膵ホスホリパーゼA2(膵PLA2)

膵ホスホリパーゼA2(膵PLA2)は急性膵炎で著明に上昇するため、早期の膵炎を見つけるうえで重要な検査です。また、慢性膵炎の活動期においても高値を示します。それに対し、膵外分泌機能障害においては低値(異常)を示します。膵ホスホリパーゼA2(膵PLA2)は慢性膵炎の状態を反映するため、経過観察に有用であるといわれています。膵臓癌患者における膵ホスホリパーゼA2(膵PLA2)の高値を示すケースとして腫瘍による膵管の物理的圧迫、狭窄などにより、血中膵PLA2が上昇していると判断します。これに対して低値を示すケースとして、腫瘍により膵実質が消失に近い状態となり、膵外分泌機能が障害されることにより膵ホスホリパーゼA2(膵PLA2)が低下しているものと判断します。


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膵ホスホリパーゼA2の基準値

生化学血液検査項目 基準値(参考値)
生化学血液検査名称 略称 数値 単位
膵ホスホリパーゼA2 膵PLA2 130~400 ng/dL
 

膵ホスホリパーゼA2検査の目的

膵ホスホリパーゼA2(膵PLA2)の血液検査は膵液中の他の酵素同様に一部は血中に移行している量を測定することで病気の診断をします。血中膵PLA2の低下はセクレチンテストの結果と高い相関を示します。頻回に繰り返すことが困難なセクレチンテストを膵PLA2の測定に代用できます。そのため、膵ホスホリパーゼA2(膵PL A2)は、血中膵酵素のうちでも特異性の高い膵マーカーとして膵疾患の診断や経過観察に有用な指標といえます。

 

膵ホスホリパーゼA2の検査結果からわかる病気

検査結果 考えられる原因と疾患の名称
基準値より高値 膵癌(進行~末期)、膵全摘後
基準値より低値 急性膵炎、腎不全、膵癌(特に早期)
【備考】
ホスホリパーゼA2(PLA2)はグリセロホスフォリピッドの2位のエステル結合を切る酵素で、哺乳類ではⅠ型(膵型)とⅡ型(膜型)に分類されます。膵型のホスホリパーゼA2(PLA2)は主に膵臓で合成され、膵液中に分泌されて消化酵素として作用しています。ヒトの膵液中に大量に存在することから、膵ホスホリパーゼA2(膵PLA2)と呼ばれています。

【関連項目】 
血清アミラーゼ゙リパーゼトリプシン膵ホスホリパーゼA2膵分泌性トリプシンインヒビター

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