免疫グロブリン(IgE) 検査は、アレルゲンの同定及びそれに基づいたアレルゲンの除去・回避等の原因療法に利用される。

免疫グロブリン(IgE) -病院で行う血液検査

ハプトグロビンはα2‐グロブリン分画に相対易動度をもつ蛋白であり、溶血の際に血中に遊離するヘモグロビンと結合するため、血中濃度は著しく低下する。肝臓障害時は障害程度により、アルブミン・凝固因子などとともに産生が低下し、血中濃度は低値を示す。また、ハプトグロビンは急性相反応物質のひとつでもあり、感染、炎症性疾患、悪性腫瘍などでは血中濃度は上昇する。
  

免疫グロブリン(IgE) の基準値

生化学血液検査項目 基準値(参考値)
生化学血液検査名称 略称 数値 単位
immunoglobulin E IgE 170 以下 IU/ml

免疫グロブリン(IgE) 検査の目的

免疫グロブリン血液検査でわかるアレルギー性疾患はその免疫反応の多様性よりI 型からⅣ型のタイプに分類されています。なかでもI型アレルギーはIgE 依存型と呼ばれ、IgE が大きく関与するアレルギー反応です。IgE の血中濃度はアトピー性アレルギー患者において有意に高値を示すので、気管支喘息、皮膚炎、鼻炎などの場合、アトピー要素の有無を調べるのに有用とされています。

 

免疫グロブリン(IgE) 検査で何を調べているのか

IgEはⅠ型(即時型)アレルギーに関与する免疫グロブリンである。分子量約19万の蛋白で、免疫グロブリンの中ではもっとも血中濃度が低い。消化管、気道粘膜、リンパ節等で産生され、血中での代謝半減期は約3日である。アレルギー性鼻炎などと関わりが深く、1966年、アレルギー患者の血清中から石坂らにより発見された。現在、臨床で測定されているIgEには、各アレルゲンに対し抗体活性を有する「特異的IgE抗体」と、抗体活性の明確ではないIgE全体の量としての「総IgE」があり、本検査は後者の濃度をみるものである。IgEは免疫グロブリンのなかで唯一レアギン活性を持つ、いうなれば過敏性を引き起こす能力をもった抗体である。スギ花粉、卵黄などのアレルゲン物質に暴露されると、特異的なIgE抗体が産生され、感作が成立する。その個体に再びアレルゲンが侵入すると、肥満細胞や好塩基球の表面にあるFcレセプター(FcεRI)にIgEが結合し、レセプターの凝集が起こり細胞が活性化されてヒスタミンなどの生理活性物質が一気に遊離放出される。またロイコトリエンやプロスタグランディンなどアラキドン酸カスケード関連物質も併せて産生分泌され、その結果、即時型アレルギー症状が発来する。本検査はアレルギー体質の診断、経過観察の目的でIgEの総量を測定するものであるが、特定のアレルゲンでの反応性をみるには特異的IgE抗体の方が優れている。また乳幼児や小児など、IgE産生能が低い患者では、特異的IgE抗体価と総IgE量が相関しないこともある(ミルク、卵黄など乳幼児にみられるアレルギーではこうした例が多い)。なお、前述のように小児等においてはIgE濃度はもとより低値であるため、200 IU/mL 以下のIgE総量の測定には「低濃度IgE」検査の方がより正確に把握できる。IgEの濃度は国際単位で表示されており、1ユニットはWHOの標準血清で2.4ngに相当する。

 

免疫グロブリン(IgE) の検査結果からわかる病気

免疫グロブリン(IgE)検査結果が適正範囲より大きく乖離している場合には疾患の可能性がありますので、値が乖離した原因を診療機関で医師の診察を受けるようにしてください。

検査結果 考えられる原因と疾患の名称
基準値より高値 Ⅰ型アレルギー性疾患(アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、接触性皮膚炎、気管支喘息、蕁麻疹、食物アレルギーなど)、肝疾患(急性・慢性肝炎、肝硬変)、膠原病(関節リウマチ、SLEなど)、ネフローゼ症候群、寄生虫感染症 など
基準値より低値 IgE型以外の骨髄腫、慢性リンパ性白血病、サルコイドーシス、無γグロブリン血症など
【備考】

全身性エリテマトーデス(SLE)での陽性率は30~60%でLE細胞に比較して感度は低く、本試験陰性の場合でも全身性エリテマトーデス(SLE)の存在を否定できない

【関連項目】 
免疫電気泳動(抗ヒト全血清による定性)、免疫電気泳動(免疫固定法によるM蛋白同定)、免疫グロブリンK/L比、IgG、IgA、IgM、IgD、IgE(特異的)、IgE-CAP16(特異的アレルゲン16種) 吸入系、IgE-CAP16(特異的アレルゲン16種) 食餌系
 

その他の血球検査項目

血清血液検査項目 備  考
梅毒(脂質抗原使用) 性行為感染症(STD)として広く知られる梅毒の検査。生物学的偽陽性や治癒後の陽性持続が存在する。
梅毒(トレポネーマ抗原使用) 性行為感染症(STD)として広く知られる梅毒の検査。生物学的偽陽性や治癒後の陽性持続が存在する。
B型肝炎ウイルス表面蛋白抗原 陽性を示す事は、今この現在ウイルスに感染している事を示しています。
C型肝炎ウイルス核酸定量 HCVに感染しているか否かを調べる検査として重要な役割を持っています。
ヒト免疫不全ウイルス 抗体および抗原を同時に検出するHIV感染のスクリーニング検査
成人T細胞白血病ウイルス 成人T細胞白血病の原因ウイルスに対する抗体を検出。感染のスクリーニングと確認のための検査。
リウマチ因子 ラテックス凝集反応により、リウマチ因子を検出するスクリーニング検査。陽性でもリウマチの確定診断とはならない。
抗サイログロブリン価 橋本病、バセドウ病の診断に有用な自己抗体。TPO抗体と同時に測定すると陽性率がアップ。
抗マイクロゾーム価 甲状腺疾患の経過と予後の判定に有用。
寒冷凝集素価 マイコプラズマ肺炎でも多クローン性のIgM増加を反映し上昇する。
抗核抗体 核内に含まれる抗原物質に対する抗体群を検出する検査。抗核抗体群のいずれかの存在を知るスクリーニングとして用いられる。
免疫グロブリンE アトピー性アレルギー患者において有意に高値を示すので、気管支喘息、皮膚炎、鼻炎などの場合、アトピー要素の有無を調べるのに有用とされています。
ハブトグロビン 炎症性疾患を検査します
β-Dグルカゴン グルカゴン産生腫瘍(グルカゴノーマ)、糖尿病、急性および慢性膵炎、肝硬変、腎不全、飢餓などを調べる検査になります。
カンジダ抗原 カンジダ抗原検査は、深在性真菌感染症の代表的起炎菌であるカンジダの抗原を検出する検査。