アルドステロン(ALD)の検査目的
アルドステロン(ALD)血液検査は、高血圧症、原発性アルドステロン症、バーター症候群、リドル症候群、17α-水酸化酵素欠損症(先天性・難病指定)、11β-水酸化酵素欠損症(先天性・難病指定)、浮腫疾患などの診断において重要な検査です。アルドステロン分泌は多因子によって調節されているが、主要な分泌調節因子として①レニン-アンギオテンシン系、②血漿K濃度、③ACTHが重要である。腎臓におけるナトリウムの再吸収は、アルドステロンの分泌により促進される。アルドステロンが分泌されると、鉱質コルチコイド受容体の働きが活発になり、ナトリウムの再吸収を促進する。ナトリウムの再吸収は、水分の再吸収と血圧上昇に繋がることから高血圧をもたらす場合がある。アンジオテンシンIIは、副腎皮質球状帯に作用してアルドステロンの分泌を促進する(レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系)。副腎皮質の中でコレステロールから合成される。 ほとんどのステロイド合成反応がミトコンドリアの中のシトクロムP450の水酸化酵素ファミリーによって促進される(補助因子としてアドレノドキシンを必要とする(21ヒドロキシラーゼと17αヒドロキシラーゼを除く))。 アルドステロンとコルチコステロンは、その経路の最初の部分を共有しており、アルドステロンはアルドステロンシンターゼ、コルチコステロンは11βヒドロキシラーゼによって合成される。
アルドステロン(ALD)の基準値
生化学血液検査項目 | 基準値(参考値) | |||
生化学血液検査名称 | 略称 | 数値 | 単位 | |
アルドステロン | ALD | 随時:35.7~240 臥位:29.9~15 立位:38.9~307 |
pg/mL |
アルドステロン(ALD)検査は何を調べているのか
アルドステロン(ALD)は、副腎皮質ホルモンの一種で電解質の恒常性、循環血液量、血圧の維持に重要な役割を持っています。アルドステロン(ALD)の分泌過剰によって細胞外液中のカリウム+の低下、HCO3‐の増加と軽度のナトリウム+の増加がみられ、それに伴う高血圧、低カリウム血症、および代謝性アルカローシスが生じる。逆にアルドステロン分泌低下は低血圧、高K血症、代謝性アシドーシスを生じる。ただ、原発性アルドステロン症や、心、腎機能の正常なヒトにアルドステロンを大量に投与した場合などのアルドステロン過剰状態では、心房性ナトリウム利尿ペプチドなどによるエスケープ現象によりあまり高Na血症がみられないことには臨床上注意を要する。高血圧性諸疾患、血清カリウムの異常、浮腫などの鑑別に最も大切な検査項目といえる。特に原発性アルドステロン症、Bartter症候群、Liddle症候群、副腎における17α、11βをはじめとする水酸化酵素欠損症、選択的低アルドステロン症などの鑑別には欠かすことができない検査である。また、測定による診断意義を高め、アルドステロン分泌異常を副腎原発か二次性かを鑑別するためにも血漿レニン活性を同時に測定することが大切である。
アルドステロン(ALD)の検査結果からわかる病気
検査結果 | 考えられる原因と疾患の名称 |
基準値より高値 | 低レニン性低アルドステロン症、先天性副腎皮質酵素欠損、アジソン病 |
基準値より低値 | バーター症候群、原発性アルドステロン症、続発性アルドステロン症 |
【備考】 アルドステロンとレニンを測定して、アルドステロンが高く、レニンが低い値の時に原発性アルドステロン症が疑われます 【関連項目】副腎皮質刺激ホルモン、コルチゾール、レニン活性、アルドステロン、甲状腺刺激ホルモン、甲状腺ホルモンFT3、甲状腺ホルモンFT4、副甲状腺ホルモン、黄体形成ホルモン、卵包刺激ホルモン、インスリン |