糖尿病を治療するうえで食事療法と運動療法が重要
冒頭でも申し上げましたが、糖尿病における治療は、食事療法と運動療法を主体として治療が進められていきます。高血糖状態は、インスリン分泌を異常亢進させインスリン分泌細胞(膵臓のランゲルハンス細胞B)へ、過度なストレス掛けることになります。その結果、インスリン分泌細胞(膵臓のランゲルハンス細胞B)は疲弊、死滅が進行進んでしまいます。このような状況が進行する前に、糖尿病の治療が開始されることが重要となります。
耐糖能異常(耐糖能:血糖値を正常に保つ能力のことをいいます) の段階から生活習慣の修正や体脂肪減量を行うことが糖尿病への進行を防ぐために推奨されます。体脂肪の中でも内臓脂肪の減量がもっとも重要とされ、インスリン抵抗性(インスリンの血糖への作用のしやすさ)を改善し、高血糖状態からインスリン分泌低下の悪循環を和らげることができます。このことは糖尿病の進行度合いに関係なくいえることです。そのため、糖尿病の診断がつく前(境界型糖尿病)の段階から行うべき治療と言えます。
特にIGT(IGT:食後2時間血糖に以上が見られるタイプ)といわれる境界型糖尿病では大血管障害(心筋梗塞、脳梗塞んなど)のリスクが高いため積極的な治療が必要と考えられています。
糖尿病の治療状況は血糖値(ヘモグロビンA1cなど)で判定します。
糖尿病の治療は食事、運動といったインスリン抵抗性を改善させる治療からインスリン投与といった血糖を下げるものなど様々なものがありますが、合併症予防という観点では治療効果判定は血糖コントロールで行うことが多くあります。糖尿病のコントロール状態は食前または食後血糖値、またHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を測定することで判定します。HbA1cは、ヘモグロビンに糖が付着したもので、過去1~2ヶ月の平均的な血糖値を反映します。また近年では、グリコアルブミンを使用することがあり、これは過去数週間の血糖変化と、食後血糖を反映する検査値です。
実際の治療目標は、
糖尿病の治療~食事、運動、薬物~
糖尿病の食事療法について
糖尿病治療の基本は食事療法です。
2型糖尿病は、食事としてはカロリー制限する食事療法を行うことで、機能低下しているすい臓の負担を軽くし、すい臓の機能を回復させます。1型糖尿病の人は、インスリンの分泌ができなくなっていますので、体の外からインスリンの補給をしますので、補給の調節をしやすくするために食事療法を行います。
1型も2型も食事をコントロールをしっかりと行っていかなければ、血糖コントロールができなくなるばかりか、ほかの治療を行ってもなかなか効果が上がりません。結果的に、合併症リスクが高まりますので重要な治療法の一つと言えます。
詳しくは、「糖尿病の食事療法」をご覧ください。
糖尿病の運動療法について
運動療法は、食事療法と並んで糖尿病治療の基本です。
運動によりエネルギーの消費量を増加し、肥満を解消 ・抑制します。さらに運動を毎日続けていると筋肉の活動量が上がりますので、悪かったインスリンの働きも改善します。さらに食後1時間頃に運動をすると、ブドウ糖や脂肪酸の利用が促されるため、血糖値が下げる効果もあります。
1型糖尿病は、インスリンをつくりだす細胞が壊れてしまっているため、運動によるインスリンの機能自体の回復という治療としての効果は望めませんが、運動は筋力を高めたり、ストレス解消にも役立ちます。とくに子どもの場合は心身の健全な発達を助ける手段にもなります。1型糖尿病も2型糖尿病と同様に、運動することで外から補給しているインスリンの働きを高めることができますので、毎日運動することは大切です。
運動したからといって、食事療法は怠らないようにしましょう。血糖コントロールを良好に維持するにはどちらか一方が欠けてもうまくいきません。
詳しくは、「糖尿病の運動療法」をご覧ください。
糖尿病の薬物療法について
運動療法、食事療法を2~3ヶ月続けても血糖コントロールの目標値が達成できなかった場合に、薬物療法を考慮し始めます。糖尿病の薬物療法には、のみ薬とインスリン注射のふた通りがあります。
のみ薬は、食事療法や運動療法だけでは血糖が十分にコントロールできない2型糖尿病の人に用いられます。
インスリン注射は1型糖尿病の人には不可欠ですが、2型糖尿病の人にも必要な場合は用います。
詳しくは、「糖尿病の薬物療法」をご覧ください。