脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の基準値
生化学血液検査項目 | 基準値(参考値) | |||
生化学血液検査名称 | 略称 | 数値 | 単位 | |
脳性ナトリウム利尿ペプチド | BNP | 18.4以下 | pg/ml |
脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)検査の目的
脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は環状構造を有する32個のアミノ酸残基から構成され、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)に引き続き、第二の利尿ペプチドとして豚の脳から単離同定されました。主として心室から分泌され、血管拡張作用、利尿作用をもち、体液量や血圧の調整に重要な役割を果たしています。長時間心臓に負担がかかると血中濃度が上昇します。健常者の血漿中脳性ナトリウム利尿ペプチド濃度は、極めて低いのが特徴で、心不全では重症度の変化に応じて増加します。脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の血液検査では、無症候性心不全において上昇し、重症度に応じて著明に増加するため心不全機能評価法として重要な検査です。健診や人間ドックで心疾患をスクリーニングする一般的な方法としては、心電図が広く行われています。しかし、心電図だけでは検出できない場合もあり、心電図と脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の両方を行なうことでよりスクリーニングの感度が上がることが報告されています。人間ドックの採血時に少し多く採血するだけで済みますので時間もかかりません。 検査結果で数値が100pg/ml以上の場合は、循環器内科専門外来をご紹介します。心臓超音波検査など更なる検査が必要です。
脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の検査結果からわかる病気
検査結果 | 考えられる原因と疾患の名称 |
基準値より高値 | 腎不全、弁膜症、高血圧症、狭心症、急性心不全、急性心筋梗塞、慢性心不全 |
基準値より低値 | |
【備考】 脳性ナトリウム利尿ペプチド検査の数値が100pg/ml以上の結果の場合は、心臓超音波検査などの精密検査が必要です。 【関連項目】 乳酸脱水素酵素、AST(GOT)、クレアチンキナーゼ、ミオグロビン、心筋トロポニンT |
脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は、主に心室から分泌されるホルモンで、利尿作用、血管弛緩、レニン・アルドステロン分泌抑制、循環血漿量減少、血管平滑筋、心筋の肥大や増殖の抑制作用をを有しています。 心室・心房への負荷に対して合成・分泌して、負荷を軽減させて心臓のポンプ機能を改善し、循環を維持します。 健常者の脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は極めて低値ですが、心室負荷や心筋肥大、心筋虚血などにより高値となります。健常者の脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の基準値は18pg/mL以下とされている。心疾患の有無や早期心不全のスクリーニングには50pg/mLや100pg/mLが妥当とする意見もあります。 また22pg/mLをcut off とすれば、心不全の診断において感度 97%、特異度 84%であるというデータもある。 急性心不全では、100ng/L(pg/mL)を閾値とすると、感度95%、特異度63%、陽性適中率(PPV) 67%、陰性適中率(NPV) 94% とする報告や、100pg/mLをcut offとすると感度94%,特異度70%であるという報告もある。 BNP値は100pg/mLを境に、その後の経過観察中の心血管イベント発生率に大きな差が見られたという報告もある。