ヘマトクリット値とは、全血液中に占める全血球容量の割合を言い、血液の濃縮度(血球成分と血漿成分との割合)を示します。

ヘマトクリット(Ht)-病院で行う血液検査

ヘマトクリット値とは、全血液中に占める全血球容量の割合を言い、血液の濃縮度(血球成分と血漿成分との割合)を示します。全循環血液量と必ず比例しているものではありません。怪我や手術時などに大量に輸血を行い、失った血液を補う場合は変動しませんが、何らかの影響により、血液中の血漿量だけが増加した場合は、ヘモグロビン濃度が薄められる事になるため、ヘマトクリット値は変動することになります。このような状態を貧血状態と言います。これとは逆に、ヘマトクリット値が上昇し、多血症の場合には、心臓、肺の疾患や、腫瘍などの疑いがあります。

ヘマトクリット(Ht)は健康診断で行う血液検査で貧血がわかります

赤血球や赤血球に含まれているヘモグロビンの量が減少する事で、体が必要な酸素が送り届ける事ができず、動悸、眩暈などの症状が出る事があります。これを貧血といいます。貧血は、赤血球数が正常であっても、その赤血球に含まれるヘモグロビン量が十分に無い状態でも症状があらわれます。特に若い女性の貧血は、ヘモグロビンに含まれるヘム鉄が減少する事により発生する鉄欠乏性貧血であります。女性の場合月経(生理)の影響により毎月鉄分を失う事になりますので、若い女性の実に1/3~1/2は鉄分の欠乏による貧血症(またはその予備軍)ともいわれています。貧血と診断された方には、レバーやほうれん草などの鉄分を多く摂取しする事を指導します。出来れば。植物性の鉄分より動物性の鉄分の方が吸収効率がよく良くお勧めですが、レバーなど苦手な方も多いので無理しないで植物性や小魚など上手に摂取する事をすすめています。

赤血球やヘモグロビンが減少して起きる貧血について詳しく説明

赤血球やヘモグロビンが減少する事で起きる貧血について、詳しく説明をしています。
 (リンク) 赤血球やヘモグロビンが減少する事で起きる貧血について

ヘマトクリット(Ht)の基準値

生化学血液検査項目 基準値(参考値)
生化学血液検査名称 略称 数値 単位
ヘマトクリット Ht M 39.8~51.8
F 33.4~44.9
%

 

ヘマトクリット(Ht)検査の目的

ヘマトクリット値は一般的な血液検査項目になります。
ヘマトクリット値は主に貧血などの診断に使われます。

 

ヘマトクリット(Ht)検査は何を調べているのか

  • 血液中にある赤血球の割合を測定する検査です。
  • 血液の約45%は血球でその95%が赤血球であります。この割合を測定したものがヘマトクリットです。
  • 赤血球数やヘモグロビン量などと総合的に判断すべきですが、過少であれば貧血、多すぎる場合は多血症の疑いがあります。
  • なお、妊娠中の場合は、少なくなりますので、異常ではありません。
 

ヘマトクリット(Ht)の検査結果からわかる病気

ヘマトクリット(Ht)血液検査査結果が適正範囲より大きく乖離している場合には疾患の可能性がありますので、値が乖離した原因を診療機関で医師の診察を受けるようにしてください。

検査結果 考えられる原因と疾患の名称
基準値より高値 多血症
基準値より低値  貧血 ※貧血にも色々あります。
※詳しくは貧血のページを参照してください。
【備考】

(参考)赤血球関連血液検査による疑われる疾患

サイズ MCV
(fL)
MCH
(pg)
MCHC
(%)
疑われる疾患
正球性 80~100 26~34 32~36 溶血性貧血 再生不良性貧血 白血病 感染症 悪性腫瘍 肝・腎臓疾患など
小球性 <80 ≦25 <30 低色素性貧血 鉄欠乏性貧血 鉄芽球性貧血 サラセミア症候群 無トランスフェリン血症など
大球性 >100 ≧35 ≧30 巨赤芽球性貧血 葉酸欠乏性貧血 非巨赤芽球性貧血 再生不良貧血 肝臓疾患など

赤血球やヘモグロビン量が減少する貧血は、原因によっていくつかの種類に分類されますが、前述の平均赤血球容積(MCV)と平均赤血球色素濃度(MCHC)の数値を比較することによって、それを診断することができます。

MCVが上昇しMCHCが正常

大球性正色素性貧血(悪性貧血といわれるものでビタミンB12や葉酸の不足が原因)。

MCVもMCHCも正常

正球性正色素性貧血(赤血球が脊髄で作られない再生不良性貧血、赤血球が破壊される溶血性貧血など)。

MCVもMCHCも低下

小球性低色素性貧血(鉄欠乏性貧血のことで、鉄の欠乏によって起こり、貧血の大部分を占める)。

【関連項目】 
赤血球(RBC)ヘモグロビン(Hb)ヘマトクリット(Ht)MCVMCHMCHC