抗核抗体(ANA)検査は、全身性エリテマトーデス(SLE)などの第一スクリーニングとして行われています。

抗核抗体(ANA) -病院で行う血液検査

抗核抗体とは、真核細胞の核内に含まれる様々な抗原性物質に対する抗体群の総称でです。膠原病各疾患の患者血清中には、その疾患に特有な自己抗体群が検出されています。本検査は抗核抗体群のすべてを一括検出する第一次スクリーニング検査法で本検査が陽性であれば、次の段階として、どの種類の抗核抗体が陽性なのかを検査を進めます。また抗核抗体の陽性が確認された場合は、染色型(患者のもつ抗体が反応した核抗原が、核内にどのように分布しているかによって描かれる紋様)も同時報告され、この染色パターンから、おおよその対応抗体が推測できます。

抗核抗体(ANA) の基準値

生化学血液検査項目 基準値(参考値)
生化学血液検査名称 略称 数値 単位
抗核抗体 ANA (-)陰性

抗核抗体(ANA) 検査の目的

抗核抗体(ANA)検査は、核内に含まれる抗原物質に対する抗体群を検出する検査。抗核抗体群のいずれかの存在を知るスクリーニングとして用いられる。

 

抗核抗体(ANA) 検査で何を調べているのか

抗核抗体(ANA)検査は真核細胞の核内に含まれる抗原性物質に対する抗体の総称である。現在20種類以上の抗体が同定されているが、いくつかは自己免疫性疾患の病態判定などに意義が認められている。 本検査は一般に蛍光抗体法(FAT)により測定される。すなわちHep-2細胞などのヒト培養細胞の核材をスライドグラス上に固定し、被検血清をのせて反応させ、さらに蛍光物質であるFITCなどで標識された抗ヒト免疫グロブリン(第2抗体)を反応させ、陽性の場合にみられる特異的な蛍光パターンにより染色型を判定する。染色型とは患者がもつ抗体と反応した核抗原が、核内にどのように分布しているかによって描かれる紋様であり、これにより陽性になった抗体の対応抗原を推定することができる。以下に代表的な染色型と推定される抗体、疾患の関連を示す。

  1. 均質型(homogeneous)
    抗ヒストン抗体(全身性エリテマトーデス、薬剤誘発性ループス)
  2. 辺縁型(peripheral)
    抗DNA抗体(全身性エリテマトーデス)
  3. 斑紋型(speckled)
    抗U1-RNP抗体、抗Sm抗体、抗SS-B抗体、抗Ki抗体など(混合性結合組織病、強皮症、全身性エリテマトーデス、レイノー症候群)
  4. 核小体型(nucleolar)
     抗核リボゾーム抗体、抗U3-RNP抗体、抗PM-Scl抗体など(強皮症、レイノー症候群、シェーグレン症候群)
  5. セントロメア型(centromere)
     抗セントロメア抗体(強皮症、レイノー症候群)

他にGranular型、核膜型などがある。

 

抗核抗体(ANA) の検査結果からわかる病気

抗核抗体(ANA)検査結果が適正範囲より大きく乖離している場合には疾患の可能性がありますので、値が乖離した原因を診療機関で医師の診察を受けるようにしてください。

検査結果 考えられる原因と疾患の名称
基準値より高値 全身性エリテマトーデス(SLE)、混合性結合組織病(MCTD)、強皮症、レイノー症候群、シェーグレン症候群などの膠原
基準値より低値
【備考】

全身性エリテマトーデス(SLE)での陽性率は30~60%でLE細胞に比較して感度は低く、本試験陰性の場合でも全身性エリテマトーデス(SLE)の存在を否定できない

【関連項目】 
抗RNP抗体 《免疫拡散法》、抗RNP抗体 《EIA》、抗Sm抗体 《免疫拡散法》、抗Sm抗体 《EIA》、抗セントロメア抗体、抗DNA抗体 《PHA》、抗DNA抗体 《RIA》、抗ds DNA抗体IgG、抗ds DNA抗体IgM、抗カルジオリピン・β2GPⅠ複合体抗体、免疫複合体(イムノコンプレックス)、血清補体価(CH50)、RA、RAPA(RAHA)、リウマチ因子定量、IgG型リウマチ因子、LE因子(抗核抗体ラテックス法)
 

その他の血球検査項目

血清血液検査項目 備  考
梅毒(脂質抗原使用) 性行為感染症(STD)として広く知られる梅毒の検査。生物学的偽陽性や治癒後の陽性持続が存在する。
梅毒(トレポネーマ抗原使用) 性行為感染症(STD)として広く知られる梅毒の検査。生物学的偽陽性や治癒後の陽性持続が存在する。
B型肝炎ウイルス表面蛋白抗原 陽性を示す事は、今この現在ウイルスに感染している事を示しています。
C型肝炎ウイルス核酸定量 HCVに感染しているか否かを調べる検査として重要な役割を持っています。
ヒト免疫不全ウイルス 抗体および抗原を同時に検出するHIV感染のスクリーニング検査
成人T細胞白血病ウイルス 成人T細胞白血病の原因ウイルスに対する抗体を検出。感染のスクリーニングと確認のための検査。
リウマチ因子 ラテックス凝集反応により、リウマチ因子を検出するスクリーニング検査。陽性でもリウマチの確定診断とはならない。
抗サイログロブリン価 橋本病、バセドウ病の診断に有用な自己抗体。TPO抗体と同時に測定すると陽性率がアップ。
抗マイクロゾーム価 甲状腺疾患の経過と予後の判定に有用。
寒冷凝集素価 マイコプラズマ肺炎でも多クローン性のIgM増加を反映し上昇する。
抗核抗体 核内に含まれる抗原物質に対する抗体群を検出する検査。抗核抗体群のいずれかの存在を知るスクリーニングとして用いられる。
免疫グロブリンE アトピー性アレルギー患者において有意に高値を示すので、気管支喘息、皮膚炎、鼻炎などの場合、アトピー要素の有無を調べるのに有用とされています。
ハブトグロビン 炎症性疾患を検査します
β-Dグルカゴン グルカゴン産生腫瘍(グルカゴノーマ)、糖尿病、急性および慢性膵炎、肝硬変、腎不全、飢餓などを調べる検査になります。
カンジダ抗原 カンジダ抗原検査は、深在性真菌感染症の代表的起炎菌であるカンジダの抗原を検出する検査。