不飽和鉄結合能検査(UIBC)は、血液疾患、肝疾患、腫瘍性疾患、炎症などの診断及び治療方針や予後判定の上で重要な検査です。

不飽和鉄結合能検査(UIBC)

不飽和鉄結合能は総鉄結合能から血清鉄を引いたものです。血清中のトランスフェリンは1/3が鉄と結合し、2/3は鉄と未結合の状態で存在しています。不飽和鉄結合能とは、鉄と未結合状態のトランスフェリンに結合できる鉄の量のことです。鉄欠乏性貧血のように、鉄の量が減少すれば、未結合状態のトランスフェリンが増加するので、UIBCも増加します。

不飽和鉄結合能検査(UIBC)の基準値

生化学血液検査項目 基準値(参考値)
生化学血液検査名称 略称 数値 単位
iron-binding capacity,unsaturated UIBC M 104~259
F 108~325
μg/dL
 

不飽和鉄結合能検査(UIBC)検査の目的

不飽和鉄結合能の検査は、トランスフェリン等の血中鉄輸送蛋白上で鉄が結合していない部分。すなわち鉄結合予備能を表し、血清鉄との和がTIBCに相当。

 

不飽和鉄結合能検査(UIBC)検査で何を調べているのか?

正常人の場合はトランスフェリンの約1/3が鉄と結合し,残りは未結合の形で存在する。血清中のすべてのトランスフェリンと結合できる鉄の総量を総鉄結合能(TIBC)といい,不飽和(未結合)のトランスフェリンと結合しうる鉄量を不飽和鉄結合能(UIBC)という。つまりTIBC=UIBC+血清鉄の関係になる。総鉄結合能は鉄代謝に異常をきたす疾患や病態の変化を特に反映するので,その測定は血清鉄の測定とあわせて血液疾患,肝臓疾患,腫瘍性疾患,炎症などの診断,治療方針決定や予後判定に有用である。

 

不飽和鉄結合能検査(UIBC)の検査結果からわかる病気

不飽和鉄結合能検査(UIBC)検査結果が適正範囲より大きく乖離している場合には疾患の可能性がありますので、値が乖離した原因を診療機関で医師の診察を受けるようにしてください。

 
検査結果 考えられる原因と疾患の名称
基準値より高値 鉄欠乏性貧血、妊娠後期、溶血性貧血、白血病等
基準値より低値 ヘモクロマトーシス、溶血性貧血、再生不良性貧血、急性骨髄性白血病、甲状腺機能亢進症、肝硬変、悪性腫瘍、ネフローゼ症候群(重症)、急性肝炎、悪性貧血、溶血性貧血、白血病等
【備考】

血清鉄の測定とあわせて血液疾患、肝臓疾患、腫瘍性疾患、炎症などの診断及び治療方針や予後判定の上で重要な検査です。

【関連項目】 
総鉄結合能(TIBC)[比色法]、不飽和鉄結合能(UIBC)フェリチン、 トランスフェリン(Tf)、白血球数(WBC)赤血球数(RBC)ヘモグロビン濃度(Hb)ヘマトクリット値(Ht)