アラニンアミノトランスフェラーゼ(GPT,ALT)の基準値
生化学血液検査項目 | 基準値(参考値) | |||
生化学血液検査名称 | 略称 | 数値 | 単位 | |
Alanine Aminotransferase | GPT,ALT | 5~40 | U/L |
アラニンアミノトランスフェラーゼ(GPT,ALT)検査の目的
ALT・GPT血液検査は、一般的な血液検査になります。ALT・GPT血液検査は、肝機能が正常に働いているかを検査しています。
GPT(ALT)血液検査結果で何を調べているのか
GPT(ALT)の血液検査で肝機能が正常であるかを検査しています。肝臓の組織が病的状態におちいると細胞膜の透過性を高める変性又は,崩壊があれば細胞内の酵素は血液中に逸脱して血清中の酵素活性GPT(ALT)は上昇します。この時に上昇する血清トランスアミナーゼ活性値を測定する事で損傷組織や損傷の程度を推定する指標としています。例えば、心筋梗塞の場合には心筋中に多いGOT(AST)の逸脱により血清AST(GOT)活性は上昇をします。発作が発生後6~8時間からGOT(AST)値は上昇しはじめ48時間~60時間で最高に達し発作後4~5日位で正常値に戻ると言われています。また、ウイルス性肝炎においては初期においてGOT(AST),GPT(ALT)ともに上昇しはじめ,GPT(ALT)活性値がAST(GOT)活性値より高値に達し正常への回復は,GPT(ALT)活性値の方が緩慢である事もわかっています。肝硬変, 肝癌ではGOT(AST)活性値の方がGPT(ALT)活性値より高くなる傾向にあり、閉塞性黄疸や急性肝炎の場合はGPT(ALT)の方がGOT(AST)より活性値の上昇がみられます。
アラニンアミノトランスフェラーゼ(GPT,ALT)の検査結果からわかる病気
GPT(ALT)がGOT(AST)の数値を上回っているときは、脂肪肝や慢性肝炎 などが疑われ、GOT(AST)がGPT(ALT)の数値を上回っているときは、肝硬変、肝臓がん、アルコール性肝炎、心筋梗塞などが疑われます。GPT(ALT)・GOT(AST)が100以下(40IU/L単位以上で)の場合には、慢性肝炎、肝硬変、脂肪肝などが考えられる。100以上になるとウイルス性肝炎の疑いがある。
GOT(AST)、GPT(ALT)はともにアミノ酸をつくり出す酵素で、GPT(ALT)のほとんどは肝臓に存在する酵素で、GOT(AST)は、肝臓の細胞以外にも、心臓の筋肉や手足の筋肉、赤血球などにも含まれている酵素です。GPT(ALT)・GOT(AST)はともに肝臓の細胞が障害を受けると、血液中に酵素が流れ出すことで、GPT(ALT)・GOT(AST)の数値が上がります。したがって、肝臓に異常があった場合は、ほとんどの場合GPT(ALT)・GOT(AST)両方の数値が上がります。GPT(ALT)の大部分は肝細胞に含まれるので、GPT(ALT)の数値が高い場合は、肝臓病(肝臓の病気)が疑われます。ただし、GOT(AST)の数値だけが高く、GPT(ALT)の数値が高くない場合は、心筋梗塞や筋肉の組織が壊れたなどということを判断する材料となります。
検査結果 | 考えられる原因と疾患の名称 |
基準値より高値 | 急性肝炎、アルコール性肝炎、胆汁うっ帯、脂肪肝、慢性肝炎、ウイルス性肝炎、肝硬変 |
基準値より低値 | ピリドキサルリン酸欠乏、慢性透析 |
【備考】 GOT(AST)/GPT(ALT)<1(GOT(AST)値が小さい)…慢性・急性肝炎、脂肪肝、肝硬変初期、胆汁うっ滞など GOT(AST)/GPT(ALT)>1(GOT(AST)値が大きい)…劇症肝炎、アルコール性脂肪肝、アルコール性肝炎、進行した肝硬変、溶血、うっ血性心不全、心筋梗塞など GOT(AST)/GPT(ALT)>2(GOT(AST)値が2倍超)…原発性肝がん、筋ジストロフィー 【関連項目】 総ビリルビン、直接型ビリルビン、総たんぱく、アルブミン、コリンエステラーゼ、チモール混濁試験、硫酸亜鉛混濁試験、AST(GOT) ALT(GPT)、γ-GTP、アルカリフォスファターゼ、ロイシンアミノペプチターゼ、乳酸脱水素酵素、インドシアニン・グリーン、アンモニア、総コレステロール、B型肝炎ウイルス表面蛋白抗原、C型肝炎ウイルス核酸定性、C型肝炎ウイルス核酸定量 クレアチンキナーゼ、脳性ナトリウム利尿ペプチド、ミオグロビン、心筋トロポニンT |
アスパラギン酸アミノ基転移酵素(GOT,AST)検査の補足
GOT、GPT、肝機能検査の違い
GPT(ALT)、GOT(AST)どちらもタンパク質を分解してアミノ酸をつくる酵素で、GOT(AST)の正式名称を「グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ」、GPTの正式名称を「グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ」と言います。これらはほとんど同じ働きをするのですが、GPTのほとんどは肝臓に存在するのに対し、GOT(AST)は肝臓だけでなく、腎臓や赤血球、心臓や手足の筋肉などにも存在するという違いがあります。これらGOT、GPTは、肝臓に含まれる酵素で肝細胞が壊れたり、細胞膜の透過性が増すことで、血液中に酵素が流れ出すことで、数値があがります。したがって、肝臓に異常があった場合は、ほとんどの場合、GOT、GPTの数値が上がりますが、GOT(AST)の数値だけが上がって、GPTの数値が上がらない場合は、心筋梗塞や筋肉の組織が壊れたなどが考えられます。肝臓において、GPTとGOT(AST)の数値を比べると、脂肪肝や慢性肝炎の場合はGPTがGOT(AST)の数値を上回り、症状が肝硬変に進行すると逆転してGOT(AST)がGPTを上回ることになります。正常値はGOT(AST)が8~40IU/L、GPTは5~45IU/Lです。これより低いからと言っても特に問題はないのでご安心ください。正常値以上100の場合は、慢性肝炎や肝硬変、脂肪肝の疑いがあるので要注意です。
GOT(AST)血液検査結果の注意点
GOT(AST)は肝臓、心筋、骨格筋に多く含まれている酵素なので、それらの臓器や組織が障害(破壊)された場合、血液中のGOT(AST)の値が異常に上昇してきます。臓器や組織の種類、障害の程度によってGOTの上昇度に差があり、障害の程度が強いほど数値が高くなります。また、GOT(AST)とGPTの比をとることにより、各種肝疾患のおおよその鑑別ができます。
GOT(AST)値が上昇すると?
GOT(AST)値が上昇すると急性肝炎の疑いがあります
早期からGOTとGPTが高値を示し、特に黄疸がある場合には、500~3000IUくらいまで上昇します。ウイルス性肝炎の場合は、発症後2ヶ月以内に基準値に戻り、約7割のケースで跡形もなく治ります。
GOT(AST)値が上昇すると慢性肝炎の疑いがあります
治りにくくて肝硬変まで進みやすい活動型か、比較的治りやすい非活動型かによって、GOT、GPTの値の比率が違ってきます。非活動型では、どちらの数値も50~60IUの軽度の上昇を示し、活動型では100IUを超え、中等度の上昇を示すようになります。肝炎の場合、急性か慢性化の決定や活動型か非活動型かの決定は、ほかの検査や肝臓の組織片をとって調べる組織検査などに基づいて診断されます。
GOT(AST)値が上昇すると劇症肝炎の疑いがあります
GOT(AST)、GPTともに1000IU以上の著しい上昇を示します。そして黄疸が現れ、腫れていた肝臓が突然縮小して昏睡におちいり、死亡することも少なくありません。このような場合は、すでに肝細胞の広範囲な壊死により、血中に漏れ出る酵素が減少するため、数値は低下し、基準値近くなります。つまり、劇症肝炎の場合、GOT、GPTの減少はむしろ経過不良を意味するわけです。
GPT(ALT)値が異常があったらどうするか?
胆道系酵素であるγ-GTPなどの検査も行ない病気の鑑別をします。これらの組み合わせは、病気の可能性をみるのに役立ち、確定診断後の病気の経過観察にも有用です。確定診断には、腹部CT検査や腹部超音波検査などの画像診断、腹腔鏡検査、ときには肝生検を行ないます。急性の病気の場合、特に心筋梗塞や劇症肝炎のように重い病気の場合は、何よりも早期発見・治療が必要です。これらの病気は、病体が急激に変わるため、慎重な処置が必要です。慢性の病気では病変の変化に応じて指導を受け、治療していくことが大切です。定期的に検査を受けることも忘れないようにしましょう。
その他の献血で行われる検査一覧
検査項目 | 補足説明 |
ALT(GPT) | 肝臓に最も多く含まれる酵素です。 肝細胞が破壊されると血液中に流れ出すので、急性肝炎で最も強く上昇し、慢性肝炎や脂肪肝(肥満)などでも上昇します。激しい運動の後に一過性の上昇がみられることがあります。 |
AST(GOT) | 心筋や肝臓に多く含まれ、骨格筋、肝臓、血球にも認められる酵素です。心筋梗塞や急性肝炎、アルコール性肝障害などで上昇します。その他運動の後に一過性の上昇がみられることがあります。 |
γ-GTP | 肝、胆道、膵、腎などに多く含まれる酵素です。 上昇する疾患は、閉塞性黄疸、肝炎、アルコール性肝障害などです。病気がなくても、長期飲酒者では上昇することが多く、1ケ月位禁酒するとある程度正常化します。 |
総淡白(TP) | 血清中には80種類以上の蛋白が含まれ、種々の機能を持ち、生命維持に大きな役割を果たします。その総量を総蛋白として測定しています。 |
アルブミン(ALB) | 血清蛋白の50%以上を占めるアルブミンは、病気などで栄養が悪くなると減少するため、健康診断のスクリーニングとして大きな意味があります。 |
アルブミン対グロブリン比(A/G比) | 血清蛋白はアルブミン(A)とグロブリン(G)に分けられ、その比率は健康な人では一定の範囲にありますが、病気によってはその比率が変化(主として減少)していきます。 |
コレステロール(CHOL) | 血清脂質の一つで、一般に脂肪の多い食事を続けていると上昇します。また肝臓などで作られ、肝、胆道、腎、甲状腺の病気でその値が上下することがあります。 血清コレステロールが多くなると、動脈硬化を起こしやすいとされています。 |
赤血球数(RBC) | 赤血球は、血液の主な細胞成分で、酵素を肺から各組織へ運ぶ働きを持っています。 |
ヘモグロビン量(Hb) | 血液の赤い色は、赤血球に含まれるヘモグロビン(血色素)によるもので、赤血球の働きの中心となっています。 |
ヘマトクリット(Ht)(赤血球容積率) | ヘマトクリット値は、一定の血液量に対する赤血球の割合(容積)をパーセントで表したものです。 |
平均赤血球容積(MCV) | 赤血球1個の平均的容積、すなわち赤血球の大きさの指標となるもので、赤血球数とヘマトクリット値から算出したものです。 |
平均赤血球ヘモグロビン量(MCH) | 赤血球1個に含まれるヘモグロビン量を平均的に表したもので、赤血球数とヘモグロビン量から算出したものです。 |
平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC) | 赤血球の一定容積に対するヘモグロビン量の比をパーセントで表したもので、ヘモグロビン量とヘマトクリット値から算出したものです。 |
白血球数(WBC) | 白血球は細菌などを貪食し、免疫情報を伝達しさらに免疫能を発現して生体防御にかかわっています。細菌感染症があると、一般に白血球数は増加しますが、ウイルス感染症の場合はかえって減少することもあります。 |
血小板数(PLT) | 血小板は出血を止めるための重要な働きを持ち、この値が極端に減少する出血を起こしやすくなります。 |
グリコアルブミン |
糖尿病の検査の一つです。過去約2週間の血糖値が低い状態が続いていると低下し、高い状態が続いていると上昇します。糖尿病では標準値より上昇します。標準値範囲内でも15.6%以上の場合は注意が必要です。 |
B・C型肝炎検査 | 受付時に結果通知を希望した方には、異常を認めた場合にのみ、献血後1ヶ月以内に親展(書簡の郵便)にて通知されるようになっています。 |
梅毒検査 | |
HTLV-I抗体検査 |