インドシアニン・グリーン(ICG)検査は、肝臓の機能を診断します。

インドシアニン・グリーン(ICG)

肝臓には体内にの異物や老廃物を、無害化するために中和する働きがあります。肝臓の働きが低下すると異物や老廃物を中和する働きが低下し、血液中に残留しやすくなります。このインドシアニン・グリーン(ICG)検査は、異物に模した色素を左腕から体内に注入し、一定の時間ごとに右腕から採血して残留度を測ることで、肝臓の機能を診断します。検査試薬に使用される色素インドシアニン・グリーンの頭文字をとってICG検査と呼ばれています。

インドシアニン・グリーン(ICG)の基準値

生化学血液検査項目 基準値(参考値)
生化学血液検査名称 略称 数値 単位
インドシアニン・グリーン ICG 10.0以下

インドシアニン・グリーン(ICG)検査の目的

インドシアニン・グリーン(ICG)試験は肝機能や肝予備能を知るための検査として広く行われている色素負荷試験です。循環血漿量に比例した一定量のICGを経静脈的に投与すると、ICGは血中のリポ蛋白に結合して肝に輸送され、類洞を通過する間に肝細胞に吸収され、抱合を受けることなく胆汁に排泄されます。この過程で血中のICG濃度を一定時間ごとに測定し、肝臓の色素排泄機能を観察するのがICG試験の原理です。ICGの血中から胆汁への移行量は、主として肝有効血流量と、肝細胞の色素摂取量により決定されます。そのため、肝有効血流量が減少した場合や肝細胞摂取能が低下した場合に、ICGの血中消失速度は遅くなります。通常はICG静注後15分での血中濃度を測定し血中停滞率(R15)を算出します。さらに肝の最大色素排泄機能を知る目的でICG最大除去率(Rmax)の算出も行われますが、これには負荷量を変えて2回以上ICG試験を行う必要があります。Rmax(最大除去率)が低下する代表的疾患は、肝硬変です。肝癌などで肝切除に際しその範囲を決定する場合に、Rmaxは残存肝細胞機能を予測する指標となります。内科的には、不顕性肝硬変の診断や肝硬変の進行度、予後の推測に有用です。また、心疾患、浮腫などで肝有効血流量が低下している患者では異常値を示すことがあります。

インドシアニン・グリーン(ICG)の検査結果からわかる病気

検査結果 考えられる原因と疾患の名称
基準値より高値 ・15分値が高い順に、肝硬変、慢性活動性肝炎、慢性非活動性肝炎
・15分値が上昇し、K値(血漿消失率)が0.06以下を示す場合95%が肝硬変
・15分値が21%以上の場合、被検者の65%が肝硬変であり、K値が0.05以下、あるいは15分値が35%以上であれば、他の検査成績が肝硬変とするには不十分であっても肝硬変の可能性が高い
基準値より低値 インドシアニン・グリーンが低値であることによる臨床的意義はありません。
【備考】
15分後のICG残留量が15%以上の場合は、30分後と45分後に採血し、残留量の変動を調べます。45分後に30%以上の残留が認められる場合は肝機能障害を引き起こしている可能性が高くなります。
15分後の段階でICG残留量が30%以上のときには、肝硬変の診断が確定的となります。
肝炎、肝臓がん、体質性黄疸なども疑われ、また、症状にはあまり出ていなくても、異常値が出たら、何かしらの肝障害があると考えて間違いはないでしょう。

【関連項目】 
総ビリルビン直接型ビリルビン総たんぱくアルブミンコリンエステラーゼチモール混濁試験硫酸亜鉛混濁試験AST(GOT)
ALT(GPT)γ-GTPアルカリフォスファターゼロイシンアミノペプチターゼ乳酸脱水素酵素インドシアニン・グリーンアンモニア総コレステロールB型肝炎ウイルス表面蛋白抗原C型肝炎ウイルス核酸定性C型肝炎ウイルス核酸定量

肝臓がん切除手術におけるICG検査の活用

この検査は1970年代から広く行われており、R15の値ごとに安全に切除できる肝臓の割合がほぼ決まっています。具体的には以下の通り。
R15が10%以下 :肝臓を約3分の2(最大で70%)まで切除可能
R15が10~20%:3分の1まで切除可能
R15が20~30%:6分の1まで肝臓可能
というように安全基準が示されています。

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