神経特異エノラーゼ(NSE)は、肺小細胞癌、神経芽細胞腫、神経内分泌系腫瘍の診断と経過観察に有用な腫瘍マーカーです。

神経特異エノラーゼ(NSE)|腫瘍マーカー

神経特異エノラーゼ(NSE)は、肺小細胞癌、神経芽細胞腫、神経内分泌系腫瘍の診断と経過観察に有用な腫瘍マーカーです。NSEは神経および神経内分泌細胞に存在し、これらに由来する癌において上昇する。高値を示す病態:肺小細胞癌、APUDoma、神経芽細胞腫、肺良性疾患、胃潰瘍などがある。

神経特異エノラーゼ(NSE)の基準値

血液検査項目 基準値(参考値)
血液検査名称 略称 数値 単位
neuron specific γ- enolase   LDH 12.0以下 ng/ml

神経特異エノラーゼ(NSE)検査の目的

神経特異エノラーゼ(NSE)は、肺小細胞癌、神経芽細胞腫、神経内分泌系腫瘍の診断と経過観察に有用な血中腫瘍マーカー。

神経特異エノラーゼ(NSE)で何を調べている

神経特異エノラーゼ(NSE)を細かく分類すると解糖系の酵素であるエノラーゼはα, β, γの3種類のサブユニットの組合せから成る二量体構造をもつ。このうちαγおよびγγ型のエノラーゼは主に神経細胞や軸索突起に存在するため、神経特異エノラーゼ(NSE)と呼ばれている。近年、NSEは各臓器に分布する神経内分泌細胞にも存在することが明らかとなり、その腫瘍であるAPUDoma(*)やそれに類似した性格を示す燕麦細胞型の肺小細胞癌、神経芽細胞腫で腫瘍細胞より血中に逸脱・増加することから、その有用なマーカーとして臨床応用されている。なお、NSE測定の検体として一般には血清が用いられるが、EDTA血漿を検体とした場合、癌患者において有意に高値を示すとの報告がある。その確かな理由は不明ながら、EDTAがNSEの抗原構造の安定化に寄与しているのではな。

神経特異エノラーゼ(NSE)でわかる病気

神経特異エノラーゼ(NSE)腫瘍マーカー血液検査結果が適正範囲より大きく乖離している場合には疾患の可能性がありますので、値が乖離した原因を診療機関で医師の診察を受けるようにしてください。

検査結果 考えられる原因と疾患の名称
基準値より高値 肺小細胞癌、APUDoma、神経芽細胞腫、肺良性疾患、胃潰瘍
基準値より低値
【備考】

小児悪性腫瘍の中でも神経芽細胞腫では高率にNSEが陽性を示し、治療経過をモニタリングするのに有用です。

【関連項目】
ガストリン放出ペプチド前駆体(Pro GRP)SCC抗原シフラ(サイトケラチン19フラグメント)