副甲状腺ホルモン(PTH)

副甲状腺ホルモン(PTH)

副甲状腺ホルモン(PTH)は、副甲状腺が分泌するホルモンの一つで、甲状腺から分泌されるカルシトニンというホルモンやビタミンDとともに、体内のカルシウム濃度を一定に保っています。カルシトニンは、血液中のカルシウム(Ca)濃度が高くなると分泌が高まり、骨からカルシウムが溶け出すのを抑えるようにはたらきます。カルシウムを調節する大切なホルモンです一方、副甲状腺ホルモン(PTH)は、血液中のカルシウム濃度が低下すると分泌が高まり、骨に含まれているカルシウムを取り出し、腸からのカルシウムの吸収を促進することによって、血液中のカルシウムを増やすはたらきをしています。このように、二つのホルモンがバランスよくはたらくことによって、血液中のカルシウム濃度は常に一定に保たれているのです。副甲状腺ホルモン(PTH)は、副甲状腺(上皮小体)から分泌される84アミノ酸から構成されるポリペプチドホルモンである。 副甲状腺ホルモン、上皮小体ホルモンとも呼ばれ、血液のカルシウムの濃度を増加させるように働き、逆に甲状腺から分泌されるカルシトニンはカルシウムを減少させるように働く。副甲状腺ホルモン(PTH)値とカルシウム(Ca)値は、関連性があることから同時に検査を行われます。血中の副甲状腺ホルモン濃度の測定は、カルシウムおよびリン酸代謝に関与するこれら各臓器の機能を検査する上で重要な指標となっています。腎不全では副甲状腺ホルモンの分解、排泄の遅延、分泌刺激状態にあることから、カルシウムの調節を維持するために血中の副甲状腺ホルモンの濃度は著しく増加しています。したがって腎不全では副甲状腺ホルモンの値は高くなり、二次性副甲状腺機能亢進症によって、骨に病変が生じます。


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副甲状腺ホルモン(PTH)検査の目的

副甲状腺ホルモンPTHは骨と腎臓に対して働きますが、ビタミンDの活性化を介して間接的に腸管にも作用しています。そのため、血液中の副甲状腺ホルモン(PTH)検査は、カルシウム(Ca)、リン代謝に関与する各臓器の機能を調べるうえで重要な検査となっています。副甲状腺ホルモン(PTH)は、甲状腺ホルモンとはまったく異なる働きをしていて、カルシウムリン、および重炭酸イオンの代謝に関与しています。腎臓に作用して、リンと重炭酸イオンの再吸収を抑制し、カルシウムの再吸収を促進します。そして、ビタミンDを産生して、腸管からのカルシウム吸収を促進します。骨への作用では、骨から血液中へのカルシウム、リン、水酸イオンを動員させます。この結果、血中カルシウムは上昇し、リンは低下して、血液は酸性(アシドーシス)になります。 PTHは、血中カルシウム濃度が変動している場合に検査します。カルシウムの変動が骨、腎臓、腸管、ビタミンDあるいは副甲状腺に起因するかを鑑別します。これらは互いに代償的に働いて血中カルシウム濃度を一定に保とうとするため、総合的に判定する必要があります。

副甲状腺ホルモン(PTH)と骨の関係
 

何を調べているのか

副甲状腺ホルモン(PTH)の血液検査は、血液中のカルシウム(Ca)、ビタミンD、リンの代謝を調整する重要なホルモンです。腎臓に作用して、リンと重炭酸イオンの再吸収を抑制し、カルシウムの再吸収を促進します。そして、ビタミンDを産生して、腸管からのカルシウム吸収を促進します。骨への作用では、骨から血液中へのカルシウム、リン、水酸イオンを動員させます。また、副甲状腺ホルモン(PTH)は骨と腎臓に対して働きますが、ビタミンDの活性化を介して間接的に腸管にも作用しています。副甲状腺ホルモン(PTH)検査は、血中カルシウム濃度が変動している場合に検査します。カルシウムの変動が骨、腎臓、腸管、ビタミンDあるいは副甲状腺に起因するかを鑑別します。これらは互いに代償的に働いて血中カルシウム濃度を一定に保とうとするため、総合的に判定する必要があります。カルシウム(Ca)、リン代謝に関与する各臓器の機能を調べるうえで重要な検査となっています。

副甲状腺ホルモン(PTH)の基準値

生化学血液検査項目 基準値(参考値)
生化学血液検査名称 略称 数値 単位
副甲状腺ホルモン PTH 160~520 pg/ml

検査結果からわかる病気

検査結果 考えられる原因と疾患の名称
基準値より高値 特発性副甲状腺機能低下症、ビタミンD中毒、悪性腫瘍の骨転移(高Ca血症)、術後副甲状腺機能低下症
基準値より低値 原発性副甲状腺機能亢進症、続発性副甲状腺機能亢進症、慢性腎不全、ビタミンD欠乏症
【備考】

副甲状腺ホルモン(PTH)値とカルシウム(Ca)値は、関連性があることから同時に検査を行われます。

【関連項目】 
副腎皮質刺激ホルモンコルチゾールレニン活性アルドステロン甲状腺刺激ホルモン甲状腺ホルモンFT3甲状腺ホルモンFT4副甲状腺ホルモン黄体形成ホルモン卵包刺激ホルモンインスリン

疑われる疾患と治療方法

血中カルシウム濃度が高値(高カルシウム血症)で副甲状腺ホルモン(PTH)も高値なら、そのほとんどは原発性副甲状腺機能亢進症が疑われます。さらに、頸部超音波検査を行って副甲状腺が腫大していれば診断が確定し、病的な副甲状腺の摘出手術などの治療を行います。 一方、低カルシウム血症で副甲状腺ホルモン(PTH)も低値なら副甲状腺機能低下症などを疑い、さらに検査を行って、高リン血症があり、腎機能の低下がない場合は、副甲状腺機能低下症と診断が確定し、活性型ビタミンD3製剤を服用します。

副甲状腺ホルモン(PTH)でわかる副甲状腺機能低下症

副甲状腺ホルモン(PTH)の各種測定法の違い

副甲状腺ホルモン(PTH)は分泌された後、速やかに分解されるため、血中には分解されていない全長PTHに加え、N端、C端、中間部など種々の副甲状腺ホルモン(PTH)の断片が存在しています。副甲状腺ホルモン(PTH)の測定法はこれらのどれを検出しているかによって分けられます。PTH-C端は、全長PTHとC端を含む副甲状腺ホルモン(PTH)断片を測定する方法で、現在は使用されていません。高感度副甲状腺ホルモン(PTH)は、全長副甲状腺ホルモン(PTH)と中間部を含む副甲状腺ホルモン(PTH)断片を測定する方法で、PTH-C端に比べて高感度なためこの名が付けられました。インタクトPTHは、全長副甲状腺ホルモン(PTH)のみを測定し、最も高感度な測定方法です。ただし、不安定なためすぐに分解されてしまうので、採血後直ちに遠心してEDTA血漿を分離するなどの注意が不可欠です。最近、腎不全患者の血中には、一部が欠損した副甲状腺ホルモン(PTH)が存在し、副甲状腺ホルモン(PTH)を阻害することが分かりました。そこで生物活性のある全長副甲状腺ホルモン(PTH)のみを測定する新しい方法がホールPTHです。一般的に、原発性副甲状腺機能亢進症および副甲状腺機能低下症(原発性か偽性かの診断)にはインタクトPTHを測定します。

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