糖尿病は、血糖値が高い状態が長く続く病気です。

糖尿病とは何か、原因と種類について

糖尿病は、血糖値が高い状態が長く続く病気です。血糖値が170mg/dl以上になると、尿にブドウ糖が血液中からあふれ出でてきます。このように尿の中にブドウ糖が漏れてくることがあるため、「糖尿病」と名づけられました。私たちが毎日の食事で摂取する栄養は腸から吸収されて血液中に入ります。また、摂りすぎた栄養分が一度、糖となり、これらは通常脂肪やそのほかの形となり蓄積されていきます。血糖は体のいろいろな細胞(脳、筋肉、肝臓など)に取り込まれて、エネルギー源として役に立ちます。通常では、血糖値は非常に狭い範囲に調節されています。その調は節膵(すい)臓のランゲルハンス島の中にあるβ細胞から分泌されるインスリンというホルモンの作用によって行われています。このインスリンの分泌が低下したり、その働きが十分でないと血糖がスムーズに細胞内に入っていけなくなり、その結果血糖値は高くなります。

糖尿病の種類

 糖尿病には、Ⅰ型糖尿病、Ⅱ型糖尿病、そのほかに、遺伝子やそのほかの以上によるもの、妊娠糖尿病などがあります。

Ⅰ型糖尿病

膵臓のランゲルハンスβ細胞が破壊され、インスリンをほとんど、あるいは全く作る機能を失ったため、インスリンの量が絶対的に不足し起こる糖尿病をいいます。

Ⅱ型糖尿病

インスリンの量が不十分、肝臓や筋肉などの細胞がインスリン作用が低下しブドウ糖を上手に取り入れられなくなる。この二つのどちらかが、或いは両方が原因となって糖尿病となります。
これらは、生活習慣が関係している場合が多く、糖尿病者の95%がこのタイプです。

妊娠糖尿病

妊娠時に現れる糖尿病。新生児に合併症が出ることもあります。

その他の糖尿病

遺伝子の異常、肝臓・すい臓の病気、感染症、免疫の異常、薬物起因等が原因となり糖尿病を発症する。

糖尿病の各種原因について

Ⅰ型糖尿病の原因

発症原因は解明されていませんが、自己免疫の異常が重要な要因の一つと言われています。
  • 自己免疫疾患の遺伝的素因(HLA-DR、DQ、PTPN22、CTLA-4など)
  • 自己抗体(ICA、抗GAD抗体、抗IA-2抗体、抗インスリン抗体など)
  • 分子模倣(コクサッキーBウイルスと抗GAD抗体の抗原であるグルタミン酸デカルボキシラーゼの相似性を根拠とする、そのほかエンテロウイルスやEBウイルスがよく候補に挙げられる)
しかし、1型糖尿病の一部では自己抗体が発見されず、膵臓にも炎症細胞の浸潤が見られないものもあります。これは自己免疫性とは言えない。さらに、アジア、アフリカ人に多いとされるこの病型の原因についてはもとんど不明です。

Ⅱ型糖尿病の原因

遺伝的要因と環境的要因があります。
  • 遺伝的要因とは、両親や親戚に糖尿病をもっているひとがいると普通のひとより糖尿病を発症する可能性が高いタイプであるということです。
  • 環境的要因とは、“食べすぎ”“運動不足”“ストレス”といった生活習慣のことを言います。
これらの要因が、複数組み合わさり糖尿病になると考えられています。このように2型糖尿病の場合、生活習慣も重要な要素であることから、「生活習慣病」と呼ばれています。

妊娠糖尿病の原因

妊娠中に分泌されるホルモンの影響で、血液中の糖の分解が難しくなることが原因で起きます。妊娠すると、胎盤からインスリンの働きを抑えるホルモン(プロゲステロンなど)が分泌されたり、インスリンを壊す酵素が作られたりするため、インスリンが効きにくい状態になり、血糖値が上昇しやすくなります。また、妊娠後期の身体にはインスリンが大量に必要になりますが、この時にそれに見合ったインスリンが作られないと高血糖になってしまいます。