γ-GTPは、肝臓、腎臓、すい臓、ひ臓、小腸などに含まれている酵素で、アルコールに敏感に反応します。

γ-GTP

γ-GTPは、アルコールによる肝機能のダメージを調べるのに用いられます。γ-GTPの正式名称は「ガンマ・グルタミルトランスペプチダーゼ」と言います。γ-GTPは、肝臓、腎臓、すい臓、ひ臓、小腸などに含まれている解毒作用に関係している酵素で、アルコールに敏感に反応します。このγ-GTPは肝臓や胆管の細胞が死んだときに血液中に流れ出すため、γ-GTPを測定する事で肝臓や胆管の細胞がどれくらい壊れたかを示す一つの指標になります。特にアルコール性肝障害や、胆石で胆道がふさがれたときにγ-GTPの値は上がりやすいと言われています。血液中にγ-GTPが流れ出ること自体が、カラダに悪影響を与えるわけではないのですが、γ-GTPがなぜ増えるのかということに注目する必要があります。γ-GTP値が高いと、それだけ肝臓などが破壊されている、という証拠になるのです。以下、γ-GTPの数値と疑われる病気についてまとめてありますので参考にしてください。特にγ-GTPの値が100を超えた場合は、禁酒も覚悟し、病院にも行くようにしましょう。

γ-GTPの検査結果が高い時に考えられる疾患・病気

γ-GTP値の正常値
 成人男性:10~50  成人女性:9~32

γ-GTP値 正常値~100
 アルコール性肝障害、薬物性肝障害、慢性肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝がんの可能性あり。

γ-GTP値 100~200
 アルコール性肝障害、薬物性肝障害、慢性活動性肝炎、肝硬変、肝がん、脂肪肝、胆道疾患の可能性あり。

γ-GTP値 200~500
 アルコール性肝障害、薬物性肝障害、慢性活動性肝炎、肝硬変、肝がん、脂肪肝、胆道疾患の可能性あり。

γ-GTP値 500~
急性アルコール性肝炎、閉塞性黄疸、肝内胆汁うっ帯などでみられる数値です。

γ-GTPの基準値

生化学血液検査項目 基準値(参考値)
生化学血液検査名称 略称 数値 単位
γ-Glutamyltranspeptidase γ-GTP 50未満 IU/L

γ-GTP検査の目的

γ-GTP血液検査は、一般的な血液検査になります。γ-GTP血液検査は、肝機能が正常に働いているかを検査しています。肝臓は、心臓の体循環システムの中で肝動脈と門脈から栄養の供給を受けながら体内の成分調整やアルコールの分解など非常に多くの機能を担っている重要な臓器です。 しかし、この肝臓の最大の特徴には肝機能障害などが発症しても初期段階においては自覚症状がほとんど現れないという特徴があります。この特徴が「肝臓は沈黙の臓器」と呼ばれる由縁でもあります。 この沈黙の臓器である肝臓の病気を発見できる多くのケースは健康診断などの定期検診などです。 今まで特に自覚症状もなく自分は健康であると思っていた方が健康診断などの検査によってガンマGTP数値が上昇していることを発見するようなケースが大半です。

γ-GTP血液検査結果で何を調べているのか

肝胆道の疾患時には、γ-GTPのほかにALPやLAPも同じように値が上昇します。特にγ-GTPは、アルコールの常飲で大幅に高い値を示します。また、γ-GTPは血清のみならず、尿,胆汁、唾液、羊水などでも検出可能であるが、血清のγ-GTPは、主として肝・胆道系の疾患を特異的に反映すると考えられています。肝臓のγ-GTPは肝細胞のマイクロソーム分画や細胆管などに存在し、ALP、LAPなどとともに胆道系酵素とも呼ばれています。一方肝細胞癌に特異的なγ-GTPは、活性値の増加からは判断できず,アイソザイム分画によって泳動の異常バンドとして認められています。また、胆汁うっ滞では,γ-GTPの合成誘導と胆汁への排泄障害の結果,血清γ-GTP値が上昇します。一方,アルコール性肝障害や薬剤性肝障害での上昇は、合成の誘導に起因しています。

 

γ-GTPの検査結果からわかる病気

γ-GTPが血液中に多くなっても、それ自体が何か悪い影響をおよぼすことはありません。γ-GTPが高くなる疾患には、肝臓の細胞が破壊される肝炎、肝臓に脂肪が蓄積する脂肪肝などがあり、胆石や胆道癌などで胆道がつまった場合にもγ-GTPが高くなります。また、健康診断のときに注意して見なければいけないのが、アルコールによる肝脂肪です。特にアルコールを飲む中年男性の場合、飲みすぎによるアルコール性脂肪肝が問題になります。γ-GTPの正常値は男性で50国際単位(IU)以下、女性で32国際単位(IU)以下です。γ-GTPの値が100以下であれば、節酒あるいは禁酒することですぎに正常値にもどります。γ-GTPは比較的アルコールに短期間に反応するので、飲酒を一週間もやめればγ-GTPの値は下がりだします。

検査結果 考えられる原因と疾患の名称
基準値より高値 肝外胆管閉塞、肝内胆汁うっ帯、薬物性肝障害、慢性肝炎、胆管細胞がん、脂肪肝、急性肝炎、肝硬変、アルコール性肝障害、肝細胞がん
基準値より低値 妊娠時の胆汁うっ滞性黄疸、先天性低γ-GTP血症、高グルタチオン尿症、高グルタチオン血症
【備考】

γ-GTP血液検査結果が適正範囲より大きく乖離している場合には疾患の可能性があります。また、γ-GTPの血液検査結果によって、疑われる疾患を下表にまとめてみました。

γ-GTP検査値 γ-GTP値別、疑われる疾患
10~50(成人男性)
9~32(成人女性)
正常値。正常値より低くても問題ありません。
正常値の上限~100
(軽度の増加)
アルコール性肝障害、薬物性肝障害、慢性肝炎、脂肪肝で多くみられる数値です。肝硬変、肝がんの可能性もあります。
100~200
(中等度の増加)
アルコール性肝障害、薬物性肝障害、慢性活動性肝炎で多くみられる数値です。肝硬変、肝がん、脂肪肝、胆道疾患の可能性もあります。
200~500
(高度の増加)
アルコール性肝障害、閉塞性黄疸、肝内胆汁うっ帯で多くみられる数値です。慢性活動性肝炎の可能性もあります。
500以上
(超高度の増加)
急性アルコール性肝炎、閉塞性黄疸、肝内胆汁うっ帯などでみられる数値です。

γ-GTP:γグルタミルトランスペプチダーゼ
単位:IU/リットル(γ-GTPの量を1リットル中の国際単位で示したものです)

【関連項目】 
総ビリルビン直接型ビリルビン総たんぱくアルブミンコリンエステラーゼチモール混濁試験硫酸亜鉛混濁試験AST(GOT)
ALT(GPT)γ-GTPアルカリフォスファターゼロイシンアミノペプチターゼ乳酸脱水素酵素インドシアニン・グリーンアンモニア総コレステロールB型肝炎ウイルス表面蛋白抗原C型肝炎ウイルス核酸定性C型肝炎ウイルス核酸定量
クレアチンキナーゼ脳性ナトリウム利尿ペプチドミオグロビン心筋トロポニンT
 

γ-GTP値が100を超えたら病院に行きましょう

γ-GTP値が100を超えた時は、注意が必要です。特にγ-GTPの値が100~200になりますと脂肪肝が進行している可能性があります。γ-GTP値は、飲酒との関係が強く日頃からアルコールの摂取量が多い方は、病的状態になっているおそれがあります。また、γ-GTP値が200以上になった場合は、アルコールだけでなく、胆石や胆道がんなどによって胆道がつまっている可能性があるので精密検査を受ける事をおすすめします。さらにγ-GTP値が500以上になる場合はほとんどありませんが、胆道が詰まり胆汁が十分に分泌されてない場合にはγ-GTPの値が500を超える事もありますが、黄疸など他の症状も確認する事ができます。また、アルコールが原因でγ-GTP値が500以上になる場合もあります。しかし、γ-GTPが500を超える状態ですと大量の飲酒、あるいは急性アルコール中毒といったきわめて危険な状態にあります。γ-GTPは、アルコール摂取で上昇する血液検査である事を十分に理解したうえで、もしγ-GTP値が100をこえたら節酒(禁酒)をおすすめします。また、飲酒以外の原因があるかもしれませんので、心配な方は、病院に行く事をおすすめします。もし、γ-GTPの値が200以上になったら必ず病院に行き精密検査を受けましょう。

 

γ-GTP値が高い時に行う病院での検査

γ-GTP値が高い方は、必ず病院に行き、医師による診察を受けましょう。病院では、肝臓に関係したほかの逸脱酵素(GOT、GPT、ALPなど)に加え、黄疸の有無を調べることになります。また、腹部エコー検査も実施をし、γ-GTP値が上昇した原因を調べます。また、γ-GTP値が高い患者さんは、肥満体型である事がおおいので、コレステロールや血中脂質なども測ります。脂肪肝によるγ-GTP値の上昇であれば、、お酒をやめるという方法に加え、カロリーをとりすぎないためのダイエット療法を行います。また、コレステロールが高い場合には、薬物治療を同時に開始することがあります。もちろん胆石や胆管がんがあれば、検査と治療を行います。γ-GTPの上昇がみられたら生活習慣の改善が必要です。

  

その他の献血で行われる検査一覧

検査項目 補足説明
ALT(GPT) 肝臓に最も多く含まれる酵素です。
肝細胞が破壊されると血液中に流れ出すので、急性肝炎で最も強く上昇し、慢性肝炎や脂肪肝(肥満)などでも上昇します。激しい運動の後に一過性の上昇がみられることがあります。
AST(GOT) 心筋や肝臓に多く含まれ、骨格筋、肝臓、血球にも認められる酵素です。心筋梗塞や急性肝炎、アルコール性肝障害などで上昇します。その他運動の後に一過性の上昇がみられることがあります。
γ-GTP 肝、胆道、膵、腎などに多く含まれる酵素です。
上昇する疾患は、閉塞性黄疸、肝炎、アルコール性肝障害などです。病気がなくても、長期飲酒者では上昇することが多く、1ケ月位禁酒するとある程度正常化します。
総淡白(TP) 血清中には80種類以上の蛋白が含まれ、種々の機能を持ち、生命維持に大きな役割を果たします。その総量を総蛋白として測定しています。
アルブミン(ALB) 血清蛋白の50%以上を占めるアルブミンは、病気などで栄養が悪くなると減少するため、健康診断のスクリーニングとして大きな意味があります。
アルブミン対グロブリン比(A/G比) 血清蛋白はアルブミン(A)とグロブリン(G)に分けられ、その比率は健康な人では一定の範囲にありますが、病気によってはその比率が変化(主として減少)していきます。
コレステロール(CHOL) 血清脂質の一つで、一般に脂肪の多い食事を続けていると上昇します。また肝臓などで作られ、肝、胆道、腎、甲状腺の病気でその値が上下することがあります。
血清コレステロールが多くなると、動脈硬化を起こしやすいとされています。
赤血球数(RBC) 赤血球は、血液の主な細胞成分で、酵素を肺から各組織へ運ぶ働きを持っています。
ヘモグロビン量(Hb) 血液の赤い色は、赤血球に含まれるヘモグロビン(血色素)によるもので、赤血球の働きの中心となっています。
ヘマトクリット(Ht)(赤血球容積率) ヘマトクリット値は、一定の血液量に対する赤血球の割合(容積)をパーセントで表したものです。
平均赤血球容積(MCV) 赤血球1個の平均的容積、すなわち赤血球の大きさの指標となるもので、赤血球数とヘマトクリット値から算出したものです。
平均赤血球ヘモグロビン量(MCH) 赤血球1個に含まれるヘモグロビン量を平均的に表したもので、赤血球数とヘモグロビン量から算出したものです。
平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC) 赤血球の一定容積に対するヘモグロビン量の比をパーセントで表したもので、ヘモグロビン量とヘマトクリット値から算出したものです。
白血球数(WBC) 白血球は細菌などを貪食し、免疫情報を伝達しさらに免疫能を発現して生体防御にかかわっています。細菌感染症があると、一般に白血球数は増加しますが、ウイルス感染症の場合はかえって減少することもあります。
血小板数(PLT) 血小板は出血を止めるための重要な働きを持ち、この値が極端に減少する出血を起こしやすくなります。
グリコアルブミン

糖尿病の検査の一つです。過去約2週間の血糖値が低い状態が続いていると低下し、高い状態が続いていると上昇します。糖尿病では標準値より上昇します。標準値範囲内でも15.6%以上の場合は注意が必要です。

B・C型肝炎検査 受付時に結果通知を希望した方には、異常を認めた場合にのみ、献血後1ヶ月以内に親展(書簡の郵便)にて通知されるようになっています。
梅毒検査
HTLV-I抗体検査