ハプトグロビン(Hp)検査は、ヘモグロビンと特異的に結合する糖蛋白質。溶血で減少し、炎症性疾患で血中に増加。

ハプトグロビン(Hp) -病院で行う血液検査

ハプトグロビンはα2‐グロブリン分画に相対易動度をもつ蛋白であり、溶血の際に血中に遊離するヘモグロビンと結合するため、血中濃度は著しく低下する。肝臓障害時は障害程度により、アルブミン・凝固因子などとともに産生が低下し、血中濃度は低値を示す。また、ハプトグロビンは急性相反応物質のひとつでもあり、感染、炎症性疾患、悪性腫瘍などでは血中濃度は上昇する。

ハプトグロビン(Hp) の基準値

生化学血液検査項目 基準値(参考値)
生化学血液検査名称 略称 数値 単位
haptoglobin Hp 1-1型 83~20
 2-1型 66~218
 2-2型 25~176
mg/dL

ハプトグロビン(Hp) 検査の目的

ハプトグロビン検査は、ヘモグロビンと特異的に結合する糖蛋白質。溶血で減少し、炎症性疾患で血中に増加。

 

ハプトグロビン(Hp)検査で何を調べているのか

ハプトグロビン(Hp)分子は、ヘモグロビンと特異的に結合する糖蛋白質で、肝実質細胞や細網内皮系組織で生成される。血液中の遊離型ヘモグロビンと結合して複合体を形成し、クッパー細胞などに速やかに取り込まれ、分解処理される。すなわち、遊離型ヘモグロビンの毒性中和と腎からの喪失防止という役割を持つ。またHpは急性の炎症性病変、顆粒球からの産生亢進により血中で増加するという急性相反応物質という側面を持つ。一方、Hpの減少は、溶血性疾患による消費の亢進、肝実質障害による産生低下、尿中等への喪失で認められる。一般にハプトグロビンはHp1-1、Hp2-1、Hp2-2の三つの遺伝型に分類され、それらの蛋白構造は一般式(α1β)2、(α1β)m(α2β)n、(α2β)nで表されるポリマーを形成している。平均分子量も約10万、20万、40万と異なるため、抗原抗体反応を利用した定量に際しては注意が必要である。すなわち、個人によって上記三者のうち通常いずれか一つの遺伝型をもち、Hpはその遺伝型により、疾病での増加頻度に差が認められる。Hp1-1は急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病で、Hp2-1は心筋梗塞や原発性卵巣癌で、またHp2-2では本態性高血圧、IDDM、SLEなどでの増加頻度が高いといわれている。各遺伝型の日本人での出現頻度はそれぞれ約7%、35%、58%の割合である。

 

ハプトグロビン(Hp) の検査結果からわかる病気

ハプトグロビン(Hp)検査結果が適正範囲より大きく乖離している場合には疾患の可能性がありますので、値が乖離した原因を診療機関で医師の診察を受けるようにしてください。

検査結果 考えられる原因と疾患の名称
基準値より高値 感染症、膠原病、悪性腫瘍(急性相反応蛋白として)、薬剤投与、放射線被曝、うつ病、精神分裂病 など
基準値より低値 溶血性疾患(サラセミア、貧血、人工透析)、肝疾患(特に肝実質細胞の障害;ウイルス性肝炎、アルコール性肝硬変など)、本態性高血圧症、免疫抑制剤投与時(検体の溶血でも低値となるので注意)、ネフローゼ症候群
【備考】

Hp2-1では急性心筋梗塞および原発性卵巣癌
Hp2-2では本態性高血圧および虚血性心疾患合併高血圧、高コレステロール血症、SLEなどで出現頻度が高い。

【関連項目】 
蛋白分画(PR-F)、総ビリルビン(T-BIL)直接ビリルビン(D-BIL)、間接ビリルビン(I-BIL)、α1アシドグリコプロテイン(α1AG)、α1アンチトリプシン(α1AT)
 

その他の血球検査項目

血清血液検査項目 備  考
梅毒(脂質抗原使用) 性行為感染症(STD)として広く知られる梅毒の検査。生物学的偽陽性や治癒後の陽性持続が存在する。
梅毒(トレポネーマ抗原使用) 性行為感染症(STD)として広く知られる梅毒の検査。生物学的偽陽性や治癒後の陽性持続が存在する。
B型肝炎ウイルス表面蛋白抗原 陽性を示す事は、今この現在ウイルスに感染している事を示しています。
C型肝炎ウイルス核酸定量 HCVに感染しているか否かを調べる検査として重要な役割を持っています。
ヒト免疫不全ウイルス 抗体および抗原を同時に検出するHIV感染のスクリーニング検査
成人T細胞白血病ウイルス 成人T細胞白血病の原因ウイルスに対する抗体を検出。感染のスクリーニングと確認のための検査。
リウマチ因子 ラテックス凝集反応により、リウマチ因子を検出するスクリーニング検査。陽性でもリウマチの確定診断とはならない。
抗サイログロブリン価 橋本病、バセドウ病の診断に有用な自己抗体。TPO抗体と同時に測定すると陽性率がアップ。
抗マイクロゾーム価 甲状腺疾患の経過と予後の判定に有用。
寒冷凝集素価 マイコプラズマ肺炎でも多クローン性のIgM増加を反映し上昇する。
抗核抗体 核内に含まれる抗原物質に対する抗体群を検出する検査。抗核抗体群のいずれかの存在を知るスクリーニングとして用いられる。
免疫グロブリンE アトピー性アレルギー患者において有意に高値を示すので、気管支喘息、皮膚炎、鼻炎などの場合、アトピー要素の有無を調べるのに有用とされています。
ハブトグロビン 炎症性疾患を検査します
β-Dグルカゴン グルカゴン産生腫瘍(グルカゴノーマ)、糖尿病、急性および慢性膵炎、肝硬変、腎不全、飢餓などを調べる検査になります。
カンジダ抗原 カンジダ抗原検査は、深在性真菌感染症の代表的起炎菌であるカンジダの抗原を検出する検査。