フィブリノーゲンの働きは、出血時に血管内皮細胞の欠損部位においてフィブリンへと転化し止血します。

フィブリノーゲン(FIBG)-病院で行う血液検査

フィブリノーゲンは、血漿中の凝固因子成分として初めて確認されたものです。フィブリノーゲンは、幹細胞で産生され80%が血漿中に、20%が組織中に存在します。また、その生体内における半減期は約3日と言われています。
フィブリノーゲンの働きは、出血時に血管内皮細胞の欠損部位においてフィブリンへと転化し止血します。フィブリノーゲンの異常値は、この止血機能における異常が生じているものと考えられます。

 

フィブリノーゲン(FIBG)の基準値

生化学血液検査項目 基準値(参考値)
生化学血液検査名称 略称 数値 単位
フィブリノーゲン FIBG 150-400 mg/dl

フィブリノーゲン(FIBG)検査の目的

フィブリノーゲンの血液検査は、急性の炎症が起こったり、体のどこかの組織が破壊されていると血液中のフィブリノゲンは増減しますので、これらの異常を診断するために検査を行ないます。

 

フィブリノーゲン(FIBG)検査は何を調べているのか

フィブリノゲンが肝臓で合成されているため、肝硬変や肝臓がんで肝臓の合成能力が低下すると、低値を示します。また、この検査は感染症や急性心筋梗塞などの疑いがあるときにも行ないます。フィブリノゲンは、体内に炎症や組織の変性が生じると、血液中に増加して高値を示します。そのため、血液凝固因子であるフィブリノゲンが何らかの原因で増加しますので、血栓ができやすくなります。

 

フィブリノーゲン(FIBG)の検査結果からわかる病気

Dダイマー血液検査査結果が適正範囲より大きく乖離している場合には疾患の可能性がありますので、値が乖離した原因を診療機関で医師の診察を受けるようにしてください。

検査結果 考えられる原因と疾患の名称
基準値より高値

増加する疾患-生理的

運動後、高齢者、妊娠時、避妊薬服用

増加する疾患-後天性

ペパリン投与中止後、脳卒中発作後、糖尿病、心筋梗塞発作後、血液製剤の大量投与時、悪性腫瘍、ネフローゼ、X線治療後、感染症

基準値より低値

減少する疾患-先天性

異常フィブリノーゲン血症、低フィブリノーゲン血症、無フィブリノーゲン血症

減少する疾患-後天性

線溶亢進、蛇毒製剤の投与、肝疾患(慢性肝炎,肝硬変)、DIC、大量出血

【備考】

生理的な上昇により上昇する傾向にありますが、結果的に血栓傾向は高い状態にありますので、定期的な検査は受けるようにしましょう。

【関連項目】 
C-反応性蛋白(CRP)定量プロトロビン時間フィブリノゲン/フィブリン分解産物活性化部分トロンボプラスチン時間)
 

その他の血球検査項目

一般血液検査項目 備  考
白血球数 白血球は病原微生物などから体を防御するための免疫機構の主役となる血球です.炎症や感染症などの時に増加します
赤血球数
赤血球(RBC)血液検査は、貧血や多血症などを診断するために行われます。
ヘモグロビン濃度
(血色素濃度)
ヘモグロビン(血色素)は赤血球中の主成分で酸素の運搬を担うタンパク質の量.これらが基準範囲より少ない場合は貧血,多ければ多血症と診断します.
ヘマトクリット値
ヘマトクリットは血液中に占める赤血球の全容積の割合です.これらが基準範囲より少ない場合は貧血,多ければ多血症と診断します.
平均赤血球容積
赤平均赤血球容積(MCV)検査は、貧血、多血症の診断に用いられる基本的な検査です。
平均赤血球ヘモグロビン量 平均赤血球血色素量(MCH)検査は、貧血、多血症の診断に用いられる基本的な検査です。
平均赤血球ヘモグロビン濃度 平均赤血球血色素濃度(MCHC)検査は、貧血、多血症の診断に用いられる基本的な検査です。
血小板数 血小板は出血を止めるための重要な働きを持ち、この値が極端に減少する出血を起こしやすくなります。
網状赤血球 網状赤血球数は、赤血球全体に占める、網状赤血球の割合を示します。
抹消血液像 末梢血液像は、白血球の種類や赤血球の形、血小板の形などを染色した血液標本を顕微鏡で調べる検査です。
赤血球沈殿速度 貧血や,血漿蛋白(免疫グロブリンやフィブリノゲンなど)が増えるとき上昇します.炎症の重症度などがわかります.
出血時間 手術の際に、止血までの出血時間の検査が行なわれます。
Dダイマー 体の中のどこかに血栓ができていれば線溶現象が亢進し高い値を示します。
フィブリノゲン/フィブリン分解産物 血栓症ならびに血栓溶解治療などの病態解明や効果判定の指標として行われます。
フィブリノーゲン フィブリノーゲンの血液検査は、急性の炎症が起こったり、体のどこかの組織が破壊されていると血液中のフィブリノゲンは増減しますので、これらの異常を診断するために検査を行ないます。
アンチトロビンⅢ アンチトロンビンⅢ(ATⅢ)の血中濃度は生産性と消費のバランスにより左右されるため、意義として①生体内での凝固系の働き②生産状態③血栓症の病因を知ることにあります。
活性化部分トロンボプラスチン時間 プロトロンビン(PT)と同様に先天性出血性素因が疑われる場合、後天的な凝固因子の異常が疑われる場合、術前検査などとして行われます。
プロトロビン時間 プロトロンビン時間(PT)とは、組織トロンボプラスチンによる第VII因子の活性化に始まる外因系の凝固能をみる検査です。  
プロトロビン時間
プロトロビン時間