NASH(非アルコール性脂肪肝炎)の基本的な治療法は食事療法と運動療法が中心となります。

NASH(非アルコール性脂肪肝炎)の治療

 NASH(非アルコール性脂肪肝炎)の基本的な治療法は食事療法と運動療法が中心となります。そのほかにも、まだ確定的な治療法ではなく手探り状態ではありますが、薬物療法による治療もおこなわれています。また、鉄分の過剰摂取が負担となる部分もありますので、鉄分摂取の抑制もかかる場合もあります。 NASH(非アルコール性脂肪肝炎)の怖い点は、症状が出始め気付いたころにはすでに肝硬変へと病期が移行している点です。一度でも脂肪肝と診断された方は、そのうちの10%が発症するといわれていますので、1年に一回程度の検診は受けるようにしましょう。

NASH(非アルコール性脂肪肝炎)の食事療法

 NASHのポイントは発症する方の80%はBMI25以上であることです。肥満傾向や隠れ肥満(体重は標準であるが体脂肪率が高い)である場合多くありますので、食事のコントロールを行い、脂肪細胞から大量に分泌されるレプチンの量を抑制することが大切です。

NASH(非アルコール性脂肪肝炎)の食事療法の目安

栄養素の項目 食事の目安とアドバイス
エネルギー摂取量 25~35kcal/kg(標準体重)/日
蛋白質 1.0~1.5g/kg(標準体重)/日
脂質 エネルギー摂取量の20%以下
炭水化物 できる限り砂糖などからの摂取は控えめに 
食物繊維 野菜類や海藻類を多めに摂るようにしましょう
ビタミン E(大根の葉、かぼちゃなど)、C(果物類)を豊富に取りましょう
アルコール 摂取する習慣があまりありませんので維持しましょう

NASH(非アルコール性脂肪肝炎)の運動療法

 運動療法の目的は体内代謝を高め、体重、体脂肪を下げるとともに肝臓にたまった脂肪を排除することにあります。また、レプチンの感受性を高める働きも運動にはあります。
レプチンの感受性が向上することで、体内代謝が上がり食欲を抑制することができるようになります。

NASH(非アルコール性脂肪肝炎)の運動療法の目安

運動の項目 運動の目安とアドバイス
種目 ウォーキング、ジョギング、水中運動などの有酸素運動
強度 最大強度の50%程度(軽く汗ばむ程度)
(最大心拍数(220-年齢)の60~70%)
例)50歳の方は最大心拍数が170ですので、100~120回/分程度となります。      
時間 20分以上は続けるようにしましょう
頻度 週3回以上は行うようにしましょう
注意点 運動を始める前に、メディカルチェックを受け、どの程度の運動であれば問題がないかを確認するようにしましょう。
また、運動をする際は思わぬ事故を予防するために準備運動はしっかりと行いましょう 
続けることが大切ですので、無理のない運動計画を立てましょう。

NASH(非アルコール性脂肪肝炎)のその他の治療法

 食事療法や運動療法の効果があまりない、あるいは運動そのものの制限が必要でコントロールすることが難しい場合に併用治療が行われます。

NASH(非アルコール性脂肪肝炎)の薬物療法

 まだ、確定的な治療法はありませんが、現在は以下のような薬物療法がおこなわれています。

①抗酸化剤:ビタミンE、C
②糖尿病治療薬:チアゾリジン系薬剤、ビグアナイド系薬剤、シダグリプチン
③脂質異常症治療薬:フィブレート系薬剤、エゼチミブ、EPLなど
④肝庇護剤:ウルソ、グリチルリチンなど

NASH(非アルコール性脂肪肝炎)の除鉄療法

 NASHでは過剰な鉄は肝臓に負担を掛けますので、鉄を減らすことが重要です。それを目的として以下の治療が行われます。

①瀉血療法:1回に200?400mlの血液を2週ごとに抜きます。
②鉄制限食: 1日の食事中の鉄を6-7mg以下にします。

NASH(非アルコール性脂肪肝炎)の外科的治療

 体重のコントロールがおもわしくない場合や、NASHの後期(肝硬変や肝がん)へ移行した場合に行われます。

①減量手術
②肝移植