コルチゾール(COR)検査目的
コルチゾール(COR)血液検査は、副腎皮質、視床下部、下垂体の異常が疑われる場合や、糖尿病や肥満の原因が副腎皮質や視床下部等の異常によるものかを調べるためにスクリーニングとして行われます。コルチゾール(COR)は、副腎皮質から分泌されるホルモンで、糖代謝をはじめ、タンパク代謝、脂質代謝、電解質の代謝、骨代謝、さらに免疫機構にも関与しており、生命維持に不可欠なホルモンです。また、コルチゾール(COR)は、ストレスに関与し、過度なストレスを受けると分泌量が増加しますが、常に高い状態が続くと脳内で記憶を司る『海馬』を萎縮させPTSDや強いうつ症状が残る場合があります。過度なストレスに気をつけましょう。また、寝ている間や起床後すぐのエネルギーをつくるために体脂肪を分解、燃焼を促進する働きがあるため、最近は女性誌のダイエット特集でコルチゾール(COR)の名前を見ることもあります。
コルチゾール(COR)検査方法
コルチゾール(COR)の分泌は、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)によって調整されています。そのため、下垂体や副腎皮質系の機能的判定に有用な指標となります。明け方が最もコルチゾール(COR)の高値となるため、午前8~10時に採血を行なって調べます。その後コルチゾール(COR)の分泌量は、午後から夜にかけては徐々に減少します。コルチゾール(COR)の分泌量は、朝、起床したときが最も多く、午後から夜にかけては徐々に減っていきます(日内変動)。なお、下垂体から分泌されている副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が、コルチゾールの量をコントロールしているので、ACTHも同時に測定することが重要です。また、尿中の遊離コルチゾールの測定を行なう場合もあります。この方法では、24時間にわたって蓄尿を行うことにより、コルチゾールの1日の分泌量を評価できるというメリットがあります。
コルチゾール(COR)の基準値
生化学血液検査項目 | 基準値(参考値) | |||
生化学血液検査名称 | 略称 | 数値 | 単位 | |
コルチゾール | COR | 4.5~21.1 | μg/dL |
コルチゾール検査は高血糖・低血糖、高血圧・低血圧、電解質異常(Na、K)や末梢血の白血球分類の異常(好中球、好酸球、リンパ球の増減)を認める場合など、副腎皮質機能異常が疑われる場合に測定します。年齢や性差による変動は認められませんが、血中コルチゾール(COR)値は早朝高値・夜間低値の生理的日内変動を示します。運動やストレスにより上昇することから、採血は基本的に午前8時~10時の早朝空腹時に約30分間の安静臥床後に行い評価します。また、コルチゾール(COR)と同時にACTH(副腎皮質刺激ホルモン)を測定します。測定値を解釈する前に、外因性副腎皮質ステロイドの使用歴をチェックする必要があります。ヒドロコルチゾンとは100%、プレドニゾロンとは測定キットの種類により10~30%交差することがあります。デキサメタゾンはほとんど交差しません。また、リファンピシン、フェニトイン、フェノバルビタール等はステロイドの代謝を促進するのでコルチゾール値は低下し、妊娠や女性ホルモン投与ではコルチゾール(COR)測定値が上昇します。投与薬剤の種類、量、服用時間により値が大きく異なるので注意が必要です。
コルチゾール(COR)の検査結果からわかる病気
検査結果 | 考えられる原因と疾患の名称 |
基準値より高値 | ACTH産生腫瘍、Cushing 症候群、ストレス状態 |
基準値より低値 | アジソン病、下垂体機能低下 |
【備考】 コルチゾール(COR)の測定は一般的に、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の測定と併せて行われます。 【関連項目】副腎皮質刺激ホルモン、コルチゾール、レニン活性、アルドステロン、甲状腺刺激ホルモン、甲状腺ホルモンFT3、甲状腺ホルモンFT4、副甲状腺ホルモン、黄体形成ホルモン、卵包刺激ホルモン、インスリン |