、腸骨、肋骨、胸骨など)の骨の中でつくられます。赤血球の元になる祖先細胞は多能性造血幹細胞と呼ばれます。多能性造血幹細胞が骨髄の中で増殖、分化、成熟して赤血球になります。白血球や血小板も多能性造血幹細胞からつくられます。多能性造血幹細胞を移植する治療法が骨髄移植です。

赤血球の寿命とヘモグロビンの再利用

誕生してから120日程度で寿命がきた赤血球は、脾臓のマクロファージに貪食されて破壊されます。寿命の識別は、赤血球膜の抗原性の変化によって認識されていると考えられています。破壊された赤血球は、鉄を含むヘムとタンパク質のグロビンに分解されます。ヘムの鉄は代謝によって造血に再利用されます。鉄以外の成分はビリルビンとなり、血漿中でアルブミンとなるが脂溶性のため腎臓の糸球体はろ過されず肝臓へ運ばれます。このアルブミンと結合したビリルビンを間接ビリルビンと呼びます。さらにグルクロン酸と呼ばれる酸に抱合されます。これを直接ビリルビンと呼びます。このビリルビンは水溶性で胆汁の成分として腸管に排出されます。腸管に入ったビリルビンは腸内細菌によってウロビリノーゲンとなりさらにステルコビリノーゲンからステルコビリンとなり、便中に排出されます。一方ウロビリノーゲンの一部は腸で吸収されて肝臓に戻り、再度グルクロン酸に抱合されてビリルビンとなり腸に排出されます。このサイクルを腸肝循環と呼びます。

血中に入ったウロビリノーゲンの一部は腎臓に流れ尿に排出されます。また、抱合型ビリルビンは腎臓に流れウロビリノーゲンとして尿中に排出されます。血中で溶血したヘモグロビンの一部はそのまま、肝臓に流れ、肝細胞にあるクッパー細胞によって取り込まれ、処理されます。遊離鉄とビリルビンに分解され、鉄はトランスフェリンと結合し、さらにフェリチンとなり肝細胞で蓄えられます。ビリルビンは肝細胞によってグルクロン酸抱合され、肝細胞から分泌され、肝細胞間を走る毛細胆管に流れます。通常、ビリルビンは腸管に排出されるべきが閉塞によって排出できないために便は白色調を帯びる。また、尿中へのウロビリノーゲンの排出のなくなる。血中への抱合型ビリルビンは黄疸症状となります。

赤血球(ヘモグロビン)による酸素と二酸化炭素を輸送

ヘモグロビンは、赤血球の細胞質の大部分を占める主要な構成物質であり、肺から全身へ酸素を運搬するタンパク質の一種です。 ヘモグロビンは、ポルフィリン核に鉄を持つ4つのヘムと4つのグロビンからなりヘムは中心に1つの鉄原子を持ち酸素1分子を結合することができるのでヘモグロビン1分子で4個の酸素分子と結合することができます。若い赤血球には豊富なミトコンドリアやポリリボソームが存在しており、赤芽球のミトコンドリアではヘムの骨格を成すポルフィリン環が作られ、ポルフィリン環に鉄原子が組み込まれてヘムが作られる。そして、mRNA に複数のリボソームが連結したポリリボソームはアミノ酸を組み立ててたんぱく質であるグロビンを作られる事でヘモグロビンが盛んに作られます。細胞が成熟するにつれて細胞質はヘモグロビンで充填されていくが、最終段階でミトコンドリアやポリリボソームが抜け落ち、成熟し完成した赤血球ではもはやヘモグロビンの合成は行われなくなります。過剰な酸素は細胞を傷つけるが、赤血球に酸素を取り込み末端組織内で酸素を吐き出す過程では二酸化炭素の存在によって酸素が供給されるので、二酸化炭素の濃度が濃いほど(一般に活動の盛んな細胞ほど二酸化炭素の排出が多い)赤血球が供給する酸素の量が増えてくるので酸素を必要とする細胞に必要とする適量の酸素を供給することができる。この点が液体に酸素を溶かし込んで供給するシステムと赤血球の大きな違いである。

赤血球(ヘモグロビン)と生理的変動効果

赤血球数の生理的な変動は、性別や年齢さらには環境によって差があらわれます。まずは、性別による赤血球数の変動ですが、一般的に男性の方が女性よりも赤血球数は多い傾向にあります。特に女性の場合では、月経の影響により赤血球数が少ない傾向があります。また、年齢による赤血球数の変動としては、新生児期の赤血球値は成人などと比較するとやや多い傾向にあり、幼児期には成人とほぼ同じ値となります。高齢者になると成人期よりも赤血球数は少ない傾向があります。それ以外の赤血球数の変動としては、妊娠、特に妊娠後半では、循環血漿量が増加するため、見かけ上少なったり、高地居住者の場合、酸素濃度が少なく、その状況下で体内に酸素を必要量取り込む必要があるため、赤血球数が多い傾向があります。スポーツ選手が高山トレーニングするのは、一時的に酸素の少ない場所で体内を鍛える事で赤血球を増やしスタミナをつける為です。

ボーアの曲線

赤血球とボーア曲線

生理学者クリスティアン・ボーア(ニールス・ボーアの父)により発見された血液内の二酸化炭素量の変化による赤血球内のpHの変化によりヘモグロビンの酸素解離曲線が移動する原理で、赤血球に取り込まれた二酸化炭素と水は炭酸脱水酵素により重炭酸イオンとプロトンに解離され、赤血球内のpHが低下することでヘモグロビンの酸素親和性が低下しヘモグロビンは酸素を解離しやすくなる。また、二酸化炭素の少ない環境では、赤血球は重炭酸イオンとプロトンから二酸化炭素と水をつくり二酸化炭素を放出することで、pHは上がりヘモグロビンの酸素親和性が増加するのでヘモグロビンは酸素と結合しやすくなる事をいう。pHの低下や温度上昇などの変化によって赤血球に結合していた酸素を解離しやすくなり、pHの上昇や温度低下などで結合しやすくなる効果である。

赤血球は酸素を抹消組織に送る

赤血球は、骨髄で作られ血管内に移動し血液循環によって全身を循環いたします。心臓から送り出された赤血球は、肺で酸素を受け取り末梢細胞まで送り届けられます。末梢細胞では二酸化炭素が発生し血漿や組織液に溶け込んでいるが、細胞膜を通して二酸化炭素は赤血球内に取り込まれ回収される。赤血球内で二酸化炭素(CO2)と水(H2O)は炭酸脱水酵素によって重炭酸イオン(HCO3)と水素イオン(H+)になり、水素イオンが増加することにより酸性が強くなった赤血球内では、酸素とヘモグロビンが結びついたオキシヘモグロビンから酸素分子が遊離し、細胞膜を通って体細胞に酸素が供給される(ボーア効果)。酸素を放出したヘモグロビンは水素イオンと結びついて赤血球内が極端に酸性に傾くのを防ぐ作用があります。

組織内のpH低下により赤血球から酸素は放出される

人の肺では酸素分圧はほぼ100mmHgであり二酸化炭素はほとんど無いので赤血球の酸素飽和度はほぼ100%になる。酸素を含んだ赤血球は組織に循環するが、組織内の酸素分圧は組織によって違い、一般的な組織内では40mmHg、活動中の筋肉内では20mmHg程度になります。酸素分圧の差でも赤血球は酸素を放出するが二酸化炭素が存在せず酸素分圧の差のみであると、赤血球は持っている酸素の内10-30%程度しか赤血球外へ放出できない。しかし組織内に二酸化炭素が発生していると二酸化炭素が炭酸に変換されることでpHが低下し、pHの低下によっておきるボーア効果で赤血球は大半の酸素を放出することができるようになる。

肺で結合した二酸化炭素を抹消細胞で放出し酸素を結合

酸素に富み二酸化炭素の少ない肺では、赤血球は逆の行程で重炭酸イオンを二酸化炭素に戻して吐き出し、酸素を取り込むます。 つまり、二酸化炭素の少ない肺では赤血球内の二酸化炭素が出て行くが、赤血球内の二酸化炭素濃度が下がると炭酸脱水酵素は組織内のときとは逆に重炭酸イオン(HCO3)を二酸化炭素(CO2)と水酸化物イオン(OH)に換え、赤血球内の細胞質のpHは上昇する。また赤血球内の重炭酸イオンが減少したことで赤血球外の重炭酸イオンが塩素イオンと交換で取り込まれ、二酸化炭素に変換されて再び放出される。pHが上昇した赤血球内では酸素を取り込みやすくなり、もともと酸素に富んだ肺組織内であるのでヘモグロビンはいっぱいに酸素を取り込み、酸素飽和度があがった赤血球は、再び末端の組織細胞に酸素を運搬します。

赤血球やヘモグロビンが減少する貧血

赤血球数が減少している状態を貧血と呼びます。貧血とは、赤血球又はヘモグロビンが減少したために、全身の組織に十分に酸素がいきわたっていない、言わば酸欠状態です。そのため、赤血球(ヘモグロビン)が減少する貧血になると、動悸や息切れ、立ちくらみ、疲れやすいといった様々な症状がでます。赤血球の減少は貧血を示しますが、貧血にもいくつかの種類が存在します。それを、ある程度区別するために、 ヘモグロビン濃度・ヘマトクリット値・赤血球恒数(MCVMCHMCHC)などを参考にします。詳しくは、貧血のページを参照してください。

赤血球が減少する原因

赤血球は、鉄を含むヘモグロビンというタンパク質から構成されています。何らかの原因により、鉄が不足することで赤血球が減少して起こります。赤血球が減少する貧血の原因としては、食事のバランスが悪い、偏食、食事を減らすダイエットなどにより食事に含まれる鉄量の減少や吸収に必要なビタミンなどが不足することで鉄が不足します。また、赤血球(ヘモグロビン)に多く含まれる鉄は、胃で消化され小腸で吸収されますが、胃の摘出や疾患などにより胃酸が不足することで吸収される鉄の量が減少する事で赤血球の量も減少します。胃潰瘍十二指腸潰瘍大腸がん、出血を伴う痔など慢性的な出血があることでも鉄が不足する原因となります。女性では生理による出血は約40mLと言われ、鉄としては20mg失うことになります。ヘモグロビンの原料である鉄は体内で合成できないことから食事で摂取するしかありません。成人で必要とされる鉄量は1日あたり1mgとされていますが、消化管からの鉄の吸収率は10%とされることから、10mgとる必要があります。特に生理のある女性や成長期の方は1日あたり12mg、妊婦さんは18mgくらいの鉄の摂取が必要となります。体内にある鉄は約4gと言われます。その大半の2/3は血液中の特に赤血球に存在し、一部は皮膚や筋肉、消化器といった組織、残りは肝臓や脾臓に貯蔵されています。健康状態では鉄の吸収と排泄、貯蔵のバランスが取れていますが、上記のような理由により貯蔵鉄がなくなり赤血球が減少することで貧血の症状があらわれてきます。

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