主に膵臓と唾液腺より分泌されますが、主に膵臓から分泌されるため膵疾患を調べる代表的な検査です

血清アミラーゼ(S-AMY)

アミラーゼは、ジアスターゼとも呼ばれデンプンを分解しグルコース、マルトースやオリゴ糖を生成する酵素に命名された総称です。主に膵臓と唾液腺より分泌されますが、主に膵臓から分泌されるため膵疾患を調べる代表的な検査です。通常血清中と尿中の両方を測定し、血清中、尿中ともに高値の場合は膵・唾液腺などに酵素逸脱(何らかの影響で血中へ酵素が漏れ出した状態)を起こすような病変が存在することが推定されます。これに対して、血清中が高値、尿中で低値の場合は、腎機能の低下、マクロアミラーゼ血症のようにアミラーゼが免疫グロブリンなどと結合し、分子が巨大化し尿中に排泄されない病態が考えられます。
 また、ムンプスウイルス感染による流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)や子宮外妊娠などでも高値を示します。一般的にアミラーゼ値は膵炎の病態と必ずしも一致しない場合があります。これはアミラーゼ値が膵の外分泌細胞の量に依存している事が由来しており、膵炎の病態が進行した結果、大規模な膵細胞の荒廃を来している場合には血中・尿中アミラーゼ値が上昇しません。

血清アミラーゼの基準値

生化学血液検査項目 基準値(参考値)
生化学血液検査名称 略称 数値 単位
血清アミラーゼ S-AMY 42-132 IU/l

血清アミラーゼ検査の目的

アミラーゼは、そのほとんどが膵臓と唾液腺由来のものです。血清および尿中のアミラーゼの測定は血中への酵素逸脱の程度を表すもので主に膵疾患の診断をするうえで重要な役割をします。アミラーゼの血中への逸脱は、膵炎や膵管内圧上昇等により増加します。この酵素逸脱による検査値上昇は、膵内外分泌機能や膵管などの変化よりも早期の状態で起こります。
 血清アミラーゼは、病状を良く反映するため、膵疾患のスクリーニング、早期発見、膵疾患の経過観察に用いられます。

血清アミラーゼの検査結果からわかる病気

検査結果 考えられる原因と疾患の名称
基準値より高値 膵疾患、胆道十二指腸疾患、腎不全、唾液腺疾患、アミラーゼ産生腫瘍、マクロアミラーゼ血症、肝疾患、高唾液型アミラーゼ血症
基準値より低値 肝硬変、唾液腺摘出、糖尿病(重症)、膵摘出
【備考】
(血清アミラーゼの生理的変動)
1、年齢による変動
新生児では低値、5~10歳頃には成人と同じ値となります。

2、その他の影響による変動
やせている場合は、やや高値を示す傾向です。

【関連項目】 
血清アミラーゼ゙リパーゼトリプシン膵ホスホリパーゼA2膵分泌性トリプシンインヒビター