赤血球(ヘモグロビン)は、酸素と二酸化炭素の運搬に関わっています

赤血球・ヘモグロビンの働き

赤血球とは、血液中に含まれる血球成分の一つで赤い色をしています。赤血球の赤色は、ヘモグロビンという赤い色素によるもので、ヘモグロビンは酸素と結合すると鮮やかな赤色になります。これは、血液に含まれている赤血球が肺で得た酸素を取り込み、体の隅々の細胞に酸素を運び供給する役割を担い、また、赤血球は、二酸化炭素の排出にも関っている為です。赤血球の内部には鉄を含む赤いタンパク質ヘモグロビンが充満しており、赤血球はヘモグロビンに酸素を取り込む構造となっています。この様に酸素が多い動脈血では、赤血球中のヘモグロビンと酸素が結合して鮮やかな赤色を呈し、逆に静脈血では、赤血球中のヘモグロビンが酸素ではなく二酸化炭素と結合をし赤黒い色を呈します。

赤血球(ヘモグロビン)の構造について

赤血球(ヘモグロビン)の形状

赤血球の大きさは、直径が7-8μm、厚さが2μm強ほどの両面中央が凹んだ円盤状であり、正常な人の赤血球数は、血液1μLあたり成人男性で450-650万個、成人女性で380-580万個程度で血液の容積のおよそ4-5割程度が赤血球の容積になります。標準的な体格の成人であれば全身におよそ3.5-5リットルの血液があり、その血液に含まれる赤血球の総数はおよそ20兆個になります。赤血球の形状は、厚さが2μm強ほどの両面中央が凹んだ円盤状ですが、この形状により、赤血球の形状がドーナツ状であり、外部からの力や浸透圧の変化に対して壊れにくい、形が変化しやすいので、細い血管も通過できる、表面積が広いので、ガス交換の効率が良いなどの構造上のメリットがあると考えられています。

赤血球(ヘモグロビン)の具体的構造

成人の身体の中には約4gの鉄が存在し、そのうち約2/3がヘモグロビンの形で体内に蓄積されています。ヘモグロビンは、鉄を含むヘムという赤い色素と、グロビンというタンパク質から構成される複合タンパク質です。ヘモグロビンの構造は、リボンモデルと言われヘムとグロビンから構成されております。ヘム=鉄+ポルフィリン、グロビン=α鎖+β鎖から出来ており、成人のグロビンにはα鎖とβ鎖とが2本ずつ、胎児のグロビンには、α鎖とγ鎖とが2本ずつ含まれています。一つのヘモグロビン分子はヘム分子とグロビン分子がそれぞれ4つで構成されおり、赤または黄色に着色されているのがグロビン緑色に着色されている小さい分子がヘムになります。それぞれのヘムの中心に鉄原子が一つありそれが酸素と結合しています。 (ヘモグロビンの構造図)
 赤血球(ヘモグロビン)の構造図

赤血球(ヘモグロビン)の性質について

赤血球(ヘモグロビン)の寿命

骨髄で作られる赤血球の寿命は120日程度で、毎日骨髄では2000億個弱程度の赤血球が造られると言われています。寿命が来た赤血球は、脾臓や肝臓で主に分解されます。これは成熟する最終段階で細胞核やミトコンドリア・リボゾームなどの細胞内器官を遺棄をして、酸素の運搬には不要な細胞核や酸素を消費するミトコンドリアを捨て去ります。赤血球の乾燥重量約9割がヘモグロビンであり、赤血球の大部分がヘモグロビンである事がわかるかと思います。赤血球はいわばヘモグロビンを閉じ込めた柔軟な袋であり、ヘモグロビンによる酸素運搬に特化した細胞といえます。赤血球は、ミトコンドリアを持たないため、細胞の活動に必要なエネルギーは嫌気性解糖系と呼ばれる酵素によって糖(グルコース)を分解して得れます。赤血球は、体のすみずみの細胞にまで酸素を供給するため、やわらかく非常に変形能力に富み、自分の直径の半分以下の径の狭い毛細血管にも入り込み通過することができる形状となっています。

赤血球(ヘモグロビン)の生理的変動

赤血球数の生理的な変動は、性別や年齢さらには環境によって差があらわれます。まずは、性別による赤血球数の変動ですが、一般的に男性の方が女性よりも赤血球数は多い傾向にあります。特に女性の場合では、月経の影響により少ない傾向があります。また、年齢による赤血球数の変動としては、新生児期の赤血球値は成人などと比較するとやや多い傾向にあり、幼児期には成人とほぼ同じ値となります。高齢者になると成人期よりも赤血球数は少ない傾向があります。それ以外の赤血球数の変動としては、妊娠、特に妊娠後半では、循環血漿量が増加するため、見かけ上少なったり、高地居住者の場合、酸素濃度が少なく、その状況下で体内に酸素を必要量取り込む必要があるため、赤血球数が多い傾向があります。スポーツ選手が高山トレーニングするのは、一時的に酸素の少ない場所で体内を鍛える事で赤血球を増やしスタミナをつける為です。

ボーアの効果について

生理学者クリスティアン・ボーア(ニールス・ボーアの父)により発見された血液内の二酸化炭素量の変化による赤血球内のpHの変化によりヘモグロビンの酸素解離曲線が移動する原理で、赤血球に取り込まれた二酸化炭素と水は炭酸脱水酵素により重炭酸イオンとプロトンに解離され、赤血球内のpHが低下することでヘモグロビンの酸素親和性が低下しヘモグロビンは酸素を解離しやすくなる。また、二酸化炭素の少ない環境では、赤血球は重炭酸イオンとプロトンから二酸化炭素と水をつくり二酸化炭素を放出することで、pHは上がりヘモグロビンの酸素親和性が増加するのでヘモグロビンは酸素と結合しやすくなる事をいう。pHの低下や温度上昇などの変化によって末梢で酸素を解離しやすくなり、pHの上昇や温度低下などで結合しやすくなる効果である。

赤血球(ヘモグロビン)の働き~酸素・二酸化炭素輸送~

ヘモグロビンは、赤血球細胞質の大部分を占める主要な構成物質であり、肺から全身へ酸素を運搬するタンパク質の一種です。 ヘモグロビンは、ポルフィリン核に鉄を持つ4つのヘムと4つのグロビンからなりヘムは中心に1つの鉄原子を持ち酸素1分子を結合することができるのでヘモグロビン1分子で4個の酸素分子と結合することができます。若い赤血球には豊富なミトコンドリアやポリリボソームが存在しており、赤芽球のミトコンドリアではヘムの骨格を成すポルフィリン環が作られ、ポルフィリン環に鉄原子が組み込まれてヘムが作られる。そして、mRNA に複数のリボソームが連結したポリリボソームはアミノ酸を組み立ててたんぱく質であるグロビンを作られる事でヘモグロビンが盛んに作られます。細胞が成熟するにつれて細胞質はヘモグロビンで充填されていくが、最終段階でミトコンドリアやポリリボソームが抜け落ち、成熟し完成した赤血球ではもはやヘモグロビンの合成は行われなくなります。

赤血球は、酸素と二酸化炭素の運搬に関わっています

過剰な酸素は細胞を傷つけるが、赤血球に酸素を取り込み末端組織内で酸素を吐き出す過程では二酸化炭素の存在によって酸素が供給されるので、二酸化炭素の濃度が濃いほど(一般に活動の盛んな細胞ほど二酸化炭素の排出が多い)赤血球が供給する酸素の量が増えてくるので酸素を必要とする細胞に必要とする適量の酸素を供給することができる。この点が液体に酸素を溶かし込んで供給するシステムとの大きな違いである。

成熟した赤血球は、全身を循環し酸素を抹消組織に送る

赤血球は、骨髄から血管内に移動し血液循環によって全身を循環いたします。心臓から送り出された血液(赤血球)は、肺で酸素を受け取り末梢細胞まで送り届けられます。末梢細胞では活動をしておりり二酸化炭素が発生し血漿や組織液に溶け込んでいるが、細胞膜を通して二酸化炭素は赤血球内に取り込まれ回収される。赤血球内で二酸化炭素(CO2)と水(H2O)は炭酸脱水酵素によって重炭酸イオン(HCO3?)と水素イオン(H+)になり、水素イオンが増加することにより酸性が強くなった赤血球内では、酸素とヘモグロビンが結びついたオキシヘモグロビンから酸素分子が遊離し、細胞膜を通って体細胞に酸素が供給される(ボーア効果)。酸素を放出したヘモグロビンは水素イオンと結びついて赤血球内が極端に酸性に傾くのを防ぐ作用があります。

組織内のpH低下により赤血球の酸素は放出される

人の肺では酸素分圧はほぼ100mmHgであり二酸化炭素はほとんど無いので赤血球の酸素飽和度はほぼ100%になる。酸素を含んだ赤血球は組織に循環するが、組織内の酸素分圧は組織によって違い、一般的な組織内では40mmHg、活動中の筋肉内では20mmHg程度になります。酸素分圧の差でも赤血球は酸素を放出するが二酸化炭素が存在せず酸素分圧の差のみであると、赤血球は持っている酸素の内10-30%程度しか赤血球外へ放出できない。しかし組織内に二酸化炭素が発生していると二酸化炭素が炭酸に変換されることでpHが低下し、pHの低下によっておきるボーア効果で赤血球は大半の酸素を放出することができるようになる。

酸素の多い肺では、赤血球は逆の作用で二酸化炭素を放出し酸素を結合

酸素に富み二酸化炭素の少ない肺では、赤血球は逆の行程で重炭酸イオンを二酸化炭素に戻して吐き出し、酸素を取り込むます。 つまり、二酸化炭素の少ない肺では赤血球内の二酸化炭素が出て行くが、赤血球内の二酸化炭素濃度が下がると炭酸脱水酵素は組織内のときとは逆に重炭酸イオン(HCO3?)を二酸化炭素(CO2)と水酸化物イオン(OH?)に換え、赤血球内の細胞質のpHは上昇する。また赤血球内の重炭酸イオンが減少したことで赤血球外の重炭酸イオンが塩素イオンと交換で取り込まれ、二酸化炭素に変換されて再び放出される。pHが上昇した赤血球内では酸素を取り込みやすくなり、もともと酸素に富んだ肺組織内であるのでヘモグロビンはいっぱいに酸素を取り込む。酸素飽和度があがった赤血球は、再び末端の組織細胞に酸素を運搬します。

赤血球(ヘモグロビン)と貧血

赤血球数が減少している状態を貧血と呼びます。貧血とは、赤血球又はヘモグロビンが減少したために、全身の組織に十分に酸素がいきわたっていない、言わば酸欠状態です。そのため、貧血になると、動悸や息切れ、立ちくらみ、疲れやすいといった様々な症状がでます。赤血球の減少は貧血を示しますが、貧血にもいくつかの種類が存在します。それを、ある程度区別するために、 ヘモグロビン濃度・ヘマトクリット値・赤血球恒数(MCV・MCH・MCHC)などを参考にします。詳しくは、貧血のページを参照してください。

赤血球数(ヘモグロビン)が減少する原因

赤血球は、鉄を含むヘモグロビンというタンパク質から構成されています。何らかの原因により、鉄が不足することで赤血球が減少して起こります。赤血球が減少する貧血の原因としては、食事のバランスが悪い、偏食、食事を減らすダイエットなどにより食事に含まれる鉄量の減少や吸収に必要なビタミンなどが不足することで鉄が不足します。また、赤血球(ヘモグロビン)に多く含まれる鉄は、胃で消化され小腸で吸収されますが、胃の摘出や疾患などにより胃酸が不足することで吸収される量が減少してしまいます。胃潰瘍や十二指腸潰瘍、大腸がん、出血を伴う痔など慢性的な出血があることでも鉄が不足する原因となります。女性では月あたりの生理による出血は約40mLと言われ、鉄としては20mg失うことになります。鉄は体内で合成できないことから食事で摂取するしかありません。成人で必要とされる鉄量は1日あたり1mgとされていますが、消化管からの鉄の吸収率は10%とされることから、10mgとる必要があります。特に生理のある女性や成長期の方は1日あたり12mg、妊婦さんは18mgくらいの鉄の摂取が必要となります。体内にある鉄は約4gと言われます。その大半の2/3は血液中の特に赤血球に存在し、一部は皮膚や筋肉、消化器といった組織、残りは肝臓や脾臓に貯蔵されています。健康状態では鉄の吸収と排泄、貯蔵のバランスが取れていますが、上記のような理由により貯蔵鉄がなくなり赤血球が減少することで貧血の症状があらわれてきます。