ヘモグロビン(Hb)の基準値
生化学血液検査項目 | 基準値(参考値) | |||
生化学血液検査名称 | 略称 | 数値 | 単位 | |
ヘモグロビン | Hb | 男13.3~17.4 女11.2~14.9 |
g/dL |
ヘモグロビン(Hb)検査の目的
血中モグロビン量を測定して酸素運搬能力をみます。
ヘモグロビン(Hb)検査は何を調べているのか
ヘモグロビンの量が非常に少ない場合には、貧血と診断されますが、女性は生理等による鉄欠乏性貧血によるものが疑われます。男性がヘモグロビン量が減少している場合には、内臓疾患等の疑いがあるので十分に注意が必要です。
ヘモグロビン(Hb)の検査結果からわかる病気
貧血には、赤血球の数が減ると同時に1個の赤血球に含まれるヘモグロビンも減る小球性低色素性貧血と、1個の赤血球に含まれるヘモグロビンの量は同じで、赤血球の数が減少する正球性正色素性貧血とがあります。赤血球数とヘモグロビン量とを比較することによって、いずれかの判別ができます。また、輸血を行なう際の指標としても用いられています。
ヘモグロビン(Hb)血液検査査結果が適正範囲より大きく乖離している場合には疾患の可能性がありますので、値が乖離した原因を診療機関で医師の診察を受けるようにしてください。
検査結果 | 考えられる原因と疾患の名称 | ||||||||||||||||||||
基準値より高値 | 赤血球増加症、真性多血症、脱水症状 | ||||||||||||||||||||
基準値より低値 | 貧血 (鉄欠乏性貧血、再生不良性貧血、巨赤芽球性貧血) | ||||||||||||||||||||
【備考】 ヘモグロビン量は、男女によって異なります。男性は女性よりも1単位(dl)あたりに含まれるヘモグロビン量は多くなります。その為、ヘモグロビンの基準値は、男女によって異なります。また、女性は、検査を行う時期によってもヘモグロビンの値が異なりますので注意が必要です。これは、生理による失血によるもので、初潮を迎えていない子供や閉経後の女性のヘモグロビンは安定していますが、経時は出血に伴いヘモグロビンも放出される為数値は低い数値を示します (参考)赤血球関連血液検査による疑われる疾患
赤血球やヘモグロビン量が減少する貧血は、原因によっていくつかの種類に分類されますが、前述の平均赤血球容積(MCV)と平均赤血球色素濃度(MCHC)の数値を比較することによって、それを診断することができます。 MCVが上昇しMCHCが正常大球性正色素性貧血(悪性貧血といわれるものでビタミンB12や葉酸の不足が原因)。 MCVもMCHCも正常正球性正色素性貧血(赤血球が脊髄で作られない再生不良性貧血、赤血球が破壊される溶血性貧血など)。 MCVもMCHCも低下小球性低色素性貧血(鉄欠乏性貧血のことで、鉄の欠乏によって起こり、貧血の大部分を占める)。 【関連項目】赤血球(RBC)、ヘモグロビン(Hb)、ヘマトクリット(Ht)、MCV 、MCH、MCHC |
ヘモグロビン(Hb)血液検査と貧血について
モグロビン量が基準値を下回ったら、詳しい検査を受ける必要があります。貧血の正確な判定にはヘモグロビン量、赤血球数、ヘマトクリットの値を一定の公式にあてはめて算出する赤血球恒数(赤血球指数)が用いられます。赤血球恒数は、貧血の原因、種類、性質などを区別する上で有効な検査で、次のようなものがあります。
平均赤血球容積(MCV)
各赤血球の占める容積の平均値を表わします。
平均赤血球色素量(MCH)
各赤血球中に含まれるヘモグロビン量の平均値を表わします。
平均赤血球色素濃度(MCHC)
一定量の血液中の赤血球容積に対するヘモグロビン量の割合を%で表わします。
基準値は、MCVが83~99μm3、MCHが27~31pg、MCHCが32~36%となっています。MCV、MCHCが基準値の下限を下回っていた場合は小球性低色素性貧血(鉄欠乏性貧血など)、MCVが増加すれば大球性色素性貧血(悪性貧血など)、MCVおよびMCHCがともに正常であるものにもかかわらず、貧血を呈する場合は正球性正色素性貧血(再生不良性貧血、溶血性貧血など)と診断されます。
ヘモグロビン検査で異常があったらどうするか?
健康診断などでヘモグロビンの血液検査で異常が確認された場合、精密検査で貧血の原因を調べます。正色素性貧血であれば専門医の指導で治療を受けます。また、体のどこかに出血があればその治療をすることが必要です。
小球性低色素性貧血では、ヘモグロビン内に存在する鉄が欠乏し、ヘモグロビンの合成能力が低下して貧血が起きているので、牛・豚・鶏のレバー、生かき、ごま、ナッツ類、緑黄食野菜などの鉄分を多く含む食品を日常的に摂るようにしましょう。そうすれば1~3ヶ月で治ります。
ヘモグロビンの値が低いと貯蔵鉄が減少している
ヘモグロビン血液検査の血中濃度が低い数値を示す場合は、肝臓などに蓄えられている貯蔵鉄も既に枯渇している可能性があります。貯蔵鉄とは、私たちの体には、鉄を蓄積する機能があります。鉄を含むヘモグロビンは、酸素や二酸化炭素を運搬する重要な働きをするものです。このヘモグロビンが不足する事は非常に重大な事であり、常に欠乏をしないようにフェリチンという形で肝臓に貯蓄され、不足すると血液中に流れ出る形で常時ヘモグロビンの合成を行えるように機能しております。
貧血症状の原因が、鉄の欠乏症によるものである場合は、この貯蔵鉄が既になくなりヘモグロビンの合成が出来なくなっている可能性をあらわしているとも言えるのです。また、鉄欠乏性貧血以外にも貧血症状を招く可能性のある疾患は幾つもありますが、ヘモグロビン測定検査で異常値が発見されるケースでは他の血液検査や尿検査などを行い貧血症状を起こしている原因を突き止めていくことになります。