カリウム検査は、腎機能を調べる検査になります。

カリウム(K)-病院で行う血液検査

カリウム(K)はナトリウム(Na)と共に細胞外液および内液の主成分になり、神経の興奮や心筋の働きをサポートする電解質成分でもあります。体内のカリウムの90%は尿からの排泄によるため、腎不全などにより腎臓の機能が低下すると尿量が減少し、血液中のカリウムは高値になります。また、激しい下痢や嘔吐のときには吐物や便とともに体外に排出されるため、血液中のカリウムは低値になります。カリウムは、血糖値を調節するインシュリンというホルモンと作用して血液から運ばれて来た栄養分を細胞壁で出し入れする役割を担っています。カリウムが不足しますと、筋力の低下や麻痺(しびれ)、腎機能低下、腸閉塞、不整脈などの症状が現れたりします。重度な低カリウム血症は、生命の維持に関わるものです。最近では、無理なダイエットにより低カリウム血症になる女性も多いです。カリウムはマグネシウムやナトリウム等、他のミネラルと一緒に摂取する必要がありますので、カリウムが多いバナナやプルーンなどの果物や、大豆、長芋などの豆類・イモ類と一緒に摂取する事をおすすめします。

カリウム(K)の基準値

生化学血液検査項目 基準値(参考値)
生化学血液検査名称 略称 数値 単位
ナトリウム Na 3.5~5.0 mEq/l

カリウム(K)検査の目的

カリウム検査は、腎機能を調べる検査になります。

カリウム(K)検査は何を調べているのか

体内に存在するカリウムの98%は細胞内に存在します。一方細胞外液に存在するカリウム(K)は残りの2%となり、血液中(細胞外液)にあるカリウムは腎臓からの排泄と細胞内外の割合を調整することにより維持されています。カリウムの濃度の以上は、細胞膜の機能に重大な影響を与えるため、生命を脅かす神経、平滑筋、心筋等の機能的に重篤な障害を引き起こします。日本人の一日の平均的な摂取量は70mEqと言われています。尚、体外への排出量は尿中に90%が、糞便中に10%が排泄されます。そのため皮膚からの消失量はごくわずかと言われています。
わずかである。

カリウム(K)の検査結果からわかる病気

検査結果 考えられる原因と疾患の名称
基準値より高値 K過剰摂取、薬物(βブロッカー,ジギタリス)、副腎皮質機能不全、先天性溶血性貧血、腎不全、高K血症性周期性四肢麻痺、アシドーシス
基準値より低値 利尿剤投与、K摂取不足、発汗過多、熱傷、低K血症性周期性四肢麻痺、原発性アルドステロン症、下痢、アルカローシス、薬物(インスリン・重炭酸ナトリウム)、嘔吐
【備考】

カリウムは、コーヒーやビールなど利尿作用のある飲み物を飲む人は不足する傾向があります。

【関連項目】 
ナトリウムカリウムクロールカルシウムマグネシウム

カリウム(K)を調べることにより分かる代表的な疾患

高カリウム血症

高カリウム血症とは

高カリウム血症とは、血液中のカリウム濃度が高い状態をいい、血中カリウム濃度が高い状態になる原因には色々あります。普段体内にあるカリウムの大部分は細胞にあり血液中に存在するカリウムはわずかになります。血液中のカリウム濃度が非常に高くなるとナトリウムとカリウムのバランスが崩れ細胞はうまく働くことができず機能が低下を起こしたりします。高カリウム血症とは血液中カリウム濃度が5・5mEql以上の場合をいいますが、このような状態では細胞のはたらきは低下し生命の維持も危なくなります。

高カリウム血症の原因

高カリウム血症の原因は大きく分けて4つあります。 ①偽性高カリウム血症は採血した検体の問題で真の病気ではありません。 ②細胞内から血液中へのカリウムの移動とは、血液のPhが酸性に傾いた時など体の状態に応じてカリウムが細胞のなかから血液中に移動してきて生じます。 ③カリウム負荷にはカリウムを大量に含む薬剤の使用ややけどや大きなけがなどで細胞が一度にたくさん破壊された時などになります。 ④腎臓からのカリウム排泄障害は、腎臓や尿細管が強く侵された時、あるいはアルドステロンというホルモンの欠乏により生じます。

高カリウム血症の症状

高カリウム血症の症状は、悪心(おしん)、嘔吐などの胃腸症状、しびれ感、知覚過敏、脱力感などの筋肉・神経症状、不整脈などが主な症状です。カリウム値が7~8mEqlを超えると危険な不整脈が現れ、心停止の危険性が生じます。
高カリウム血症の治療方法

高カリウム血症の症状

治療としては、原因になっている状態を改善することが大切ですが、高カリウム血症が悪化すれば生命に関わることもあるため、血液中のカリウムを減らす治療が加えられます。具体的には、まず食事でカリウム制限を行い、イオン交換樹脂製剤でカリウムの吸収を抑える一方で、利尿薬により尿中への排泄を促します。また、アルドステロン作用をもつホルモン薬を投与することもあります。 重症の高カリウム血症で緊急に治療が必要な時は、グルコン酸カルシウム(カルチコール)で重症の不整脈を予防したり、重曹(じゅうそう)を投与して酸性に傾いた血液を中和します。

低カリウム血症

低カリウム血症とは

 体のなかのカリウムのほとんど(98%)は細胞のなかにあり、残りのわずか(2%)が血液中など細胞の外に存在しています。しかし、血液中のカリウムは細胞のはたらきを調節するうえでとても重要で、この値が乱れると全身に重大な障害が生じます。通常、血液中のカリウム濃度は3・5~5・0mEqlという狭い範囲内で維持されていますが、3・5mEql以下に低下した状態を低カリウム血症といいます。

低カリウム血症の原因は何か

 低カリウム血症が起こる原因は、①カリウムの摂取量が少ない、②体外に出ていくカリウムの量が多い、③血液中から細胞のなかにカリウムが取り込まれてしまう、の3つがあげられます。

  1. ①の原因としては拒食症(きょしょくしょう)、大酒家など長期間にわたって偏った食生活をした場合です。
  2. ②の原因はさまざまですが、下痢や嘔吐などで消化管から消化液とともにカリウムが失われてしまう場合や、利尿薬や副腎皮質(ふくじんひしつ)の病気(アルドステロン症やクッシング症候群など)により腎臓から尿中にカリウムが失われてしまう場合などがあります。漢方薬に含まれる甘草(かんぞう)の成分が腎臓で副腎皮質ホルモンの作用を増強して、尿中に大量のカリウムが失われることもあります。
  3. ③はアルカローシスといって、何らかの原因で血液がアルカリ性に傾くことや、血糖を下げるインスリンというホルモンが血液中に増えることなどが原因になります。甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)の場合にもしばしば起こります。