多血症(赤血球増加症)は、赤血球数が異常に増加し、脳梗塞、心筋梗塞のリスクが高まる病気です。

多血症の症状と原因、治療方法

多血症(赤血球増多症)とは、貧血とは逆に赤血球数が異常に多くなる病気です。頭痛や皮膚のかゆみ、顔面紅潮、結膜の充血などのほかに、血栓ができやすくなり、血管をふさいで、脳梗塞や心筋梗塞を起こすこともあります。多血症にはいくつかの種類があり、1、血液の腫瘍性(がんのように細胞が増え続けること)の病気である「真性多血症」、2、慢性の肺の病気や先天性の心臓疾患などの原因となる病気があり、そのために赤血球が増えてしまう「二次性多血症」、3、本当は赤血球が増えていないのに増えているように見える「相対的多血症」に分けられます。多血症とは血液に含まれる赤血球量が絶対的、相対的に増加する血液の状態であり、赤血球量が増えるさまざまな疾患・状態を含む概念をいいます。 


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多血症の数値的な定義

性別\検査 赤血球数 Hb(ヘモグロビン) Ht(ヘマトクリット)
男性 600万/μl 18g/dl 51%
女性 550万/μl 16g/dl 48%

以上の数値のいずれかが、表示値を超えた場合に多血症と診断されます。

多血症の種類

多血症は、大きく分けて1.真性多血症、2.二次性多血症、3.相対的多血症の三つに分ける事ができます。

  1. 真性多血症(骨髄増殖性疾患)
    赤血球だけではなく、白血球や血小板も増加します。それに加え脾臓が腫れる事が多いのが特徴です。この疾患の確定診断には、骨髄検査などが必要となります。
  2. 二次性多血症
    肺疾患、心疾患などにより、慢性的に酸素が不足すると、それを補うために赤血球が異常に作られてしまう状態をいいます。これらの状態は、原因となる病気を治療する事が出来れば改善する事がほとんどです。
  3. 相対的多血症(ストレス性多血症)
    ストレスが原因と考えられていますが、メカニズムの詳細は分かっていません。発症する対象者は、肥満、高血圧症、高尿酸血症などを有し且つ喫煙習慣のある中年男性に多くみられます。この疾患を改善するためには、生活習慣の改善により危険因子を一つでも減らす事が重要となります。
 

多血症の症状

多血症の症状は、赤血球の増加が著しいケースでは、頭痛や赤面、耳鳴り、めまい等が起こる事があります。また、真性多血症では、更に高血圧、皮膚のかゆみ、胃潰瘍、鼻血、内出血等、出血傾向が高まります。

 

多血症のリスク

多血症により、赤血球数の増加だけではなく、血小板も増加するため血液の粘度が増します。そのため、治療を行わず放置することで、脳梗塞や心筋梗塞といった血栓が原因として発症する疾患のリスクが高くなります。また、真性多血症の場合は、他の血液の病気を引き起こす場合があるため、しっかり定期的な経過観察が必要となります。


真性多血症(骨髄増殖性疾患)とは

骨髄の働きが病的に強くなり、赤血球、白血球や血小板が増加する事があります。これらの病気を総称して「骨髄増殖性疾患」といいます。骨髄の細胞が異常増殖することから、急性白血病や骨髄異形成症候群も「骨髄増殖性疾患」に含む事があります。一般的には慢性の経過をとるものを慢性骨髄増殖性疾患(腫瘍)と呼んでいます。

慢性骨髄増殖性疾患(腫瘍)

  • 真性多血症
  • 慢性骨髄性白血病
  • 本態性血小板血症
  • 特発性骨髄線維症
  • 慢性骨髄増殖性腫瘍

の五つにわけられます。真性多血症では赤血球の増加が著しく、本態性血小板血症では、血小板が著しく増加する事が特徴です。特発性骨髄線維症においては、骨髄が線維化することにより、正常な造血機能が失われるため脾臓などにおいて髄外造血によって血液が造られるようになります。それに伴い、脾臓の腫れなどが起こります。

詳しくは、「真性多血症(骨髄増殖性疾患)」を参照お願致します。

 

二次性多血症とは

 二次性多血症(続発性赤血球増加症)とは、何らかの原因で造血因子であるエリスロポエチンの量が増えるために赤血球量の増加が起こるものです。主にはなんらかの原因で体組織が酸素欠乏状態になったことに反応してエリスロポエチン産出が腎臓や肝臓で盛んになるものと、腎臓腫瘍などエリスロポエチン産出細胞が腫瘍性の増加あるいはその他の異常で自律的に異常な産出をするものとがあります。

 

酸素欠乏性多血症

 ①空気の薄い高地での生活、②慢性の閉塞性肺疾患や肺胞の異常などによる肺の酸素取り入れ能力の低下、③心臓・血管などの異常による血流の不足、④異常ヘモグロビン症、⑤赤血球内の2,3-ビスホスホグリセリン酸塩(2,3-BPG)量の低下、⑥常習的大量喫煙の一酸化炭素ヘモグロビン症
以上の状況下においては血液が運ぶ酸素の量が減少し、体組織は慢性の酸欠状態になります。

 体組織の酸欠状態の結果、エリスロポエチン産出臓器(腎臓および肝臓)が反応しエリスロポエチンの増産を行い、造血組織がエリスロポエチンの増加に反応し赤血球産出量を増やすことで血液の酸素の運搬能力を高めようとします。 この働きを利用したのが、マラソンの高地トレーニングです。また、肥満でも多血症は現れ、肥満の為に体が必要とする酸素を十分に取り込めないためにおきます。また同様に睡眠時無呼吸症候群などでは睡眠時に低酸素症が起きるために多血症は良く見られます。常習的大量喫煙でも低酸素状態になり、ヘビースモーカーに多血による赤ら顔が多いのはこのためです。これらの低酸素反応性の赤血球増加は酸欠の原因が解消されれば腎臓のエリスロポエチン産出も落ち着き、やがて多血状態も落ち着きます。

 

非酸素欠乏性の多血症

 エリスロポエチン産出細胞あるいは腎組織に異常があってエリスロポエチン産出が亢進することによる多血症です。腎癌、肝癌ではエリスロポエチン産出細胞の腫瘍的増加がみられることがあります。また、子宮筋腫でも多血症が見られることがありますが、子宮の腫瘍化した平滑筋組織はエリスロポエチンもしくはそれに類似した物質を産出している可能性が指摘されています。

 腫瘍ではありませんが腎疾患による多血症も存在します。水腎症などでは腎組織に物理的な力がかかり部分的に血液循環が滞り、エリスロポエチンの産出を亢進させます。また、腎臓移植患者では10-15%に多血症がみられるが、これも腎動脈狭窄によって腎臓の血液循環が滞ることによって腎の酸欠が起きると考えられています。

 

相対的多血症とは

相対的多血症の原因

  1. 脱水(水分の不摂取、嘔吐、下痢、大量発汗、利尿剤の使用や尿崩症・糖尿病などによる多尿)などで体の水分を喪失したために血漿の絶対量が減少するもの。
  2. 各種疾患で血漿と体細胞・組織の間の水分の移動がうまく行かなくなったものがります。
  3. 疾患ではありませんが、喫煙などでも循環血漿量の減少をもたらすことがあります。
  4. ストレス多血症は神経質・高ストレス状態・喫煙者・生活習慣病などであることが多く、赤ら顔や肥満は良くみられます。高血圧や高脂血症・高尿酸血症など生活習慣病等慢性疾患では代謝の異常がおこり、機序は明らかではないが循環血漿量が減少することがあります。
 

相対的多血症の症状

ストレス多血症ではエリスロポエチン、NAP(好中球アルカリフォスファターゼ)、白血球、血小板、B12など、ストレス多血症以外の多血症では変化することが多い赤血球量以外の検査値が正常であることが多いのが特徴です。

 

相対的多血症の検査

ストレス多血症ではエリスロポエチン、NAP(好中球アルカリフォスファターゼ)、白血球、血小板、B12など、ストレス多血症以外の多血症では変化することが多い赤血球量以外の検査値が正常であることが多いのが特徴です。

 

相対的多血症の治療

脱水や下痢などが原因の場合は、その原因を解消し水分を補給すれば基本的には多血状態を改善することができます。それ以外の、疾患や生活習慣などが原因の場合は、その基礎疾患の治療を行います。

以上のことから、治療は合併症の管理が主体となります。

 

多血症の治療期間と予後

多血症は一つの疾患でなく、様々な疾患、原因によって起きる状態です。そのため、一様な概要を述べることはできませんが、代表的な治療法としては以下のものとなります。真性多血症では瀉血に加えて化学療法も積極的に行われますが、真性多血症以外では、赤血球増加の原因を探りその原因を解消することが基本となります。ただし、原因の解消が困難であったり、合併症が見込まれるとき、Htが極端に高いときには瀉血などの治療を適宜行います。


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