アルブミン濃度が低下している場合は、肝疾患、ネフローゼや栄養失調が疑われます。

アルブミン(Alb)

アルブミンは一群のタンパク質に名づけられた総称で、卵白(albumen)を語源とし、卵白の構成タンパク質のうちの約65%を占める主成分タンパク質に対して命名され、さらにこれとよく似た生化学的性質を有するタンパク質の総称として採用されている。 代表的なものに卵白を構成する卵アルブミン、脊椎動物の血液の血漿に含まれる血清アルブミン、乳汁に含まれる乳アルブミンがある。アルブミンは一般的に肝臓で生成される。アルブミン濃度が低下している場合は、肝疾患、ネフローゼや栄養失調が疑われる。

アルブミンの基準値

生化学血液検査項目 基準値(参考値)
生化学血液検査名称 略称 数値 単位
アルブミン Alb 3.8~5.3 g/dl

アルブミン検査の目的

肝臓で合成される血中の主たる輸送体蛋白。栄養状態の悪化や肝障害の程度の検査です。
アルブミンは肝臓で合成されるたんぱく質の一つで血清総蛋白の約60%を占める成分です。血清中の蛋白質の中では最も量が多い。アルブミンは膠質浸透圧を維持し、尿酸、遊離脂肪酸、サイロキシン、Ca、Cu、Zn、そのほか各種薬剤や色素などの輸送体として働いています。また、アルブミンは肝でのみ合成されるため、肝障害の程度を判定するのにも有用です。また、腎障害など、体外に失なわれる病態では低下する。

アルブミンの検査結果からわかる病気

検査結果 考えられる原因と疾患の名称
基準値より高値 脱水症、血液濃縮、肝炎の回復期
基準値より低値 腎不全、本態性低タンパク血症、蛋白漏出性胃腸症、体腔液貯留、全身性浮腫、水血症、甲状腺機能亢進症、吸収不良症候群、肝硬変、感染症、炎症性疾患、栄養不良、悪性腫瘍、ネフローゼ症候群、重症肝障害、先天性無アルブミン血症
【備考】
ヒトアルブミンと特異性の高いBCPと反応させる方法です。

【関連項目】 
総ビリルビン直接型ビリルビン総たんぱくアルブミンコリンエステラーゼチモール混濁試験硫酸亜鉛混濁試験AST(GOT)
ALT(GPT)γ-GTPアルカリフォスファターゼロイシンアミノペプチターゼ乳酸脱水素酵素インドシアニン・グリーンアンモニア総コレステロールB型肝炎ウイルス表面蛋白抗原C型肝炎ウイルス核酸定性C型肝炎ウイルス核酸定量

アルブミンの機能

浸透圧の保持 アルブミンは他の血清タンパクに比べ分子量が小さく、量が多いため、血液の浸透圧調整の役割を担っている。 物質の保持・運搬 血漿に存在する脂肪酸やビリルビン、無機イオンあるいは酸性薬物などの外来物質を吸着する。一方血漿中の塩基性薬物は主としてα1酸性糖タンパク(α1アシドグリコプロテイン)と結合する。低分子物質は、各種臓器に取り込まれて代謝・排泄されるが、アルブミンに結合した物質は臓器に取り込まれず、血中を循環することができる。薬剤の臓器移行性に大きな影響を及ぼす。ワルファリンやトルブタミドなどは特にアルブミンとの結合性が高く、これらと結合が競合するような薬剤を併用した場合、予想以上に組織中薬物濃度が上昇することが知られている。

 

その他の献血で行われる検査一覧

検査項目 補足説明
ALT(GPT) 肝臓に最も多く含まれる酵素です。
肝細胞が破壊されると血液中に流れ出すので、急性肝炎で最も強く上昇し、慢性肝炎や脂肪肝(肥満)などでも上昇します。激しい運動の後に一過性の上昇がみられることがあります。
AST(GOT) 心筋や肝臓に多く含まれ、骨格筋、肝臓、血球にも認められる酵素です。心筋梗塞や急性肝炎、アルコール性肝障害などで上昇します。その他運動の後に一過性の上昇がみられることがあります。
γ-GTP 肝、胆道、膵、腎などに多く含まれる酵素です。
上昇する疾患は、閉塞性黄疸、肝炎、アルコール性肝障害などです。病気がなくても、長期飲酒者では上昇することが多く、1ケ月位禁酒するとある程度正常化します。
総淡白(TP) 血清中には80種類以上の蛋白が含まれ、種々の機能を持ち、生命維持に大きな役割を果たします。その総量を総蛋白として測定しています。
アルブミン(ALB) 血清蛋白の50%以上を占めるアルブミンは、病気などで栄養が悪くなると減少するため、健康診断のスクリーニングとして大きな意味があります。
アルブミン対グロブリン比(A/G比) 血清蛋白はアルブミン(A)とグロブリン(G)に分けられ、その比率は健康な人では一定の範囲にありますが、病気によってはその比率が変化(主として減少)していきます。
コレステロール(CHOL) 血清脂質の一つで、一般に脂肪の多い食事を続けていると上昇します。また肝臓などで作られ、肝、胆道、腎、甲状腺の病気でその値が上下することがあります。
血清コレステロールが多くなると、動脈硬化を起こしやすいとされています。
赤血球数(RBC) 赤血球は、血液の主な細胞成分で、酵素を肺から各組織へ運ぶ働きを持っています。
ヘモグロビン量(Hb) 血液の赤い色は、赤血球に含まれるヘモグロビン(血色素)によるもので、赤血球の働きの中心となっています。
ヘマトクリット(Ht)(赤血球容積率) ヘマトクリット値は、一定の血液量に対する赤血球の割合(容積)をパーセントで表したものです。
平均赤血球容積(MCV) 赤血球1個の平均的容積、すなわち赤血球の大きさの指標となるもので、赤血球数とヘマトクリット値から算出したものです。
平均赤血球ヘモグロビン量(MCH) 赤血球1個に含まれるヘモグロビン量を平均的に表したもので、赤血球数とヘモグロビン量から算出したものです。
平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC) 赤血球の一定容積に対するヘモグロビン量の比をパーセントで表したもので、ヘモグロビン量とヘマトクリット値から算出したものです。
白血球数(WBC) 白血球は細菌などを貪食し、免疫情報を伝達しさらに免疫能を発現して生体防御にかかわっています。細菌感染症があると、一般に白血球数は増加しますが、ウイルス感染症の場合はかえって減少することもあります。
血小板数(PLT) 血小板は出血を止めるための重要な働きを持ち、この値が極端に減少する出血を起こしやすくなります。
グリコアルブミン

糖尿病の検査の一つです。過去約2週間の血糖値が低い状態が続いていると低下し、高い状態が続いていると上昇します。糖尿病では標準値より上昇します。標準値範囲内でも15.6%以上の場合は注意が必要です。

B・C型肝炎検査 受付時に結果通知を希望した方には、異常を認めた場合にのみ、献血後1ヶ月以内に親展(書簡の郵便)にて通知されるようになっています。
梅毒検査
HTLV-I抗体検査