赤血球(Red blood cell)
赤血球(せっけっきゅう)は、血液成分の中でも最も多く、直径約7μm,厚さ2μmの円板状で中央がくぼんだ無核の血液細胞です。血液が赤く見えるのは、赤血球に含まれるヘモグロビンが酸素と結合すると鮮やかな赤色となる為です。肺の毛細血管でガス交換した赤血球は、ヘモグロビンに酸素を結合し血流に乗り毛細血管にある細胞に酸素を送り届けます。細胞に酸素を供給し、二酸化炭素を受け取り肺に戻ります。その為、酸素を多く含む動脈血は「鮮やかな赤色」を呈し、反対に静脈決は「赤褐色」をしています。赤血球そのものが減少、あるいはヘモグロビンの量が減少すると酸素の運搬能力が低下し、顔面蒼白、眩暈(めまい)、吐き気、息切れなど貧血の症状が現れる事があります。日本人女性は、貧血あるいは貧血予備軍だと言われており、その多くは鉄欠乏性貧血です。鉄欠乏性貧血は、摂取する鉄分より排出する鉄分が多く体内の鉄分が枯渇した状態をいいます。特に閉経前の女性は、月経による失血による鉄分喪失と無理なダイエットや偏った食事が原因だと思われます。その為、鉄分が多い食事など食生活を改善する事で多くの方が貧血の症状を改善する事が出来ます。
白血球(White blood cell)
白血球(はっけっきゅう)とは、血液細胞の1つで主に怪我などした際、傷口から細菌やウイルスが進入しない様する免疫に関わる働きがあります。健康的な成人の白血球量は、血液1立方ミリメートル当り3500から9000個あり、赤血球数に比べ極端に少ないのが特徴です。白血球には、好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球の5種類の白血球の細胞があり、これらが大幅に増減する事で様々な疾患や症状が現れます。白血球の大きさは種類によって異なりますが6から30μm(マクロファージは20~50μm)で、寿命は顆粒球で10日前後、リンパ球の大部分は100~200日、一部は3~4日と言われています。
好中球
好中球(こうちゅうきゅう)は、白血球に含まれる血液成分です。健康な人の血液中に含まれる白血球の約50~70%が好中球と言われており、白血球の中で一番多い血液細胞になります。好中球の大きさは12~15μm程度で、寿命が10時間~数日と非常に短いです。その為、1日に作られる好中球は000億個程度作られ外部から侵入してきたウイルスや細菌から体を守る免疫細胞です。怪我などをした後に傷口から発生する膿は、細菌との戦いで死んだ好中球の死骸です。
好酸球
好酸球(こうさんきゅう)も白血球に含まれる血液成分で、顆粒を生成する事が出来る事から顆粒球とも呼ばれます。好酸球は好中球に比べやや大きく直径10~15μm程度で、健康な人の血液1マイクロリットル当たり好酸球数が100〜500程度含まれており、血液中の白血球の約7%未満と言われております。好酸球は、ある種の寄生虫に対して体を守る免疫機能を担っていますが、一方でアレルギー(抗原抗体反応)による炎症の一因にもなります。好酸球数が低下する好酸球減少症は、クッシング症候群やストレス反応によって起こりますが、その機能は他の免疫系によって補われるため、通常は問題を引き起こしません。
好塩基球
好塩基球(こうえんききゅう)も白血球に含まれる血液成分で、大きさは直径10~16μmであり白血球の中でも数は少なく、白血球全体の0.5%程度と言われております。白血球の中で顆粒を産生する事ができる顆粒球の1つで、産生される顆粒には、ヒスタミン、ヘパリン、ヒアルロン酸などが含まれています。顆粒の中でも特にヒスタミンは、アレルギー反応の際に放出され、アナフィラキシーショック、じんましん、気管支喘息などを引き起こす原因と言われています。好塩基球には、免疫に関わる機能があると考えられていますが、詳しい事は解明されておりません。好塩基球は、普通染色の塩基性色素により暗紫色に染まる大型の顆粒(好塩基性顆粒)を持ちます。
単求
単球(たんきゅう)は、直径は20~30μmと白血球の中では大きく、単球は分葉しないが切れ込みの入った核を持つことが多いのが特徴です。単球は、感染に対する免疫に重要な役割をもち、細菌などの異物をみつけるとアメーバ様運動を行って移動し、異物を取り込み消化する働きがあります。単球の寿命は、組織中では数日から数か月、時には数年と非常に長い事もあります。
リンパ球
リンパ球(りんぱきゅう)も白血球に含まれる血液成分で、好中球よりやや小形の円い細胞で大きさは非常に小さく6~15μmです。さらにリンパ球は、大きさで分ける事ができ6~9μmのものを小リンパ球、9~15μmのものを大リンパ球に分類する事ができます。リンパ球は、白血球の中で最も運動能力は低く、異物を見つけて貪食する能力はありません。同じリンパ球でも役割・機能が異なりNK細胞(ナチュラルキラー細胞)、B細胞(Bリンパ球)、T細胞(Tリンパ球)と3種類あります。リンパ球は、末梢血液中の白血球の中20~40%含み、血液1立方ミリメートル中に1500~2500個存在します。 リンパ球の形状は、細胞質は少なく原形質が薄青色で核周辺は明るい。色素に核は濃く染まり、細く鋭い切れ込みがあるものが多いのが特徴です。
血小板(Platelet)の役割
血小板(けっしょうばん)は、血液に含まれる細胞成分で怪我などにより組織が損傷した際に反応し出血を止める働きがあります。転倒などで怪我すると傷口から出血しますが、時間が経過すると自然に止血するのは血小板が正常に働いているからです。血小板には、凝固因子と呼ばれるタンパク質が関わっており、血液が漏れ出した時のみに作用します。凝固因子は、およそ10種類ほど存在し、主に酵素や補酵素としての働きをもっています。その為、私たちの体の中で循環している血液は凝固せず、怪我などをした時に止血する働きがあります。なお、凝固因子がかかわる検査には、出血時間、プロトロンビン時間、活性化部分トロンボプラスチン時間、トロンボテスト、ヘパプラスチンテスト、フィブリノゲン、FDP、Dダイマーなどがあります。
血漿
血漿(けっしょう)とは、赤血球、白血球、血小板などの血液細胞を取り除いた液体部分をいいます。血液成分と血漿を分離する場合、血液に凝固防止剤を加えたうえで遠心分離機にかけるか、0度以下の低温下に放置することで分離することができます。血漿の成分は、水分のほか、たんぱく質、無機塩類、糖質、脂質、窒素化合物などからなりますが、その他に代謝で生じた老廃物やホルモン、抗体なども含んでいます。血漿には細胞の浸透圧や水素イオンを一定に保つ働きがあります。その為、血漿の形状は、淡黄色で中性の液体です。
血液細胞の寿命は短く、年齢によって変化
血液を構成している赤血球、白血球、血小板の血中成分は、骨の中にあ骨髄で作られます。骨髄は骨の中にある脂質が豊富な柔らかい組織で年々脂肪分が増えていきます。骨髄以外で作られる血中成分としては、白血球のTリンパ球とBリンパ球がリンパ節や脾臓で作られます。また、Tリンパ球は胸腺内でも作られます。全ての血球は、骨の中(骨髄)にある幹細胞という細胞から作られます。幹細胞は分裂すると未成熟の赤血球、白血球、または血小板産生細胞になり、細胞分裂しながら成長し成熟した赤血球、白血球、または血小板になります。赤血球、白血球、血小板の血中成分には寿命があり、白血球は数時間から数日、血小板は約10日、赤血球は約120日、日々血液成分の生産と死滅を体内で繰り返し行なっており、骨髄は休むことなく血液成分を作られています。また環境の変化にも適応する作用もあり酸素の量や赤血球の数が減少すると、腎臓からエリスロポエチンというホルモンが放出され骨髄を刺激して赤血球量が増えます。また体内で細菌の感染があればそれに反応して白血球を、出血があればそれに反応して血小板をつくって放出しています。
血液も年齢と共に変化します。体も脂肪が増え中年太りになりますが、血液を生産している骨髄も脂肪が増えます。骨髄はそもそも脂肪が豊富で軟らかい組織でありますが、脂肪量が増えることで血液成分を生産する能力が低下し血液成分を多く作ることができなくなります。激しい運動や急激な環境変化など若いときに比べ減り、急激な血中成分の大幅需要が必要になることはなく通常ならば健康に与える問題は少ないかと思います。血液の生産能力低下による貧血など注意する必要があります。